毎年12月頃から感染者が出始め、3月中頃まで猛威を振るうインフルエンザ。かかったことがある方なら誰しもが、あの辛さをもう二度と味わいたくない!と思いますよね。
そんなときに一番に思いつく予防法が「インフルエンザワクチン」です。
しかしながら昨今、このインフルエンザワクチンの効果が疑問視される様になり、むしろワクチン接種をする方が体を弱めてしまうなんて噂もあるとか…ここではインフルエンザワクチンについて詳しく記すとともに、その隠された「真実」に迫ります!
目次
インフルエンザワクチンとは
インフルエンザワクチンの種類
インフルエンザワクチンはインフルエンザウイルスをワクチン製造のために増殖・精製・濃縮し必要部分のみに分解したものを、不活性化させた「不活化ワクチン」に分類されます。
理論上、それを接種してもインフルエンザにはなりません。インフルエンザワクチンは毎年、WHOが発表する推奨株をもとに、専門家により流行株が予想され製造されます。
インフルエンザワクチンの持続期間と有効性
インフルエンザワクチンの問題点のひとつが、その短い有効持続期間です。
一般的に接種後2週間程度で免疫がつき、持続期間が3ヶ月程度です。例えば11月頭に接種した場合11月中頃に免疫がつきますが、3月中頃にはその効力がきれてしまうので、3月にインフルエンザに罹患することもあります。
気になるインフルエンザワクチンの有効性ですが、ワクチン販売会社のアステラス製薬が発表するには、有効率60%とされています。
製薬会社が発表する、有効率60%の真実
このパーセンテージはインフルエンザワクチンを打った10人に6人が感染しなかった、という解釈ではありません。
例を示すと、ある小学校に40人の学級が1組、2組と2つある学年があったとします。合計人数は80人です。この学年の1組は、クラス全員インフルエンザの予防接種を受けず、一方2組は、クラス全員が予防接種を受けたとします。1組からその冬に10人のインフルエンザ患者が発生して、2組からは4人がインフルエンザを発病したとします。もし2組の全員がインフルエンザ予防接種を受けなければ、おそらく1組と同じように10人の患者が発生したと予想されます。実際に発病したのは4人ですからインフルエンザワクチンを受けることによってインフルエンザの患者が6人少なくなりました。この「10人から6人減らした」ことが有効率60%という意味です。
出典:アステラス製薬
すなわちこの確率は個人個人がインフルエンザに罹患する可能性を考えたものではなく、予防接種を受けたグループと受けなかったグループとを比較した結果現れる効果の確率であることがわかります。
裏を返せば、予防接種をしたところで個人的にインフルエンザにかからない確率が大きくあがる、とは言い切れないということですね。
ワクチン接種による副作用
いくら不活性かされたウイルスといえど、体にとっては異物です。それを敵とみなすことで免疫力がつくのですが、その際にいわゆるアレルギー反応のような副作用が生じる事があります。
ただし、極まれに重篤な副作用を生じさせる事があります。
軽い副反応(10%程度の可能性)
接種後すぐ、もしくは数日経ってから症状が出る可能性があります。
注射部位が赤くはれる、痒みや痛みを伴う、などといった症状や全身症状としては、発熱・悪寒・頭痛などの風邪様症状があります。いずれも2、3日で治まります。
重篤な副作用(0.001%以下の可能性)
急性散在性脳脊髄炎、ギランバレー症候群、肝機能障害いずれも場合によっては死に至るような重篤なものです。
少しでもいつもと違うような体調変化を感じたら、すぐに病院へ行きましょう。
ワクチン接種で本当に予防できる?
実際のところ、ワクチン接種によっての予防効果はあるのでしょうか。医療現場では、医療従事者はインフルエンザワクチンを接種する様にと、定められているところがほとんどです。それを断るには、十分な理由が必要です。
では、医療従事者はインフルエンザにかからないのでしょうか。その答えは、、、×です!!!インフルエンザワクチンを接種していても、やはり罹患者との接触率が高いためか移されることもしばしば。
逆に、インフルエンザワクチンを接種しなくても、患者さんと濃厚接触しながら罹患しない方ももちろんいらっしゃいます。すなわち、全ては自己責任の上で!!
なんて言ってしまえば終わってしまうのですが、予防接種をするにしてもしないにしても、インフルエンザにかからない可能性を増やす、という意味ではインフルエンザワクチンは有効なのかも知れません。
そして何より、ワクチン接種にて一番得られるものは安心感です。この安心感、侮るなかれ。医学的にもしっかりと証明されているプラセボ効果というものです。
プラセボ効果
偽薬効果とも呼ばれ、本来はまったく有効性分を含まない薬を飲んだ患者が、それを薬と信じ込む事によって症状が改善する、といった意味で用いられます。
実際製薬会社もこのプラセボ効果を臨床で用いる様に推奨しており、ある痒み止めの治験結果にて、偽物の薬を飲んだ患者さんの痒みが和らぐ、といった研究結果が出ています。
医療現場でも、患者さんに対して同じ薬を渡す場合に、
「この薬は良く効くのでしっかり飲んでくださいね。」
と一言添える方が、症状の改善が早かったりするため、よく使う技法です。インフルエンザワクチンの場合、それ自体に効果があると言われていますが、プラスα、
「ワクチン接種をしたのだから、今年は絶対にかからない!大丈夫!」
と自分に言い聞かせる方が、効果が高い可能性があるということです。
インフルエンザ予防法
ワクチン接種をするかしないかは自己判断となりますが、しっかりと予防をするにこしたことは無いですよね。基本的なうがい・手洗い・マスクでの外出はもちろんですが、インフルエンザウイルスが苦手な環境を作る事も大切です。湿度60%前後を維持するようにしましょう。
また、インフルエンザだけでなく、一般的な風邪予防としてもオススメなのが、鼻呼吸睡眠法です。読んで字のごとく、睡眠時の鼻呼吸を徹底する方法です。
いびきをかく方や朝起きてのどが痛い、乾燥するなどの症状がある方は寝ている時に主に、口呼吸をしている可能性が高いです。風邪を引くときには、ウイルスや細菌が主に口から侵入するとされています。
鼻には粘膜や毛が発達しており、これがウイルスや最近の侵入を防いでくれます。ここでは簡単に鼻呼吸が出来る方法を紹介します。
鼻呼吸睡眠法
用意するもの:医療用サージカルテープ、もしくは絆創膏
【方法】
寝る準備を全て済ませたら、唇に向かって縦(鼻の延長線上)にテープ(もしくは絆創膏)を貼ります。口が少しでも開くようなら口呼吸に移行してしまいやすいので、口が開かない様に固定してください。ただしきつくなりすぎないように。
※鼻が極度に詰まっている方は、息苦しくなるのでおやめください。
かなり無理矢理な方法かと思われますが、医療者が推奨する方法です。正しく鼻呼吸することで風邪予防だけでなくアレルギー予防にもつながります。
参考:インフルエンザの予防接種に副反応アリ?発熱することも!?
まとめ
インフルエンザワクチンへの意見は賛否両論ですが、予防接種をうけなかったからインフルエンザになってしまった、と落ち込むのも辛いですよね。
例えば大切な仕事や受験期間など、自分を安心させるために受けるといった選択肢もあるのではないでしょうか。
規則正しい生活を心がけ、しっかりと基礎免疫力を高めインフルエンザをはねのける力を身につけましょう。
参考:子どもに受けさせるインフルエンザ予防接種の間隔は何日必要?
参考:インフルエンザ対策を全て網羅!予防から対処法までまとめ