以前は傷ができると必ず最初に消毒していませんでしたか?でもそれって、実はとてももったいない事なんです。
細菌と一緒に、体の中の必要なものまで一緒に退治しちゃっていたんです。今では擦り傷などができると消毒しない!って知ってましたか?その中身を解説していきます♪
傷口を消毒しない治療方法って?その考え方どこから生まれたの?
消毒とガーゼを使わない!と強く訴え始めたのは形成外科ご専門の夏井 睦(なついまこと)先生です。夏井先生は、ご自分の著書や講演で消毒の意味のなさや、ガーゼが傷に与える惨さなどを訴えていらっしゃいます。
参考:傷口に絆創膏を貼って乾燥させると治りが悪くなるって本当?
最初は医療機関の賛同を得られなかったようですが、今、これだけ広まっていると言う事は、実際に消毒しない方が良いことが証明されていると言う事ですよね。「湿潤療法」と言う治療方は街中のお医者さんでも推奨しているところが増えてきています。
消毒は細菌と一緒に必要な体の細胞まで死滅させてしまうと言う危険性や、ガーゼを使うと、交換する都度、患者さんが痛い思いをし、また傷にも良くない。と言う考え方です。
湿潤療法では、傷は水道水で洗い流し、体内から出てくる浸出液で傷を潤し、傷口を乾燥させない治療法です。この治療法だと、傷が早く治り、傷跡が少なく、空気に触れないので痛みもほとんどない状態で、治すことができます。また、かさぶたを作らないので、治りかけのかゆみに苦しむこともありません。
湿潤療法とラップ療法は同じ考え方?絆創膏じゃない?
湿潤療法とラップ療法は基本は同じ考え方です。ただ、対象者や対象の傷病が違うので、専門の絆創膏や材料を使うか、ラップを使うかなど違いがあります。
なぜラップを使うようになったのかご存じでしょうか。これは、寝たきりの高齢者のために、考え出されたものなのです。寝たきりになると「床ずれ」は避けられない問題で、社会問題になっていた時期もあります。
治らないわりには、治療代が高く、大きな負担になっていました。そんな時に内科医の鳥谷部俊一先生が1996年に発案されたのが、「ラップ療法」です。
この治療法も消毒は一切しません。水道水で洗い流すだけです。細菌は水道水で十分洗い流せるのです。そして、傷口に染み出てきている浸出液を使って治療します。
ここまでは、夏井先生の方法と一緒ですね。ここからは、材料が変わります。傷より少し大きくカットしたラップに白色ワセリンを塗り、その面を傷口に密着させる。と言うのが、ラップ療法です。浸出液は体内から出てきた自然治癒力の集まりです。その力を存分に使えば、殺菌も薬もまったく必要ないのです。
溢れ出る浸出液を吸い取るようにタオルやガーゼをラップの外側に巻き、傷口を清潔に保つために、一日に数回ラップを交換します。この方法で寝たきりの高齢者の苦しみを和らげることに成功したのです。
今では「ラップ療法」→「開放性湿潤療法Opwt」と呼称も変わっています。鳥谷部先生は、あくまでも床ずれの高齢者向けに考えられているので、このまま小さな擦り傷の治療には使えない部分があります。
そこでこの治療法は今では、国民の身近な治療法として、擦り傷や軽度のヤケドのときなどに活用されるように改良されたのです。
まとめ
今は、ハイドロコロイド系の絆創膏などもたくさん市販されていて、あればそれを、なければラップを。と言う治療法が確立してきました。お二方の考えられた治療法の良いとこ取りをする感じですね。
せっかく良い治療法が見つかったのですから、上手に治したいものです。
そのためにも、きちんと勉強する必要がありますね。