突発性発疹の別名は「不機嫌病」と呼ばれるほど手を焼く病気だとされます。
しかし罹患(りかん)と同時に不機嫌になって訴えるわけではありません。
いつから?どれくらいの間不機嫌なの?初めてのことにお母さんもあたふたしちゃいますよね。
突発性発疹は赤ちゃんが初めて高熱をだす病気と言われますが、ここでは乳幼児の突発性発疹について、またいざというときの対処法を詳しく説明します。
目次
突発性発疹とは
突発性発疹は第四類感染症に分類される感染症疾患です。0歳から1歳での罹患率が99%であり、それ以上の年齢で感染する事は稀です。
原因になるウイルスは「ヒトヘルペスウイルス6」が主であり、感染経路は詳しくわかっていませんが唾液中に排泄されたウイルスが口移し、もしくは経気道的に乳児に感染するといわれています。
大人の唾液に含まれるウイルスが、乳児に移行することで感染するのが一般的で、赤ちゃん同士の感染は滅多にありません。ただし全く移らないとは言い切れませんので、保育園や幼稚園に通うタイミングについては医師や園長先生と相談の上、決定するようにしましょう。
突発性発疹になるとどうして不機嫌に?理由と対処法
突発性発疹は予後が良いものの、別名「不機嫌病」と呼ばれるほど不機嫌になってしまう赤ちゃんが多いのが事実です。
この不機嫌は短くて2日間、長ければ10日以上続く事もあります。ではなぜ不機嫌になってしまうのでしょうか。その医学的な答えは、実は解明されていません。ただし考えられる理由として
- 初めて経験する高熱に対応できない
- 解熱後も体力を消耗し全身の倦怠感を感じている
- 発疹などの全身症状に不快感を感じている
等があります。高熱や発疹など心配になるお母さんも多いでしょうが、合併症などを併発することは稀ですし予後は良好です。
原因不明の赤ちゃんの不機嫌に不安になったりイライラしてしまうこともあるかと思いますが、病気を乗り越えて成長していく姿としてしっかり受け止めてあげましょう。
不機嫌への対処法
熱を冷ましてあげる
冷却シートなどでおでこや、リンパの集まる脇の下・脚の付け根・首筋などを冷やしてあげましょう。尚、冷やし過ぎには注意しましょう。
安心感を与える
赤ちゃんが一番安心感を抱くのは、お母さんの腕の中です。四六時中抱っこをするのは難しいかも知れませんが、体温を感じられるように抱っこ紐などを活用して熱を分かち合うようにしましょう。
気分転換をさせる
好きなアニメなどの映像や音楽を流してあげるのも有効です。あまり外に出たくなくても、例えばベランダからの景色をみせてあげるなどをして気を紛らわしてあげましょう。
常に清潔にして不快感を与えない
高熱が続くと汗を大量にかきます。おむつかぶれなどの原因にもなりますので、早め早めに着替えやおむつ替えをしてあげましょう。
他にもお母さんにしかわからない不機嫌を治すポイントはあると思います。それほど焦ることなく、根気よく付き合ってあげましょう。ただし、お母さんの体調を崩さないようにくれぐれも注意してください。
突発性発疹の症状、不機嫌のタイミングは?
