左脇が痛いという症状が出ると非常に不安になりますよね。
普段は、あまり意識しない体の部分なので、腕を動かす際に気になる他、男性なら胃の不調を心配してしまうことが多く、女性なら乳がんの可能性を疑ってしまう方も多いようです。
今回は、左脇が痛い場合に考えられる病気と具体的な症状、そして、原因について解説していこうと思います。
目次
左脇が痛い時に考えられる原因と病気とは?
左脇が痛いからといってすぐに病気に結びつける必要はありません。なぜなら、単なる筋肉痛の場合も考えられるからです。
数日前にハードな運動をした、最近、筋力トレーニングを始めたという場合には、筋肉痛である可能性が高く、少し時間が経つと改善される可能性があります。
筋肉は、伸びた後縮むという性質があるため、今まで使っていなかった筋肉が運動などによって伸ばされると、その後、一時的に縮んでしまうため、体を動かしにくい状態になり、無理に伸ばそうとすると痛みを伴う場合があるんです。
逆に、日頃の運動不足や風邪によって、体の筋肉の間のリンパの流れが悪くなり、腫れてしまうことも考えられます。
この場合には、脇の下を触ると痛い場合が多いのですが、血行を良くすることで改善される一時的な症状です。
しかし、左脇が痛くなる原因には深刻な病気の可能性もあるので注意が必要な場合があります。筋肉痛やリンパの腫れ以外で考えられるのは、次のような病気です。
- 肋間神経痛 (ろっかんしんけいつう)
- 便秘、大腸炎
- 狭心症(きょうしんしょう)
- 心筋梗塞(しんきんこうそく)
- 十二指腸潰瘍(じゅうにしちょうかいよう)
- 膵炎(すいえん)
- 乳腺炎(にゅうせんえん)
では、それぞれの病気の症状と原因について順番に解説していきますね。
肋間神経痛 (ろっかんしんけいつう)
まず、肋間神経痛というのは病気ではなく一定の症状のことをいいます。
神経系の症状なので、非常に多くの原因が考えられ、診断が難しい(症状の幅が広い)のです。
肋間神経とは、胸髄(背骨の中を通る脊髄)から出て、12対の肋骨に沿って走行する神経です。この神経が何らかの原因で障害されて生じる突発性の痛みを言います。
まず、人間は脳から背骨の中にある脊髄(せきずい)へとつながる神経を持っており、さらに脊髄から骨の中を通って神経が広がっているのですが、脇にある肋骨(ろっこつ)の神経が圧迫されたり、傷ついてしまうことで痛くなるのがこの肋間神経痛という症状となります。
しかし、神経は全身に伸びているため、他の部分に障害が起こることでも痛みが発症する場合もあるのです(神経の痛みはキズや怪我と違い、感じる範囲が広いため)。
例えば、ストレスで脳からの信号が上手く伝わりにくい状況であったり、姿勢が悪いせいで首の神経が圧迫されて肋間神経痛を発症する場合もあるので、原因を突き止めるのが難しい症状となります。
便秘や大腸炎
体左側にある、大腸の一部で広い範囲を占める下行結腸(かこうけっちょう)には血管が少ないので、血液の不足により炎症を起こしやすい部分です。
また、この部分は大腸炎になることが多いのですが、便秘による腸の圧迫がその引き金となっている割合が高いので、便秘によって左脇が痛い症状が継続的に続く場合には、大腸炎になる前に、病院へ行ってお医者さんの診察を受けて下さい。
狭心症(きょうしんしょう)
心臓を動かしている筋肉である心筋に血液がいかなくなることにより、心臓の動きが悪くなるため胸に痛みが走り、場合によっては命にも危険が及ぶ病気です。
細胞が活動するのに必要な酸素と栄養素が血液によって運ばれてくるというこの仕組みは、心臓の筋肉「心筋」にも当てはまります。心筋の細胞も、血液を必要としているということです。
「冠動脈」と呼ばれる、心筋に血液を供給している血管が細くなると、心筋の血液が不足します。そのために、胸がぎゅっと締め付けられるような痛みが生じます。これが狭心症の発作です。症状が典型的なときは患者さん本人も心臓の発作だとわかります。
しかしそうでないときは、胃の痛みや不快感、肩凝り、歯痛 などと紛らわしいこともあります。
胸の痛みは比較的有名ですが、胃や他の部分に痛みが出ることもあるということを覚えておきましょう。
左脇が痛い(みぞおちのあたり)場合もありますので、症状が酷いようなら早急に病院で診察を受ける必要があります。
心筋梗塞(しんきんこうそく)
こちらは心臓を動かす筋肉である心筋に血液を送る太い血管である冠動脈がプラークと呼ばれる脂肪の塊などで詰まってしまい、血液の流れがストップすることで、心筋が壊死(えし;腐って死ぬこと)し、場合によってはそのまま心臓が止まってしまうこともある怖い病気です。
胸を強い痛みが襲う場合が多いですが、狭心症と同じくそれほど痛みが強くない場合もあるので、左脇が痛い場合にも注意すべき病気となります。
