みなさんの中、または家族の中に、
「お酒が大好きで、毎日飲んでいる」
「ちょっと体調が悪くても、お酒はやめられない」
という人はいませんか?少しくらい体調が悪くても、お酒を飲んでしまう人には、
「アルコール(お酒の成分)は、風邪の菌の消毒だ!」
と考えている人もいるようです。酒は百薬の長という言葉があるくらいで、どんなに良い薬よりも、体に効果があるという意味あいです。
市販の風邪薬では、なかなか効果が得られない、インフルエンザ。
「お酒が百薬の長なら、インフルエンザだって・・・!」
そう考えて、お酒に手を伸ばしてしまいそうなあなた。その前に、知っておいてほしい、飲酒とインフルエンザのお話です。
目次
インフルエンザを発症しても飲酒してOK?!お酒は本当に百薬の長なのか?
「アルコール消毒」という言葉があるので、お酒は「薬」だ、と言う人もいます。本当にそうなのでしょうか。
インフルエンザの特徴から、結論から言います。インフルエンザを発症したら、飲酒は絶対にダメです!
飲酒NG。その心は!?
インフルエンザにかかっていながら、お酒は飲まずにいられない。
飲んでしまったら、どんな症状がでるのか、まず説明しましょう!
免疫力が低下してしまう
インフルエンザになり、ウイルスに体が侵されているときです。
体のエネルギーは、ウイルスと戦うためにほとんどが使われてしまいます。そんなときに、お酒を飲んでしまうと、
- せっかく摂取した栄養が、消化されて排出される
- 栄養の吸収がうまくできなくなってしまう
こんなことが起こります。せっかく栄養のあるものを食べたとしても、栄養を蓄えることも出来ません。なぜこのようなことが起こるかというと、お酒に含まれるアルコールは、胃や腸を傷つけるからなのです。
また、蓄えることが出来ないだけでなく、食べ物が持つ栄養を、失わせてしますのです!これは、たとえ元気なときであっても、問題ですよね。
のどが渇く
のどが渇くということは、のどにウイルスがくっつきやすい状態です・・・!これだけでも危険だと思いませんか?
そのうえに、お酒を飲むと、胃や腸だけでなく、のどの粘膜も傷つけてしまいます。粘膜が傷つく→喉が渇く→ウイルスがつく→インフルエンザなどの病気になる・・・という悪循環ができてしまいます。
これでは、一生病気にかかっている、ということもありえます。
体内の水分が失われる
風邪をひいてしまったときは、水分補給が大事です。発熱で、汗をたくさんかくので、体力がなくないように水分補給が必要です。
また、実は、ウイルスと戦うのにも、体内では水分が使われているんですよ!そこでお酒を飲んでしまうと、「利尿作用」によって、必要な水分まで排出されてしまいます。利尿作用とは、尿の量を調節するための体のはたらきです。
お酒を飲んでしまうと、このはたらきがおかしくなってしまい、必要な水分まで体の外に出されるので、尿の量が極端に増えます。わかりますよね。極端なまで体内の水分が外に出てしまいますから、体内は脱水状態になってしまうのです・・・!
睡眠の質が低下する
睡眠中に、私たちの体は、疲労を回復する、悪いところを治療する、などを自然に行います。しかし、お酒を飲んでしまうと、利尿作用がはたらいてトイレが近くなったり、眠りが浅くなったり、落ち着いて良い睡眠をとることが出来なくなります。
すると、疲労もなかなか回復しないし、悪いところも、治りにくいと思いませんか?こうして飲酒NGの理由を見てみると、インフルエンザにかかっていなくても、体に悪そうなことだらけ、だと思いませんでしたか?
病気で体がつらいときに、お酒を飲むのはもっと苦しくなるだけなのです。
量が少なければ良いの?
