傷を作ったところが不衛生だったり、動物に噛まれたりした傷は化膿しやすいため注意点が必要です。
化膿とは、細菌に感染した傷口が炎症を起こしている状態です。悪化すると黄色いドロドロした臭い液体=膿が出てきます。では一体どういった治療法が良いのでしょうか?まとめてみました。
傷口が化膿しないためにはどうしたらいいの?
傷の大きさや、その時の状態によって、化膿が避けられない場合もあります。小さな子どもが雨の日の水たまりで転んだり、幼稚園などでお友達の汚れた手で引っ掛れてしまう事なども良く聞く話ですね。
参考:傷口をふさぐ「かさぶた」って何でできてるの?どうしてかゆくなるの?
また、動物に引っ掛れたり、噛まれたりした場合も化膿してしまう可能性が高いです。
傷を負った時に、とにかく自分たちでできることは、傷口を水道水で洗い流すことです。以前は真っ先にマキロンを流れるほど吹き付けて消毒をしましたが、今は消毒はしない事が傷を早く治す一番の方法だと考えられています。
とは言っても明らかに不衛生な場所で傷ができた時は、消毒しなくて大丈夫かな?と不安になりますよね。
お子さんの場合は、傷口をキレイに洗ったら、とりあえずワセリンを塗って病院へ行きましょう。化膿しそうもなければ、湿潤療法でハイドロコロイド絆創膏を貼られるかもしれません。その場合は、注意事項があるので、きちんと確認しましょう。やり方しだいで、化膿させてしまうこともあるからです。
もし、すでに化膿していたり、その兆候があると診断された時は、ゲンタシン等の抗生剤の入ったお薬をガーゼに塗って、それを貼り付け傷口を保護する治療になるかもしれません。
化膿がひどくなると、傷口から黄色いドロドロした液体=膿が出てくるので、こまめに軟膏ガーゼの交換が必要です。また、膿むと痛みが増すため痛み止めと炎症止めの飲み薬がでるかもしれません。
黄色いドロドロした膿の中には、細菌を退治するために体内から攻撃した優秀な細胞の死骸や細菌の死骸、また生きた状態の細菌も入っています。
通常の栄養状態であれば薬で治まりますが、免疫力が低下しているような時は、これらが長く傷口にあると、どんどんと体の奥へと進み、破傷風や敗血症をおこす恐れがあるのです。
また、中高年で傷が化膿しやすくなった時は、糖尿病の疑いがあるので、まずは外科の先生に傷をみてもらい、相談してみてください。
傷と言えばオロナイン!万能薬だから使っていいの?
オロナインH軟膏と言えば、日本人で知らない人はいないくらいの知名度と信頼度ですよね。ただ、勘違いしてはいけないのは、万能薬ではないと言う事です。何だか昔から、擦り傷でも切り傷でも「オロナインつけとけば治る!」と信じてきていませんか?
参考:傷口の化膿を止める薬ってステロイド剤なの?非ステロイド剤もある?