十二指腸潰瘍(じゅうにしちょうかいよう)
胃のすぐ下にある腸の部位である十二指腸が、胃酸過多という胃酸の出過ぎにより、内部の組織が破壊されて、痛みを発する病気です。
胃に近いので、痛む範囲が広いので、左脇が痛い場合にも疑った方がいい病気となり、原因は、ストレスや薬の飲み過ぎ、ピロリ菌による攻撃があります。
膵炎(すいえん)
体の真ん中から左側に広がる臓器である膵臓が、食べ物を分解するための酵素の1つである膵酵素(すいこうそ)を過剰に分泌してしまい、自らを痛めつけてしまう病気です。
アルコールの飲み過ぎや、肝臓が脂肪やタンパク質を分解するために分泌した胆汁(たんじゅう)が固まった胆石(たんせき)が膵臓に入ることで活動の邪魔をしてしまうことが主な原因と言われています。
乳腺炎(にゅうせんえん)
これは女性特有の病気で、母乳が乳腺(にゅうせん)に詰まって中で炎症を起こし、激痛が走る病気です。
母乳を出すことで、痛みが改善される場合が多いですが、自力で出ない場合はお近くの病院で診てもらいましょう。
※先に触れた乳がんは胸にしこりができるのが初期症状で、痛みの症状が出る場合は耐え難いほどの激痛であるため、少し痛い程度では、乳がんである可能性は低いです。
左脇が痛い時に行うべき対処法とは?
左脇が痛いなら、まずは、先に上げた通り、筋肉痛を疑うところから始めましょう。※ただし、耐えられない程の激痛の場合は、すでに重い病気が進行している可能性があるので、一刻も早く病院で検査を受けて下さい。
慢性的に左脇が痛む場合、筋肉痛や運動不足によるリンパの腫れが考えられるので、血行を促進して、改善される場合が多いのです。
簡単な方法としては、じっくり体を温めることなので、ゆっくりとリラックスしながら入浴することで血行が良くなり、凝り固まった筋肉をほぐすことができます。
民間のクリニックでのマッサージを受ける方法もありますが、注意すべき点もあり、それは、マッサージ師が資格を持っていない場合があるということです。
近年流行の「癒し」産業ですが、鍼灸マッサージ師以外に多くの民間からの就業者が増えています。
これらは法的な整備が整っていないことを逆手に取った「脱法行為」 です。無免許で実質的なマッサージを行なっている国家資格を持たない民間業者の場合、治療を主目的とはしておらず医療事故に対する危機管理・健康被害への 認識が薄いので受療する際には注意が必要です。
必ず施術者全員があん摩マッサージ師の免許を保有していることを確認しましょう。
引用元:公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会
別に、民間のクリニックでマッサージを受けるのが悪いと言いたいわけではありません。
しかし、無資格のマッサージでは、たとえ、上に挙げたような重い病気が発症していても気がつかず、そのまま、先延ばしになってしまう可能性も否定できないので、左脇が痛い場合には、まずは筋肉痛を疑い、体を温めてそれでも改善されることがないなら病院できちんと診察を受けた方がいいということです。
病院で診察を受けるメリットは他にもあり、お医者さんから同意書を書いてもらうことができれば、民間のクリニックでも健康保険の適用が認められ、大幅に治療費が安くなるので、面倒くさがらずに病院へいきましょう。
左脇が痛い場合に何科に行くべきか?
左脇が痛い場合に考えられる病気は非常に多いので、病院の何科に行けばいいのかは非常に選択が難しいところですが、痛みが激しい場合には、お近くにある内科もしくは外科を受診されるといいでしょう。
筋肉の痛みは、整形外科を受診するのが普通ですが、内臓が炎症を起こしていることも考えられ、特に膵炎の場合には、膵臓は胃の真後ろにあるためレントゲンを撮っても整形外科では見逃される可能性も考えられるからです。
※内科、外科なら、もし、重い病気の場合にはその場で適切な病院を紹介、または緊急搬送してもらうことができます。
しかし、少し余裕がある場合には、大学病院などの大きな総合病院で入念にチェックするのがベストです。
単なる筋肉痛なら、その後の不安も消えますし、重い病気が見つかればその場で治療することができるので、何度も通って原因を探す手間が省けます。
参考:右脇が痛い!この場所が痛いのは何が原因?痛みを和らげる方法
まとめ
左脇が痛い場合には、重い病気が関係している場合もあるので、体を温めても症状が改善されない場合には、総合病院で診察を受けるのがベストです。
民間のマッサージで施術される場合も、病院で診察を受けてから行った方が、保険適用を受けられる場合があるので、結果的に安上がりになりますよ。
参考:脇にできたしこりが痛い場合と痛くない場合の原因と病名は?