突発性発疹とは、多くは生後6ヶ月~1歳未満の乳児に見られる感染症です。その名前の通り、何の前触れもなく突然40℃近い発熱があり、熱が引くと全身に発疹が現れます。
生まれて間もない赤ちゃん…小さな体で、大人でも耐えがたい40℃もの高熱を味わうということは、想像しただけ壮絶なものですよね。突発性発疹は、生まれて最初に経験する試練とも言われています。
突然の高熱、全身の発疹、試練に耐えながら泣く我が子に、初めて子育てをするママは困惑してしまいますよね。
突発性発疹は別名不機嫌症と呼ばれており、高熱が出てから発疹が治まるまでの、長くて約1週間、不機嫌な状態は続くそうですから、ママにとっても精神的にも体力的にも、大きな試練の一つです。
突発性発疹の多くは、背中やお腹を中心に発疹が現れることが特徴ですが、まれに顔だけに集中して発疹が現れることもあるようです。
顔への発疹は珍しく、また、女の子のお子さんをお持ちの人は、顔に発疹が出てしまうと、痕に残ってしまったらどうしよう…と更に不安になってしまいますよね…。
突発性発疹になると、一番に辛いのが赤ちゃん本人です。ご自身の不安解消のため、また、赤ちゃんの不安を和らげるためにも!突発性発疹への対処法を知って、いつでも頼りになるママとして、しっかり対応していきましょう!
目次
突発性発疹の注意点~全身の場合もあれば顔だけの一部の場合も~
先にもご説明しましたが、突発性発疹の発疹は背中やお腹を中心に現れることが多いとされています。
しかし、他の病気同様、症状の出方には個人差があり、突発性湿疹では少ないとされている、手足にも発疹が出る赤ちゃんもいれば、顔に出る赤ちゃんもいるとの報告があります。
乳児期、特に生後6ヶ月頃は免疫力が弱まっている時期であり、突発性発疹もそうですが、その他の病気にもかかりやすい時期と言えます。高熱と発疹で安易に突発性発疹と自己診断するのではなく、他の病気の可能性も含めて判断する必要があります。
突発性発疹が顔にできてしまった!
お腹~胸、背中を中心に発疹の現れる突発性発疹ですが、まれに顔にまで発疹が現れたという報告もあり、その症状には個人差があるようです。顔の発疹は人の目に付きますし、何より痕にのころのではないかと、不安になるママも多いかと思います。
ですが、慌ててかゆみ止めや抗炎症剤を塗る必要はありません。意外かと思われるかと思いますが、突発性発疹には痛みや痒みを伴わないのです!
ですから、痕に残る心配もないのです!
他の病気の可能性に注意
突発性発疹にかかってしまったら一番に気を付けて欲しいのが、誤った自己診断です。
というのも、生後6ヶ月頃~1歳頃は、免疫力の低下から様々な病気にかかりやすい時期であるからです。同じような症状で、突発性発疹と見間違えてしまう病気にはこんなものがあります。
突発性発疹の症状を改めて確認しながら、判断の基準にお役立て下さい。
突発性湿疹
突発性発疹とは、急な発熱と、全身に発疹が現れる急性のウィルス性感染症です。代表的な症状は以下の通り。
- 40℃前後の高熱を伴い、3~4日続く
- 解熱後、全身に小さな紅斑性の発疹を帯びてくる。主に腹・胸・背中に多く発症。痛みや痒みは伴わない
- 発症年齢は99%が0~1歳
- 突発性発疹の流行時期はなく、一年中、感染の可能性がある
ヘルパンギーナ
ヘルパンギーナとは、急な発熱と口腔粘膜を中心に水疱性発疹が現れる、急性のウィルス性の感染症です。代表的な症状は以下の通り。
- 38℃~40℃の初発熱を伴い、2~3日続く
- 全身の倦怠感、嘔吐、四肢痛か見られる場合もある
- 口内炎や口蓋垂付近に1~5mm程の水疱が現れる
- 喉や口蓋垂に炎症が起こり、咽頭痛から、食事・水分補給に拒否が見られる
- 発症年齢は90%以上が5歳未満。1歳代で最も多く発症している
- 流行のピークは6月~8月の夏季である
手足口病
手足口病とは、急な発熱と口腔内や手足などに水疱性湿疹が現れる、急性のウィルス性感染症です。代表的な症状は以下の通り。
- 38℃程の発熱を伴い、2~3日続く
- 口腔内の痛みと共に白い水疱性湿疹が現れる
- 手のひら・手の甲、足の裏や指間部に白い水疱性発疹が現れる
- 発症年齢は90%以上が5歳未満である
- 流行のピークは6月~9月の夏季である
ヘルパンギーナと手足口病の特徴について簡単にご説明しましたが、いかがですか?発熱や発疹と言った主症状と、発症年齢を見てみると、突発性発疹の症状と類似する部分が多々あり、素人では見分けをつけるのも難しいですよね。
一つ目安にして欲しいことは、ヘルパンギーナも手足口病も口腔内の水疱で、痛みや痒みを伴うという特徴があります。突発性発疹は紅斑であり、痛み・痒みはないとされています。
ヘルパンギーナと手足口病の流行時期は、夏季が圧倒的に多いということも目安の一つになるでしょう。
とにかく早めの受診を!
