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手湿疹は、水ぶくれのような水疱(すいほう)というものができ、手が無性にかゆくなる皮膚病です。

 

また、この水疱を潰してしまうと中からベトベトした汁が漏れて、さらにかゆくなり、患部も広がってしまうため、悪循環となりなかなか治らず苦労されている方も多いのではないでしょうか?

 

さらに見た目も悪くなってしまい大変つらい手湿疹ですが、今回は、水疱は他の人にうつるのか、また、早く治す方法について詳しく解説していきますね。

 

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手湿疹で水疱ができる原因

手湿疹 水疱

手は表皮の4層とその下の真皮(しんぴ)からなっているのですが、表皮がダメージを受けると、真皮にある毛細血管から血漿(けっしょう)という血液から赤血球を除いた透明な液体が漏れて皮膚の下にたまってしまうのが水疱です。

 

まず、皮膚の基本構造ですが表皮は上から、

 

【角質層(かくしつそう)→顆粒層(かりゅうそう)→有棘層(ゆうきょくそう)→基底層(きていそう)】

 

という4つの層が重なって構成されており、その下に真皮という全体に毛細血管が広がり、肌の弾力性を保つコラーゲンが網の目のように広がる層があります。

 

表皮はターンオーバーといって上から古い死んだ皮膚が剥離(はくり;はがれること)していき、その代わりに下から新しい皮膚が浮き上がって、約1ヶ月で完全に生まれ変わっていくのですが、真皮はターンオーバーしないため、ニキビなどのダメージが真皮まで及ぶと、肌がクレーターのように凹んだ状態になってしまうのが大きな違いです。

 

表皮に傷がついて細菌の侵入による炎症やアレルギー物質によるかぶれなどで、ターンオーバーが正常に行われなくなった時に、皮膚の再生が上手くいかず、水疱や皮膚のひび割れなどの症状が現れてしまうのです。

汗疱と手湿疹は非常に似ている

汗疱(かんぽう)も手湿疹同様、皮膚に水疱ができる疾患ですが汗をかきやすい人に発症することが多いので、汗の分泌(外に出るのが)が上手くいかないのが原因と言われています。

掌・足の裏に汗をかきやすい人は毎年春と秋に掌・足の裏に1~2mmの小水疱ができます。これが汗疱です。

あるいは指の外側、つまり指の背面と腹面のつなぎ目に小水疱ができることもあります。これは汗が完全に皮膚から外へ排出されずに表皮の下に貯留した状態です。

引用元/医療法人恵友会

そして、汗疱には左右対称に症状が現れてくる場合が多いという特徴がありますが、かいたり、擦れて片方が悪化する場合もあるため、手湿疹と判断が非常に難しい病気です。

 

また、汗疱は初期の段階ではかゆみが無いのですが、悪化すると強いかゆみを伴います。

 

汗疱が発症する原因はまだはっきりとは解明されていませんが、汗の分泌以外で考えられている原因としては金属アレルギー、ストレス、アトピーなどです。

 

参考:かゆい!指先の汗疱の原因は?治療法や改善する方法

手湿疹になる原因とは?

手のひらには、他の場所の皮膚にはある皮脂腺(ひしせん;皮脂を分泌する腺)がなく、手の甲にも少ないため、乾燥しやすい他、洗剤や水に触れる機会が多いため、皮膚のトラブルを起こしやすい場所となります。

 

皮脂というと、ベタベタしてあまりいいイメージはありませんが、皮脂が分泌されることで、皮膚の水分の蒸発を防ぎ、乾燥などから守られているのですが、手のひらには皮脂腺が全くないので、うるおいが失われやすいのです。

 

また、手洗いや食器を洗う時に使う石鹸や洗剤には界面活性剤(かいめんかっせいざい)という、油分を強力に分解する成分が入っているため、手がカサつきやすく手荒れの原因となり、それが手湿疹につながってしまいます。

「手湿疹(主婦湿疹)」の原因には、洗剤やシャンプーなどの使用からおこる“化学的刺激”や、家事や作業などでの摩擦による“物理的刺激”などがあります。

これらの刺激によって皮ふの油分・水分が奪われ、乾燥症状が悪化することで外的刺激に敏感になり、炎症や湿疹、つらいかゆみなどの症状が現れます。

引用元/ロート製薬

他にも界面活性剤は、シャンプーや洗顔料にも入っており、保湿をしないと皮膚はうるおいを失ってひび割れて炎症を起こしてしまうので、こまめな保湿が重要です。

 

食品関係の仕事をしている方は、菌の繁殖を抑えるために手をアルコールで消毒することもあり、乾燥が原因で手湿疹となってしまうことも多いです。(アルコールが蒸発する際に、手の水分も持っていってしまいます)

 

他に、皮膚が生まれ変わるターンオーバーを邪魔する要因として、ストレスや不規則な生活、バランスの悪い食事やアレルギーがあり、体の内外から原因となるものを排除していく必要があるのです。

手湿疹の水疱はうつる?