38℃以上の発熱
突発性発疹は罹患して高熱が出た際には、比較的機嫌は落ち着いています。
いつもと同じような素振りなのにも関わらず発熱がある場合、突発性発疹である可能性が高いです。ただし、発熱が39℃を超えるような高熱になった場合には、ぐったりしたり機嫌がわるくなりぐずるようになります。発熱はおよそ3日間続くと言われています。
発疹
突発性「発疹」と言われるように、発疹が解熱後必ずあらわれるのが特徴です。
発疹は赤く、体幹を中心に全身に広がります。顔にも発疹が広がることがありますが、特に目の周辺が赤くなります。痒みはなく、数日経てば自然と消失していきます。水疱瘡のように跡にのこるような発疹ではありませんので、塗り薬なども塗る必要はありません。
一般的にこの解熱とともに生じる発疹と同時に、不機嫌が始まると言われています。
その他の症状
多くは発熱と発疹のみの症状でおわりますが、まれに次のような症状が生じる可能性があります。
- 下痢、嘔吐
- 眼瞼浮腫:まぶたや目の周りが赤く浮腫むような症状
- 大泉門膨隆:大泉門(額の上あたりの骨と骨の継ぎ目)が膨れるような症状
- リンパ節腫脹:特に耳の下などの痛みを伴う腫れ
症状への対処法
突発性発疹の治療は主に対処療法で、抗ウイルス薬の投与などはしません。熱や発疹に対して対処をしますが、これも薬を使うのは稀です。
なぜなら発熱は体の免疫がウイルスと戦っているからこそ生じることであり、これを抑えてしまうことはウイルスと戦えなくなるからです。ただし合併症が考えられる場合など、薬物治療が施される可能性があるので、医師の指示に従うように。
高熱が生じているとき、汗をかくことで熱を下げますが、想像以上に体の水分が失われます。また嘔吐や下痢などの症状が起こっている場合、脱水症状が懸念されます。通常よりも多めの水分補給を心がけるように。
自己判断での薬物治療は危険です。市販薬や常備薬を使用することはやめ、どうしても症状できになることがあれば病院を受診するようにしましょう。
突発性発疹で起こりうる合併症
生じる可能性がある合併症は以下の通りです。
熱性痙攣
約10%の可能性で高熱が生じた際に起こるとされています。2、3分で症状は治まりますが、重症化する場合はすぐに病院へ。
脳炎
意識障害や度重なる痙攣などにより脳炎を発症することがありますが極めて稀です。
劇症肝炎
風邪症状が重症化すると、肝臓にも負担をかけます。体が黄色くなる症状(黄疸)など気になることがあれば病院へ。
いずれも突発性発疹のみが原因になるのではなく、通常の風邪などでも生じる可能性があります。突発性発疹での合併症の発症はほとんど無いとされています。
参考:子どもの突発性発疹が顔に出来た時の対処法と症状の抑え方
突発性発疹以外にも!考えられる不機嫌の原因
赤ちゃんは自分の病態を説明できませんので、不機嫌の理由をしっかりと見極めてあげましょう。
泣いている場合は異変に気がつき易いですが、泣く力も無くなっている場合次の不機嫌のサインには気をつけるようにしてください。
- どれだけあやしてもぐずっている
- 嘔吐の症状がある
- ミルクをあまり飲まない
- 漠然と元気が無いように感じる
- おしっこの量や臭いに異変がある
これらのサインに気付いたら、何かしらの原因である病気が隠れている可能性があります。異常を感じたら病院を受診するようにしましょう。ひとつの判断材料として以下の表を参考にしてください。
ただし自己判断で放置する事は絶対にやめ、特に生後4ヶ月未満の赤ちゃんの発熱などの症状がある場合は速やかに病院を受診することをこころがけてください。
参考:突発性発疹になった時の外出はいつから良いの?保育園の登園許可は?
まとめ
生まれて初めて経験する高熱に、赤ちゃんもお母さんも戸惑ってしまう突発性発疹。しかしながらそれほど心配しなくても、自然と治癒していくことはお分かりになられたでしょうか?
大変なのは「不機嫌病」と言われる所以である解熱後からのぐずつきですが、これも熱や全身症状と必死に戦った結果ととらえ、しっかりと愛情ある対応をしてあげましょう。
心配なのは赤ちゃんの病態にとらわれてばかりで、肝心のお母さんの体調を崩してしまうことです。お母さんが元気で笑顔でいてくれれば、赤ちゃんもきっと安心するはずです。
先輩ママさんなどに経験談や対処法を聞きながら、出来る限り不安を取り除いてくださいね。
参考:子供が突発性発疹に!発症時のお風呂は禁止?感染る可能性は?