傷って痛みが収まると、今度はかゆくてたまらなくなりますよね。あれってどうして起こるのでしょうか?
もうすぐ治るんだと思っても耐えられなくて掻いてまた出血しちゃうなんて事もあります。一体何が原因なのでしょうか?
傷口がかゆいのはどうして?どうしたら治る?
ケガをしてしまうと、痛いだけではなく、最終的にはかゆみとも戦わなくてはなりませんね。せっかく痛みが治まったのに、かゆみに我慢できず、掻いてまた痛みがぶり返してしまう事もあり散々です。
参考:擦り傷の周りがかゆいのはどうして?傷から出てきた液体が関係してる?
そんな事を繰り返していると、傷跡は深くなり、傷口が変色したり、化膿してしまう事もあります。 かゆみはどこからくるのでしょうか。皮膚は4層から成っています。外側から角層、表皮、真皮、脂肪層です。
傷が出来ると、当然皮膚組織は壊れてしまいます。傷が出来た時、表面からジュクジュクと液体が出てきたことがありませんか。
あれは、傷を治すために、体内から集まってきて修復をしてくれるレンジャー隊のような存在の液体なのです。その中には、菌を殺す役割や、止血をするもの、そして傷を治すために必要な様々な細胞に対する「細胞成長因子」が入っているのです。
細胞培養液とも言われ、薬なんかなくても人の体は自分で治す力を持っているのです。当然その中には、皮膚を再生するための細胞も入っています。
修復が行われ、徐々に治ってくると皮膚の3層目の真皮に刺激が起こります。この真皮にある知覚神経が「痛み」と「かゆみ」を感じるところなのです。
痛みを起こす原因が治まってくると、かゆみとして脳に伝わり、神経ペプチドと言う神経伝達物質がマスト細胞を刺激します。すると、マスト細胞は持っているヒスタミンと言うかゆみの素と言われる物質を放出するのです。すると「かゆみの悪循環」が始まることになるのです。
かゆみ→神経ペプチド→マスト細胞→ヒスタミン放出→かゆみというわけです。
アトピー性皮膚炎などのかゆみだけを抑える場合は抗ヒスタミン剤などを処方されますが、これは眠気をともない、集中力がなくなり、頭がボーっとするなどの副作用があります。
治療の仕方でかゆみを起こしていることもあるんです。
かゆくなった傷口は乾燥していませんか? 消毒をして乾燥させてかさぶたを作った傷はかゆくなってしまうのです。かさぶたが収縮し始めたあたりが一番かゆいころだと思います。
参考:傷口をふさぐ「かさぶた」って何でできてるの?どうしてかゆくなるの?
そしてかさぶたの周りもかゆくなりますね。これは、上記の理由以外にも、乾燥によって表皮が壊れたために、刺激がマスト細胞に届き、ヒスタミンが放出されているためです。
お風呂に入って、かさぶたがふやけているとかゆみが収まってきませんか?そして、そのまま放置すると乾燥してかゆくなるのです。ここでも「かゆみの悪循環」ですね。
そのため、最近は傷口を乾燥させない湿潤療法で傷を治します。かさぶたを作らない方法です。
実は、かさぶたが出来たから治りが近い、と言われてきましたが、かさぶたの下では皮膚の再生が止まってしまっていることがわかったのです。そのため、傷跡が残りやすいのです。
治りかけのかさぶたになっちゃったら、もうどうにもならないの?
本来なら、出来てしまったかさぶたを勝手に剥がしたりすると、ばい菌が入り化膿する恐れがあるため、してはいけないことと言われます。
でも、かゆいのは辛いし、傷跡も残したくない。と思いますよね。乾いた状態のかさぶたを剥がすと、皮膚も一緒に剥がれてしまい、また出血してしまう恐れがあります。
そこで、一番良いのは、お風呂のあとです。清潔になっているし、ふやけているし、その時を狙います。
何をするかと言うと、かさぶたの上から傷周辺に、亜鉛の入った化膿止めの軟膏を塗ります。良く効くのは、「ボルネF」や「ポリベース」です。両方とも、サルファ剤の殺菌作用があり、亜鉛が入っているので、皮膚の再生を助けてくれます。
「ポリベース」は治りかけのムズムズしたかゆみに効く、と表記されている軟膏です。どちらも、塗ったら上からラップをまいて寝てしまいましょう。
朝になると、かさぶたが柔らかくなってきていると思います。そして、乾燥していないため、かゆみが治まってきていると思います。数回繰り返すと、かさぶたは取れてしまいます。そして、傷もキレイに治ります。
もちろんかさぶたの大きさや体質により、時間も治り具合も違ってきますよ。あと、アレルギーなどの心配がある方は皮膚科で相談するようにしましょう。
まとめ
傷口のかゆみは乾燥させてしまう事で、一層ひどくなります。今は、傷口を乾燥させて、かさぶたを作る事は良くないと考えられてきています。かさぶたは、傷口に現れたジュクジュクのレンジャー隊のような液体が乾いた物なのです。
頑張って治してくれたのに、乾いてしまったら良くない物に変わってしまうなんて、なんだか気の毒です・・・そこで、最初から乾かないような治療法を取れば、かさぶたにならずに済むわけです。
今は、ハイドロコロイド系絆創膏が主流です。次の傷に備えて、ドラッグストアを覗いてみるのも良いかもしれません。