手湿疹 水疱

手湿疹の水疱は、血液中の血漿(けっしょう)という成分が漏れているだけで、ウイルス性のものではないので、うつることはありません。

 

水疱はあくまで血液中の成分(血漿)が皮膚の奥にある真皮の毛細血管から漏れているだけなので、水虫のように触れたり、水疱が破裂した際に出た液体からうつることはないです。

 

しかし、手湿疹が悪化して、常に水疱から液体が漏れ出ている場合には、臭いがする場合があるので、まめに絆創膏を替えるなどの対策が必要となるでしょう。

水疱が破裂している場所にはハンドクリームは塗らない

ハンドクリームは主に角質層を保湿するためのもので、水疱が破裂している場合には、角質層がはがれた部分に(傷口のような場所に)塗り込むことになり、うるおいを与えるどころか刺激により炎症を悪化させてしまうので、塗らないようにしましょう。

 

皮膚が正常な状態でないと、うるおい成分(セラミド、ヒアルロン酸など)を十分に吸収することができないのですが、水疱が破裂している場合には、その部分は外からの刺激や細菌から保護する角質層がなく、内部がむき出しになっている状態ですので、清潔にして水に濡れないようにすることで、細菌の繁殖を防ぐことが大切です。

 

また、水疱がある部分の皮膚は、下から完全にはがれて浮いている(死んでいる)状態なので、ハンドクリームの効果はほとんどありません。

 

ただ、塗る際に力が入り破ってしまうこともあるので、避けて塗って下さい。

 

手湿疹にかかってしまったら、尿素入りのハンドクリームは使用しないで下さい。尿素は皮膚を柔らかくし、ターンオーバーを助ける働きがありますが、手湿疹を発症している時の皮膚はすでにもろい状態なので、さらに悪化させてしまいます。

 

また、ワセリンはハンドクリームと違い、患部を保護するためのものでワセリン自体に保湿成分は入っていないので、きちんと用途を使い分けるようにしてください。

 

ワセリンの中では白色ワセリンが一番不純物も少なく刺激が少ないので、使うなら白色で医薬品のものを使いましょう。(ドラッグストアで売られている「Vaseline」は黄色ワセリンなので不純物が多く、手湿疹のケアには向きません)

手湿疹と似た症状の掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)とは

手湿疹 水疱

手や足の裏に水疱ができ、それが全身に広がっていく病気で、手湿疹と違い掌蹠膿疱症性関節炎といって関節の痛みなどを伴うこともあります。

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掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)と手湿疹の大きな違いは、手湿疹が皮膚の病気であるのに対して、掌蹠膿疱症は骨にまで影響を与える場合があるということです。

 

また、足の裏にも水疱ができるため、歩くと潰れてしまいそこに細菌が繁殖し、悪化すると出血を伴い歩く度に激痛が走る場合もあります。

手のひらや足の裏に、たくさんの小さな膿疱(のうほう)が出現する病気です。

皮膚の症状だけでなく、関節痛があったり、鎖骨(さこつ)と胸骨(きょうこつ)で接する部分でふくらんでしまうこともあります(掌蹠膿疱症性骨関節炎)。痛みは、激痛であることもあります。

引用元/すずひろクリニック

手湿疹との合併症も

手湿疹と掌蹠膿疱症は違う病気ですが、掌蹠膿疱症の皮膚へのダメージが原因となって手湿疹を引き起こす場合もあるのです。

 

手の皮膚が掌蹠膿疱症により慢性的に炎症を抱えていると、手のバリア機能(皮膚の一番上の層である角質層が潤い成分を十分に蓄えていることで、水分の蒸発を抑え、細菌が侵入するのを防ぐこと)が働かないので、細菌が簡単に侵入して炎症を起こす原因になってしまいます。

 

そうなると、皮膚の内部で炎症が起こり、手湿疹の症状である水疱ができやすい状態となり、掌蹠膿疱症と手湿疹の2つが発症してしまい、片方の症状が改善しても手の水疱がおさまらないということが起こるので、水疱が手や足にできたら、早めに病院で診察を受けて下さい。

 

ちなみに手湿疹の場合は水疱ができる場所は指先に多く、掌蹠膿疱症は手のひらに多いという特徴があります。

 

掌蹠膿疱症の水疱も細菌性のものではないため、触っても他の人にうつることはないです。

 

そして、掌蹠膿疱症の発症の原因はまだ分かっていないため、対症療法(根本的な原因を治すのではなく、現在の症状を改善する一時的な治療)で治療することとなります。

 

しかし、金属アレルギーや喫煙、脂肪分のとり過ぎが症状を悪化させるため、病院でお医者さんのアドバイスを受けて生活習慣を変えることで、症状が改善に向かうこともありますので、早期治療が非常に大切です。

 

参考:足の裏に水ぶくれが…この原因と症状を治す対処法は?