間違いやすい病気の例についてご説明しましたが、素人目での判断は大変危険です。本当に怖いのは合併症なのです。突発性発疹の合併症として熱性痙攣と脳炎が挙げられます。
熱性痙攣の場合、5分ほどで治まるとされていますが、その後も繰り返すようであれば注意して下さい。繰り返す熱性痙攣によって、脳炎を発症する恐れがあります。
脳炎を発症すると、重症な後遺症が残ってしまったり、死に至ることさえあります。その他、非常に稀ではありますが、重篤な合併症として、心筋炎や劇症肝炎、血球貧食症候群があります。
多くのお子さんが、この試練を乗り越えてきたのだから!とのんびり考えていると、怖い事態を招き兼ねないので、状態の変化に気を配り早期に病院を受診して下さい。
参考:子供が突発性発疹に!発症時のお風呂は禁止?感染る可能性は?
突発性発疹、症状の抑え方
初めにお伝えしておきたいことが、現段階で突発性発疹に有効なワクチンやお薬はありません。そのため、薬を使っての症状の緩和はできないのです。
その時の症状に合わせた対症療法を行い、少しずつ症状が落ち着くのを待ちます。
皮膚に表れた発疹についても同様に、一見、痛そう痒そうに見えますが、そういった感覚的症状はありません。また、発疹が現れれば、終息のサインですので、痒み止めや抗炎症剤などを慌てて塗る必要はないでしょう。
突発性発疹の場合、その湿疹の酷さに不安を抱きがちですが、気を付けなくてはならないのは、高熱への対処です。
充分な水分補給
40℃もの高熱ですと、大人でも相当な辛さを感じますよね。大量な発汗で、体の水分が失われ、脱水症を引き起こしてしまう可能性があります。
こまめな水分補給を心掛けましょう!ミルクの飲みが悪い場合は、乳幼児用の麦茶や、乳幼児用イオン飲料をあげてくださいね。
入浴は解熱してから
高熱によりたくさん発汗してなんだか可愛そう…。お風呂に入れてすっきりさせてあげたい!
そう思っても、熱があるうちの入浴は避けましょう。高熱で体力を消耗している中での入浴は、更に体力を削ってしまいます。
気になる場合は、蒸しタオルなどで体を拭く程度にして下さい。入浴はしっかり熱が下がってからにしましょう!
温度調節に気を配る
悪寒がありそうな場合や、反対に、暑さを感じているような場合は、衣類や布団で温度調整をして下さい。
また、発汗により衣類が湿っているような場合は、こまめに着替えをしてあげましょう!
まとめ
言葉での意思疎通が不可能な乳幼児期の急病は、誰もが慌ててしまいますよね。状態や経過を注意深く観察して、こちらで察してあげることも大切ですが、素人には判断が難しいことも多々あります。
どんな小さな症状でも、不安を拭えない時は、病院を受診し、お医者様にご相談されることをオススメします。
赤ちゃんはママの笑顔が大好きです。いつでも赤ちゃんに安心をもたらす笑顔を向けられるよう、乳幼児期の病気について日頃から知識と関心を持っておきたいですね。
参考:突発性発疹になった時の外出はいつから良いの?保育園の登園許可は?