「じゃあ、がぶ飲みはしないから、少し飲ませて」
と思った方。お酒は、例え少量であっても、眠りが浅くなり、免疫力を低下させます。これらはすべて、風邪を悪化させることなのです。お酒を飲むことが、たとえあなたの日課だったとしても、体は「やめて!」と言いますよ。
量が多い、少ないには関係なく、体を害するんですから。飲酒運転も同じですね。飲んだ量が多い、少ないには関係なく、1適でも飲んだら、運転してはいけない。病気のときは、1適でも飲んだら、害になると覚えておきましょう。
昔の人はどんなときでも飲みたがるのかも・・・
おじいちゃん、おばあちゃん世代の方々の間には、「風邪のひき始めは玉子酒」という常識(のようなもの)がありました。玉子酒とは、『お酒のアルコールと、たまごのタンパク質を合わせて、体をあたためる』ことを目的としてできたものだそうです。
体をあたためて、抵抗力をつけようとしたようですね。しかし、注意しなければならないこと。インフルエンザになれば、もうすでに体が熱いんです!そこでさらに体を悪くするようなことをして、良いことなんてないのです。
玉子酒の誤り
おばあちゃんの知恵袋というのは、聞いたことがありますよね。たしかに、私たちにできなかったことを、長く生きてきたおばあちゃんが、思いもよらない方法で解決してくれることはよくあります。
でも、「風邪をひいたら玉子酒を飲め」というのは、おばあちゃんの、間違った知恵だったかもしれません。いくらおばあちゃんから聞いた玉子酒でも、飲むことはおすすめできませんし、『百薬の長』とは、言えないわけですね。
実際に、インフルエンザのような症状が出ていたのに、お酒を飲んでしまって、倒れるということもあるほど。気をつけなければいけませんね。
お酒と薬の関係は?
先ほどお話しした玉子酒。これは、インフルエンザで発熱したときには、飲酒が逆効果になり得る、ということでしたよね。
では、「薬を飲んだから、もうお酒を飲んでも大丈夫!」ということはあるのでしょうか。
薬の服用の怖さ
実は、皆さんに問いかけるほどでもありませんでした。薬とお酒の相性は最悪で、ひどい場合には、死に至る可能性さえあるのです!
薬の箱を見てみると、小さい字かもしれませんが、「飲酒は禁止」ということが必ず書いてあるはずです。インフルエンザ薬の『タミフル』について少しお話しします。
基本的に、「薬」といわれるものとお酒をいっしょに摂取することは、病院でも禁止されます。仮に、処方されたタミフルを飲んで、さらにお酒も飲んだとしましょう。
すると、血圧低下、出欠しやすくなる、意識がぼんやりする、意識を失う、興奮状態になる、異常行動をする、幻覚を見る、などの症状が出ることが確認されています。
そして、最悪の場合は、死に至る、ということになる可能性もあるのです。
飲み合わせの問題
副作用は、薬の「飲み合わせ」によっても起きることがあります。薬同士の飲み合わせについて心配なときは、服用には医師や薬剤師の指示をしっかり聞き、守ることが大事です。ここも、『タミフル』の例をあげます。
主にA型、B型のインフルエンザの増殖を抑える薬。新型のインフルエンザに対しての効果もあります。
《 注 意 点 》
基本的に、他の薬との飲み合わせは問題ないとされます。
しかし、強い鎮痛効果を持っている薬(ロキソニンなど)と併用すると、インフルエンザ脳症を引き起こす可能性がある、と言われています。
インフルエンザ発症によって、強い頭痛や、発熱による強い関節痛を感じることは考えられますが、「はやく痛みをどうにかしたい!」と思って、インフルエンザの薬と一緒に、強い鎮痛効果のある『ロキソニン』を服用すると、ひどい頭痛以上の苦しみを味わうことも考えられるのです。
また、『ロキソニン』の服用には、「胃や腸の粘膜を傷つける」という恐れもあります。ということは、ウイルスが器官に入ってきたとき、感染しやすくなってしまう、という危険性もあるわけです。
参考:インフルエンザの予防接種に副反応アリ?発熱することも!?
まとめ
『酒は百薬の長』。
この言葉には、続きがあって、『酒は百薬の長 されど万病の元』と言います。
お酒は効果があるものだが、あらゆる病気の元凶になる。この言葉は、現代にも通じるすごい言葉ですね!
また、インフルエンザの苦しみから早く助かるために、インフルエンザ自体の症状を抑える薬のほかに、鎮痛剤などを服用すると、その副作用によって、全く別の苦しみを味わう可能性もあります。
薬の服用で、心配なことがあった場合は、必ず医師や薬剤師の指示を仰ぎ、安全を確かめて服用しましょう!
参考:インフルエンザが原因で肺炎になる可能性が!気をつけておきたい対処法は?
参考:インフルエンザ対策を全て網羅!予防から対処法までまとめ