喉に絡まってなかなか吐き出せない痰、水の様に塊で流れ落ちる痰、また透明や緑っぽい色のものまで、一概に痰といっても色んな種類が存在します。
まず、なぜ痰が塊になって出てくるのか、また切れにくい痰をうまく出す方法を紹介します。痰の性質によって対処法も異なりますので、自分の痰がどんな状態かをしっかりと観察しましょう。
ここでは辛い痰の塊を抑える対処方法を解説します!
目次
痰が塊になって出てくるのはなぜ?
そもそも健常人では、気道を保護する気道分泌液が一日に10〜100ml生成されています。
ではこれが塊である痰となって逆流するのはなぜでしょうか。痰がなぜ出てくるのか、どんな役割があるのかを説明致します。
痰が塊として出てくる理由
体には様々な外敵からの防御機能が備わっていますが、痰もその防御のひとつです。
不意に入って来てしまった細菌やウイルスに対して、深部の肺などにまで到達しないように痰として敵を絡めて塊となり外に出そうとしているのです。また、日常的にも痰は生成されていることが普通であり、空気中のホコリやハウスダストが体内に入るのを防いでいます。
しかし、普段から痰の塊が気になることは無いですよね。これは自然と食道に流れ込んでいるからです。痰が塊として気になるということは、もはや細菌やウイルス感染、ホコリやハウスダストへの過剰曝露が疑われます。
痰を飲み込んでしまったら?
痰が繰り返し出る人は、飲み込んだ痰が再び出て来ていると思いがちですがこれは間違いです。
痰は気道から分泌されますが、飲み込んだ場合は食べ物と同じく食道に落ちていきます。すなわち痰が何度も出るというときは、それだけウイルスや細菌と戦うために生成されているのだと思いましょう。
また、痰を飲み込んだからといってすぐに深部に届いてしまうという訳ではありませんが、出来る限り痰は外に出すようにしましょう。
種類別!痰を減らす対処法
一般的に痰の色で分けると、黄色や緑など色のついている痰は細菌感染が疑われます。風邪と併発していることもありますが、その場合風邪の症状が治まれば痰もなくなることがほとんどです。
まずは風邪の治療に専念しましょう。ただし、風邪によって症状が出たが、痰だけが治らない、または風邪でもないのに痰がずっと続いているなどの際は痰に対する治療が必要になります。
ここでは慢性化している痰の症状に有効的な治療法や日常生活で取り入れたい痰解消法を紹介します!
病院で出される痰の薬
痰を解消する薬にも種類がありますが、痰の性質によって使い分ける必要があります。
もちろん薬を処方するのは医師なので、自分の気になっている痰の状態や色、性質などについて詳しく医師に伝えるようにしましょう。
以下の薬が処方されるお薬の代表例です.参考にしてみてください。
とにかくネバネバの痰
粘性を下げる薬が処方されます。粘性を下げる方法としては、痰のネバネバを作り出している強固な成分同士の結合を切ってしまうものがあり、その代表的な薬が塩酸ブロムヘキシン(商品名:ビソルボン)です。
また気道をサラサラにして痰を出しやすくする薬が併用されやすく、それがアンブロキソール(商品名:ムコソルバン)です。アンブロキソールは肺の表面を覆う肺サーファクタントを活性化させ排出を促進する線毛運動を促進します。
サラサラだが大量の痰
痰を作り出す杯細胞を抑制する薬が処方されます。
代表薬はカルボシステイン(商品名:ムコダイン)やフドステイン(商品名:クリアナール)です。
これらは痰の量を減らす作用の他、痰のネバネバとサラサラの比率を調整して、「丁度いい」痰の粘り気を作り出します。
ネバネバで大量の痰
この場合、上の二つを組み合わせた処方が考えられます。
