傷口は乾燥させてしまうとかさぶたができますね。このさかぶたが治りを悪くさせていることがわかったんです。
それに、かさぶたが出来ると痒くてたまりませんよね。では、乾燥させずにどうやって治すのでしょうか?
擦り傷やヤケドにはもうガーゼ付きの絆創膏を使わない!
ケガをした時、絆創膏が傷にくっついてしまい、剥がすのに涙を流した経験をお持ちのかたは大勢いらっしゃるのではないでしょうか。
参考:傷口を消毒しない治療方法って? 絆創膏も薬も不要って本当?
傷の痛みより痛い思いをすることもありますよね。ガーゼも同じです。そこで、今はガーゼは傷口に着けない治療法が主流になりつつあります。
では、何を貼って傷を保護するのでしょう。ハイドロコロイド系の絆創膏って聞いたことありますか?今までのテープの真ん中にガーゼが付いているタイプの絆創膏とは、見た目も役割も値段もまったく違います。
擦り傷やヤケドの治療の概念を一から考え直すチャンスです。これを知る事で、不要な痛みやわずらわしさとサヨナラできるのです。
ハイドロコロイドとは、水分を均等に含みトロトロの状態を保たせることを言います。なので、この成分が入った絆創膏は、傷口から出てくる浸出液を吸い取り、ゲル状に軟化させて密着することで傷口が乾燥しないため、交換時にも傷がくっつかず、痛みがないのです。
あの辛さがなくなったなんて嬉しいかぎりです。
また、傷自体の痛みも軽減されます。傷の痛みは、壊れた組織からむき出しになった神経に空気が当たることで、痛んでいたのです。ヤケドの時などは良くわかりますよね。ほんの少しの傷でもヒリヒリといつまでも痛んで辛い思いをしました。
ところがこのハイドロコロイド絆創膏なら空気が直接神経に当たらないので、その痛みがないのです。
乾燥させるとどうして治りが悪くなるのでしょうか?
そもそも、なぜ今まで傷は乾燥させるものだと言われてきたのでしょうか。出どころを追求すると何世紀もさかのぼってしまい、根拠を確かめられない時代になってしまいます。
参考:傷口に白い膿みたいなものがびっしり!膜張ってるけどこれって新しくできた皮膚?
技術を考えても、密着性を求めることはできなかったでしょうし、乾いてしまった・・・と言うのが本当のところでしょうかね。1870年に細菌は乾燥状態の中では繁殖しない、とはっきり根拠らしきものが確立され、消毒→乾燥→かさぶた→回復 と言う考えになったようです。
その後の劇的な医学の進歩をみると、ケガの治療に関しては、ずいぶん長い間改良されなかったように感じますね。「傷につかない」と表記された絆創膏が人気になったこともありますが、結局は乾燥させることには変わりはありませんでした。
そして、残念ながら、乾燥させるために通気性を良く考えられていたため、傷にくっつかない絆創膏はなかったのです。
乾燥させないと言う事は、体内から出てきた浸出液で傷口を潤わせておく、と言う事なのです。浸出液を拭き取ってしまったら意味をなしません。この浸出液には、傷を治す成分がたくさん入っていて、自分で自分を治す、最高の薬なのです。
そして、乾燥してしまうと、この成分は死んで固まってしまうのです。それがかさぶたです。死んだ細胞などが固まってできたかさぶたは、ばい菌の侵入を防ごうとして、皮膚を覆ったまま長くくっついているため、今度はその部分の皮膚の再生の妨げになると言う弊害をもたらしてしまうのです。
また、かさぶたの周りって薄い皮膚がひきつったようになっていますね。皮膚が乾燥すると、表皮にヒビが入り、その下の神経が通っている真皮の部分に影響してきます。
すると、かゆみが起き、掻けばまた皮膚が傷つく事を繰り返し、肌は荒れてしまい、傷跡もひどくなります。
まとめ
今までの乾燥治療(ドライヒーリング)とは異なり、今回のように、乾燥させない状態を保つのが湿潤療法(モイストヒーリング)です。良いことばかりのようですが、注意しなければならない事もあります。
傷口がウェット状態だと言う事は、どうしても細菌感染=化膿が付いて回ります。洗浄が不十分だった場合や、役目を終えた、余分な浸出液が溜ってしまって化膿する恐れがあります。
また、この湿潤療法に適さない傷もあります。刃物による深い傷や、動物に噛まれた傷など、理由はそれぞれですが、確認することが必要です。
最初は病院で処置してもらうなど、注意することを十分に気を付けて治療を行いましょう。