自分の痰をまじまじとみてみると、透明だったり黄みを帯びていたり、同じ痰なのに不思議ですよね。でもこれにはれっきとした理由があるのです!
透明の場合は何の心配もないのかというと、そういう訳でもありません。透明でも大量に出てくる場合は注意が必要です。
ここでは痰の色でみえてくる症状や原因の違いをまとめますよ!
目次
透明な痰が出続ける?考えられる病気とは
透明な痰は最も一般的で気道を流れる潤滑液の色そのものです。
しかし、その性質や量によっては、危険な病気が潜んでいる可能性も。性質や症状から考えられる病気を解説します。
粘液性(ネバネバ)の痰
痰がネバネバしている原因は様々ありますが、体質が関係することも。東洋医学では熱を帯びやすく水分代謝がうまくいっていない体質の方は、痰も粘つき水分量が少ないものが出ることが多々あります。
色が透明や白色であれば、ウイルスやそれ以外の原因による上気道に炎症が疑われます。杯細胞(さかずきさいぼう)や気管支腺など痰を生成するところが過剰に働くことによって粘液性の痰となります。
疾患としてはウイルス性の感染症やタバコの吸い過ぎが原因となるCOPD(慢性閉塞肺疾患)などが考えられます。
漿液性(サラサラ)の痰
毛細血管の透過性が亢進した際にみられる痰で、色は透明や白色です。
量が異常に多い場合は肺胞上皮癌を疑うこともありますので、痰の症状が続くときは病院で診てもらうようにしましょう。また、気管支の炎症でも生じる痰ですが、風邪による急性気管支炎や気管支喘息の可能性も。
透明な痰で特に気をつけたい病気の症状など
透明な痰が出る際に特に気をつけたいのが気管支の炎症です。
急性的なものから慢性的なものまで様々ですが、透明な痰が出続けるというのがひとつの症状の目安になります。重要な病気について説明します。
COPD(慢性閉塞性肺疾患)
70歳以上の6人に1人が患っているともいわれるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)ですが、一番の原因は喫煙によるたばこの影響です。
また、非喫煙者でもPM2.5などの大気汚染が原因で発症することもあります。症状としては慢性的な痰や咳、気管支が狭まることによる呼吸困難、進行すると体重減少などがみられます。
常に肺に炎症が生じてしまっているので、わずかな風邪症状でも死の危険性が高くなります。末期には自分で呼吸をして酸素を取り込めないことから、在宅酸素吸入をして暮らすことになります。
治療のまず第一歩は、喫煙者はもちろんのごとく禁煙です。たばこを吸っていて痰の症状が長く続く場合はCOPDの可能性がかなり高いので、一度専門医を受診してみてください。
アレルギー性気管支炎
ハウスダストやダニなどでアレルギーが生じてしまい気管支炎となる病態です。風邪をひいたことをきっかけに発症することも多く、風邪の延長線のような症状が長引いているかのように思われることも。
風邪を引いてから咳や痰の症状が2週間以上長引くようなら、アレルギー性気管支炎である可能性があります。対策としては部屋を清潔に保ってアレルゲンを取り除くことや刺激物を摂取しないこと、たばこを吸わないことなどが挙げられます。
この症状がさらに長引くことで気管支喘息へと移行する可能性もあるので、早いうちに治療をするように心がけましょう。
気管支喘息
年々増えている病気のひとつが気管支喘息で、子どもにも大人にも生じ得ることが特徴です。
原因はさまざまで、大気環境や住宅健在などの化学物質、また清潔すぎる環境で暮らすこともひとつの原因となる要素と言われています。症状は咳や痰の他にも、「ヒューヒュー」といった呼吸音(喘鳴)や胸の痛みがある人も。
朝方や天気の変わり目などに症状が酷くなることが多く、気温差やストレスなど酷い疲れなどでも引き起こされます。痰の他の症状が特徴的であるため、症状に気がつかずに進行するといったことはまれですが、適切な治療を受けるようにしましょう。
痰の色で見極める!色・性質別痰の種類と原因
次は透明以外の色がついた痰の症状をみていきましょう。
あなたの痰はどんな色をしているでしょうか?また、ネバネバしていて喉に絡み付くタイプですか?それともビックリするような塊になって出てくるような水っぽいものですか?