たしかにオロナインは、はば広く使えるので万能薬だと思いがちです。幅広く使えると言う事は、特に害がないと言うことにもつながるので、傷につかう場合は治療というより、傷口と空気を遮断して痛みを軽減させるもの。と言う役割が一番大きいかもしれません。
成分的には「皮膚を少し保護しながら、少し消毒もする」と言ったところです。ある程度の傷ならそれで十分なのです。そのため、どんな傷にも使える薬として長い間重宝されています。
ただし、最近の治療では、傷口を消毒しない方が治りが早く、跡も残りにくいと言われています。消毒により、有害な細菌と一緒に治癒力を持った自分の免疫細胞まで一緒に死滅させてしまうからです。
なので、オロナインを使うかどうかは自己判断になりますが、もしも、化膿してくるなどの症状が出てきたなら、オロナインでは治りません。オロナインには抗生物質が入っていないからです。化膿を止めるには抗生物質が必要になります。
抗生物質が入った軟膏にゲンタシンがありますが、これは処方薬なので病院で出してもらわないと本来は手に入りません。一度出してもらっていたのが残っていたりしたらラッキーですね。あまりにも古くなった物はダメですよ。
また市販の軟膏でゲンタシンと同じような成分や効力があるのが、ドルマイシンです。今は個人輸入販売と称し、処方箋が無くてもゲンタシンを通販で買うことができますが、これは自己判断になりますね。
オロナインは傷薬と言うより、最近は美容に良いと噂になっていますね。ニキビが治ったり乾燥肌が潤うなど、依然として老若男女に受けるオロナインって本当にすごいです。
流行りの湿潤療法!でもキズパワーパッドを使ったら化膿しちゃった
最近では、消毒をしないばかりか、かさぶたを作らない!と言う治療が主流になっています。以前は、かさぶたが出来て、かゆくなり始めると、もうすぐ傷が治る証拠。ぐらいに思っていましたが、このかさぶたが皮膚の再生の邪魔をしていることが判明したのです。
そこで、傷口を乾かさない、モイストヒーリングと言う湿潤療法なるものが注目されたのです。
ところがこの湿潤療法は、上手くいけば、傷が早く治り、傷跡も残らず、痛みも少ないと最高の治療法なのですが、手順を間違えたり、勘違いを起こしたまま治療を始めると、傷を化膿させてしまうことも多いのです。
この治療法では、傷口を水道水で洗い流したあと、ハイドロコロイド絆創膏を傷口に密着させる事で、体内から出てくる自己治癒細胞の力でケガを治す方法です。今までの乾燥させる方法とは真逆の発想ですね。
このハイドロコロイド絆創膏を代表するのが「キズパワーパッド」です。いわゆるカット判と言われて真ん中にガーゼがついてる従来の絆創膏とは材質も形もまったく違うものです。
このキズパワーパッドの特徴は、自己治癒力として出てきた浸出液の余分を吸い取り、傷表面の浸出液はゲル状に保って、潤わせることで傷を治すと言う事です。
このキズパワーパッドは潤いを保つことが目的なので、基本的に数日間貼りっぱなしにすると表記してあります。
しかし、思いのほか傷が深いと浸出液の量が多く、キズパワーパッドの許容範囲を超えてしまうことも多々あるのですが、そのような時は、すぐに貼り換えなければならないのに、「貼りっぱなしでいいんだ」と勘違いしていると、化膿を起こしてしまうのです。
キズパワーパッドの貼始めは、ほとんどの場合一日に1~2回の貼り換えが必要になります。お風呂に入って濡れてしまえば、確実に貼り換えなければなりません。傷口に潤いを保つには清潔な傷口にしておかなければ意味がないのです。
湿潤療法を良く理解したうえで使用すればとてもよい体に優しい絆創膏なのです。
まとめ
傷口の奥がズキズキと痛んだり、赤く腫れたり、熱をおびてきたら、傷が化膿していると考えられます。そうなると、オロナインもキズパワーパッドも使ってはいけません。とにかく、感染症をひどくさせないように、抗生物質で細菌退治をしなくてはならないのです。
傷が出来て、血が止まると透明のジュクジュクした透明の液体が出てきますが、これは膿ではありません。これは体内から出てきた治癒機構の軍団です。この軍団に治療してもらうのが湿潤療法になります。
ところが、液体が黄色や緑っぽくなってきて、嫌な臭いがしだしたら、これは膿です。膿が出始めると、傷口が熱を持ったり、赤く腫れあがったりするので、きちんと見極めましょう。キズパワーパッドを使って湿潤療法をしている間に化膿してしまうことは良くあることなのです。
そのような時は、すぐにキズパワーパッドの使用を取りやめ、抗生物質で細菌退治をする治療に切り替えなければいけないですよ。