インフルエンザは大人でもつらいですが、まだ体の弱い子供は症状が重くなることが多いので大人よりも注意が必要です。
さらに、子供がインフルエンザにかかった場合には、深刻な後遺症が残ってしまう合併症をともなう危険もあります。
今回は子供の場合、特に注意するべき点について詳しく解説していきますので、最後までじっくりとご覧になって下さいね。
目次
インフルエンザの症状が子供に出た時に気をつけること
まず、インフルエンザウイルスには潜伏期間があり、体内にウイルスが入っても症状が出るまでに13時間から5日間差が出るので注意が必要です。
インフルエンザの潜伏期(感染してから症状が現れるまでの期間)は極めて短いことが知られています。最短16時間から最長5日で、2~3日がもっとも多い潜伏期間といわれています。
引用元:浜松医療センター
インフルエンザウイルスが体内に侵入すると、急激に増殖を始めるため、大人の場合は非常に重い症状が出て、急激な発熱や体全身に筋肉痛や倦怠感(けんたいかん;だるくなること)があらわれるので、すぐに風邪とは違うということが分かるのですが、子供の場合は少し様子が異なるのです。
インフルエンザは、ウイルスが患者のくしゃみや咳などと一緒に吐き出されて感染します。ウイルスは喉や鼻の中の粘膜に付着するとすぐに増え始め、1~5日(平均2日)の潜伏期間を経て急に症状が現れます。
38度以上の熱が出て、全身のだるさや筋肉痛、頭痛を伴います。やや遅れて鼻水や咳、下痢などの症状も現れます。ただし、小さな子供の場合、全身のだるさや筋肉痛、頭痛などの症状ははっきりしません。症状は2~3日で落ち着きますが、場合によっては1週間近く長引くことがありますので、注意が必要です。
引用元:医療法人清友会笠松病院
子供の場合は症状がはっきりしないため、すでにインフルエンザを発症しているにもかかわらず、風邪と同じ対応をしてしまい、気づいた時には重症化しているというケースがあるので親御さんが注意してみてあげなければなりません。
子供だとまだ病気に対する経験が少ないので、自覚症状が薄く、上手く症状を大人のように伝えられないということもありますし、元々、子供は風邪にかかりやすいので、まわりの家族も含めてインフルエンザだと気が付かないということが多いのです。
さらに、だるさや筋肉痛、頭痛という症状も出ないとなると、子供は初期段階では元気に動きまわることができてしまうので、もっと症状を悪化させてしまう危険もあります。
そのため、親御さんは子供が熱を出した時にはすぐに風邪だと決めてしまわずに、特にインフルエンザが流行する12月から3月には、病院で医師の診察を受けさせることが症状の重症化を防ぐために非常に重要になるのです。
インフルエンザの症状がわかりづらい子供の対処法
子供は大人よりも初期段階ではインフルエンザと風邪の症状の区別がつきにくいので、できるだけ早い段階で医師の診察を受けることが必要ですが、その前に、間違った対応をすると大変な事態をまねくことがあります。
特に注意しなければいけないのは市販されている解熱剤の使用です。
子供のインフルエンザの場合、解熱剤の一部にはインフルエンザ脳炎・脳症の症状を悪化させたり、ライ症候群のきっかけとなる可能性があるため、原則としてアセトアミノフェン以外は使用しないことになっています。解熱剤の成分が分からない時は医師や薬剤師に必ず確認しましょう。また、大人や上のお子さんの解熱剤を使うのも避けてください。
引用元:医療法人清友会笠松病院スポンサーリンク
このライ症候群というのは、解熱剤に含まれる成分であるアスピリンによって引き起こされる病気で、重度の症状が出て、後遺症が残ることも多く、場合によっては命にもかかわる恐ろしい病気です。
インフルエンザや水痘の際の発熱時にアスピリン(アセチルサリチル酸)を含む解熱剤の服用は、ライ症候群という致命率の高い病気のリスクが明らかにされています。
特に4~15歳までの小児で、水痘やインフルエンザの際にアスピリンを服用していると、約1週間後に突然の嘔吐で発症し、次第に致死性の高い肝炎と脳炎が進行します。これをライ症候群と言っています。