色や性質など様々な特徴によって痰の種類は分けられます。まずは痰の種類を知って、原因を突き止めましょう。
膿性の痰
白黄〜淡黄色
もっとも目にしやすい痰の色で、風邪を引いたときなどに出る可能性の高い痰です。
黄色は細菌感染や細菌の死骸の混入が疑われる状態です。急性咽頭炎、急性気管支炎、急性肺炎などの罹患の可能性が考えられます。
緑色
古くなった細菌や緑膿菌が生み出す緑の色素による着色です。
病態としても長期化してしまったときに緑色の痰が出る傾向にあります。病気として疑われるものは、慢性気管支炎、びまん性汎細気管支炎などが挙げられます。
さび色
痰に少量の血液が混ざることでさび色のようにみえます。血液が混ざるということは痰が生成されるまでの過程での出血が疑われますが、肺腫瘍など重大な病気が隠れていることも。
他にも体調不良などの症状を抱える場合は医師に相談してみましょう。
また、肺炎球菌が関連する病気の可能性もあります。息苦しさや喘鳴などが併発するときは速やかに病院へ行くようにしましょう。
泡沫性の痰
ピンク色
わずかな血液が混ざることによるピンク色に空気が入り泡沫性の痰となります。
原因は肺循環が滞ることによるもので、肺水腫などの病の危険性があるのでピンク色の痰が出た場合にはすぐに病院を受診するようにしましょう。
血痰
茶色、暗赤色
血液が完全に混ざった状態の痰です。どこからの出血かは素人では判断できませんので、すぐに専門医を受診してください。
ただし、消化器官からの出血が気道を通って痰と混ざることはまず無いので、呼吸器系、気管支に関する出血が疑われます。
肺がんなどの恐れもありますので、注意しましょう。
黄色い痰や緑の痰、実は「痰」じゃないかも?!
そもそも痰とは気道を流れる分泌物であり、気道を逆流することで喉まで上昇し口から外へ出て行きます。
ここで痰と勘違いされやすいのが、「後鼻漏」の症状です。これはいわゆる蓄膿症状により鼻水が喉の方へ流れ落ちてしまい痰のようなかたちとなって出てくるのです。
独特な色や臭いがあるので、当てはまる場合は蓄膿症の治療が必要です。詳しくみていきましょう。
蓄膿症での「痰」
蓄膿症で出てくる「痰」はまぎれもなく鼻水そのものです。
副鼻腔に貯まった膿が喉の方に落ちて来て痰のように感じるのです。蓄膿症での鼻水は色が強く粘り気が酷いものが多く、喉仏にへばりつくほどの粘性を持っています。
主な症状
蓄膿症の主な症状は言うまでもなく鼻水です。ただし鼻水を吸ってしまうことが定着してしまっている方では痰ばかりが出てしまうといったこともあるようです。
この痰を外に出そうと咳が増えることもあります。
また進行すると口臭が酷くなり、他人に指摘されるほどに。目の下辺りを押すと痛みがあったりと、副鼻腔に膿が溜まることによる代償は様々です。
主な治療法や対策
蓄膿症は慢性化した症状であり、それを薬で一気に治療するといった方法は残念ながらありません。
時間をかけて体質を改善していくことが大切です。日常で出来ることは鼻呼吸を意識することです。蓄膿症になりやすい方のほとんどが口呼吸をしてしまっているといった傾向があります。鼻が詰まっているときには、詰まりをとるツボを押すと効果的です。
また、膿を排出する作用のある漢方薬やなた豆茶なども有効ですが、どれも即効性のあるものではありません。長引く膿性の痰があるならば、蓄膿症を疑って対策をしてみましょう。
まとめ
自分の痰の色をしっかりと見ることはあまり無いかと思いますが、ひとつの健康のバロメーターになります。
咳や胸の痛みなどの症状がなくても、痰が長引くということは体からのSOSかも知れません。痰の色によって様々な病気の可能性が考えられますが、急な体調変化が無い限りは日々の生活習慣を見直すことで治ることがほとんどです。
気管支に優しい生活を心がけてみてはいかがでしょうか。
参考:痰を減らす効果のある市販薬とは?痰の原因から改善する方法まで