特にブロムヘキシンとカルボシステインの併用が多く、痰の粘性を低めながら量を減らす治療となります。
日常的に出来る痰解消法
痰がでる原因は様々ですが、日頃から体調を崩しやすい方は特に「口呼吸」をしてしまっている傾向にあります。
口にはウイルスや細菌を防御する能力が低く、直接的に咽頭の方まで外敵が運ばれてしまうので、口呼吸によって空気中の細菌やウイルスに感染する確率がぐっと高くなります。
また、気管支に炎症をおこしてしまうと痰が生成されやすいので、原因疾患の治療や対策が必要です。具体的には
- 鼻呼吸を意識するため口の周りの筋肉を鍛える(口を閉じた状態を保てるようにする)
- ホコリやハウスダストの多い環境を避ける
- 喫煙者は禁煙を心がけ気管支の炎症を抑える
- 排気ガスなどの曝露を避けるようにする
- 体の免疫力を高めるために規則正しい生活を心がける
特に鼻呼吸に切り替えることで、異物を体内へ取り込んでしまう確率がぐっと下がります。
痰の量を減らす以外にもメリットが多いので、普段から意識するようにしましょう。空気の悪い環境に長くいる必要のある人は、マスクをするなどして汚い空気を吸わないようにしましょう。定期的に森林浴などして体に綺麗な空気を取り入れてあげることも大切です。
気になる痰をうまく出す対処法
痰を減らすことは痰の本来の意味から考えると、そうオススメできるものではありません。
痰が出ている原疾患の治療が最も大切であり、また痰が出てくるのならそれを適切に外に出すことが体を守る行動でもあります。なかなか絡んで外に出しにくい痰など、うまく吐き出す方法を説明します!
水分を多めにとる
痰が絡みやすい方は体内の水分量が減っている傾向にあります。
多めの水またはぬるめのお白湯を飲みましょう。自然と粘性が減り外に出しやすくなります。
室内の湿度を上げ乾燥に気をつける
喉や気管支の乾燥は痰を絡みやすくし体外への排出をしにくくします。
室内の湿度を加湿器などである程度保ち、またマスクをするなどして気管支を乾燥しにくくしましょう。
痰をうまく出す体勢をとる
自然と外へ出しやすい体勢をとることで痰をしっかりと逆流させることができます。体勢とその方法は以下の通りです。
横向きになって痰を出す方法
- 横向きに寝た体勢をとり深呼吸をします
- 痰が口の方まで上がってくるまでゆっくりと繰り返します
- 大きく息を吸ってから小刻みにお腹から息を出すようにします
- 痰が完全に口にまで上がってから吐き出します
逆さまになり痰を出す方法
- 逆立ちをするかまたは椅子に座って腰を折り頭を床の方に下げます
- 気道分泌液が自然と口の方に流れてくるのでその勢いを使い痰を出します
※ただし高血圧のかたや脳に疾患のある方、めまいやふらつきを覚えやすい方はしないように。
吸入器を使う
特に上咽頭炎や鼻粘膜の炎症などに有効であり、吸入器から出るミストによって鼻や喉の粘膜を潤すことで異物を外部へ押し出す繊毛運動を活発にさせます。
もちろん痰が出ているときには痰を出すことにも有効ですが、日常的に吸入器を用いると痰の症状も和らいできます。吸入器は医療機器を扱う病院や薬局、電気量販店などでも購入可能です。
参考:痰を減らす効果のある市販薬とは?痰の原因から改善する方法まで
まとめ
大量に出てくる痰が気になるときは、体が助けを求めていると考え痰と向き合うことにしましょう。
安易にお薬を飲んで痰を減らしてしまうことで、外敵を中に入れてしまう可能性もあります。長引く痰の症状や、痰の他に咳や熱などを伴うときは無理をせず専門医を受診するようにしてください。
また、大切なことは常に免疫力を高めて外敵を体内に入れないことです。鼻呼吸など日常からできることを心がけ、規則正しい生活をするようにしましょう。