現在、小児の感冒や解熱では、アスピリンが使用されることは多くありません。
しかし、成人の感冒薬、解熱剤としてご家庭では置き薬としている例が珍しくない事から、安易な解熱剤の服用が考えられます。なぜアスピリンがライ症候群のきっかけになるのかは、わかっていません。
引用元・高見台クリニック
子供が医師の診察を受けて処方された薬には、アスピリンは危険なので絶対に含まれることはありませんが、市販されている大人用の解熱剤には含まれていることがあるので、親御さんは子供が熱を出した際に使用する薬について、より慎重になる必要があります。
さらに、ライ症候群はいまだ原因が解明されておらず、一度かかってしまうと治療は非常に困難で、重度の後遺症が残ってしまう場合もありますので、解熱剤を子供に使う際には必ず医師に相談しましょう。
子供のインフルエンザにともなう危険な合併症
その他にも子供がインフルエンザであることを気づかずに、風邪だと思って適切な治療をしないと症状が重症化して、さらに危険な合併症にかかることもあります。
元々、子供は免疫力が弱く、インフルエンザの症状が重症化しやすいので特に注意が必要です。
ですから、合併症にかかる可能性も大人よりもかなり高く、毎年数百人の子供が発症しているので、気をつけなければいけません。
その中でも、特に危険な合併症の症状と対処法を紹介します。
インフルエンザ脳炎・脳症
症状としては、痙攣(けいれん)、意識が朦朧と(もうろう;ふらふらすること)する、異常な行動などが見られます。
インフルエンザ脳炎とは脳内にウイルスが直接侵入してダメージを与えることをいい、インフルエンザ脳症は、脳に障害が残ってしまう場合のことをいい、脳症の方が症状も重いので特に注意しなければいけません。
そして、まだインフルエンザ脳炎・脳症になる具体的な原因はわかっていないので、症状が現れたら一刻も早くお医者さんの診察を受けましょう。
中耳炎
耳の鼓膜の奥にある中耳(ちゅうじ)にウイルスが侵入して、膿(うみ)が溜まることにより、強い痛みをともないます。
これは、鼻と耳は奥でつながっているため、鼻から入ったウイルスが鼓膜の内側へと入ってしまうことが原因です。
10歳までの子供は中耳炎にかかりやすいので、インフルエンザにかかってしまった場合には、耳鼻科の診察も受ける必要があります。
耳の痛みは約2、3日で収まるので、痛み止めを飲むか、耳の後ろを冷やすことで痛みは軽減することができますが、その間も鼻から耳へとウイルスが入り込むのを防ぐため、こまめに鼻をかむことに気を配って下さい。
痛みが引いても、中耳にはまだ膿が溜まっており、耳が聞こえにくい状態ですから、必ず耳鼻科で診てもらい、膿を取り除いてもらいましょう。
参考:子どもに受けさせるインフルエンザ予防接種の間隔は何日必要?
気管支炎
気道(喉から喉の下のくぼみ)が炎症を起こしてその下の気管、気管支まで広がり咳や痰が出る病気で、痰が絡んだような咳が長期間続きます。
インフルエンザが完治しても咳がひどい、呼吸がしにくく息が苦しいという症状がある場合には、呼吸器内科を受診する必要があります。
また、このような症状が出た場合には、水が飲み込みにくくなって、一度に飲むと吐き出してしまう恐れがあるため、少しずつこまめに水分を補給するようにして下さい。
参考:インフルエンザにかかった時の発熱から解熱までの期間は?
まとめ
子供はインフルエンザにかかると症状が重症化しやすいので、風邪の症状が出たらまずお医者さんの診察を受け、インフルエンザにかかっていないか調べることで、症状が重症化するのを防ぐことができます。
さらに、発熱を抑えるために市販されている大人用の解熱剤を使わないこと(使う場合は必ず医師に相談)、そして、子供はうまく自分の症状を説明できないため、合併症にかかっていないか親御さんが注意深くみてあげることが必要です。
参考:インフルエンザ対策を全て網羅!予防から対処法までまとめ