手湿疹の治し方と予防法

手湿疹 水疱

手湿疹を治すためには患部が極力水に触れるのを避けて、細菌の繁殖を避けるため清潔にすることが重要となります。

 

手湿疹を予防するにはこまめな保湿と、栄養バランスのいい食事と規則正しい生活リズムを整えることが重要です。

 

手湿疹になって水疱ができてしまったら、水疱をかいたりして破らないようにしましょう。水疱が破れると角質層よりも下の層が露出してしまうため、細菌に対する防御力がほとんどない状態となり、炎症により患部が広がってしまいます。

 

かかずに様子を見るのが一番ですが、もし、意図せずに破れてしまった場合は、水で清潔に洗い(石鹸は刺激となります)、絆創膏で保護した後、早めに皮膚科にいきましょう。

 

水疱が破れると自然に治ることは難しく、一度はおさまっても再発することが多いからです。

 

また、水疱の上の皮膚は下の層から浮いており、血管からの栄養補給を受けていないため、見た目は治ったように見えても、皮膚内部ではかなり深くまでダメージを受けている場合があります。

手湿疹は早めの治療が大切

手湿疹は水疱ができることにより、皮膚のバリア機能が破壊されて細菌による炎症が起こりやすい状態となるので、範囲が小さいうちに治療することが大切です。

 

ステロイド剤を使いたくないので病院へいかないという方もいらっしゃると思いますが、病院によっては漢方や食事療法により、ステロイド剤を使わない治療をしている病院もありますから、そういう方こそ早めにご自分に合う病院を探す必要があります。

 

また、手湿疹の水疱は指先にできやすいため、1本の指にしか症状がなければ、別の指を使って細かな作業ができますが、全ての指に症状が出てしまうと、絆創膏で保護する範囲が広くなり、日常生活に支障が出てしまうので、早期の治療で範囲を広げないようにしましょう。

絆創膏は手に優しいものを選ぶ

安いビニール製の絆創膏は、通気性が悪い上に水に弱くかぶれの原因となります。

 

また、すべるため物を掴む作業にストレスを感じるので、少し高価でも通気性がよく水に強い絆創膏を選んで下さい。

 

手湿疹を悪化させる原因の1つにストレスがありますが、安価な絆創膏は何度も張り替える際に便利ですが、絆創膏によるかぶれのリスクが高いため、伸縮性があり皮膚に負担をかけないものを選ぶと手湿疹の治りも早くなります。

 

そして、ポイントは患部よりも少し大きめサイズの絆創膏を選ぶということです。

 

貼る場所が指先や関節の近くになると、指を曲げた際に、接着面が小さいとズレやすいので、作業に集中できずストレスとなるので大きめのサイズを選びましょう。

シャンプーや石鹸、洗剤、熱湯は避ける

シャンプー、リンスや石鹸、洗剤には油分を強力に溶かす界面活性剤が入っているため、手の潤い成分が流れて、乾燥してひび割れの原因になるので、避ける工夫が必要です。

 

まず、食器を洗う際にはゴム手袋をして洗剤を避けましょう。

 

市販されているゴム手袋には、着脱しやすいようにとうもろこしの粉末が振ってあるものがありますが、手湿疹の時にはそういったものが刺激となるのでパウダーフリーのゴム手袋を選択し、それでもかゆい場合には、中に調理用の薄手のビニール手袋をはめて下さい。

 

シャンプーをする時には、患部が広くなければその場所にシャンプー液がかからないように注意して、ついてしまったらその都度水でよく流し、患部が広範囲に及ぶ場合には、美容師用で使い捨てのカラーリングやシャンプー用の手袋が市販されているので、そちらを使うことをおすすめします。

 

最後にお湯の温度ですが、熱すぎる温度のお湯をかけるとセラミドなどの潤い成分が溶けて流れ出してしまいますし、さらに、皮膚が弱っている時には軽いやけどのような状態になり、かゆみが増してしまうので避けましょう。(シャワーから患部に直接お湯をかけると一時的にかゆみがなくなるのでやりがちですが、感覚が麻痺しているだけで、実際は悪化しています)

 

また、ゴム手袋をしていても、上から熱いお湯がかかると、手袋の中がムレて汗でかゆくなってしまう場合があるので、手湿疹で水疱がある時は特に気をつけて下さい。

手湿疹にならないためには保湿が重要

手のひらには皮脂腺がないため、乾燥しやすいのでこまめに保湿し、角質層(皮膚の一番上の層)が健康な状態を保ち、バリア機能を高めておくことが大切です。

 

毎日の手洗いやシャンプー、食器を洗う際はもちろんですが、紙の書類を何枚も触っているだけでも手の皮脂は失われていきますので、こまめな保湿が手湿疹の予防となります。

 

また、末端冷え性の方は、指先まで血液が届きにくく、栄養補給が遅れやすいので特に気をつけて下さい。

 

冷え性でない方でも、体調が悪い時には、血行が悪くなり血を送る心臓から遠い場所は、血が届きにくくなるので注意が必要です。※血液によって皮膚を作るために必要な栄養は送られます。

栄養バランスの取れた食事とストレスをかけない工夫

栄養バランスが偏ると、免疫力が落ちて肌トラブルの原因になる他、ストレスが手湿疹の原因になることもあるので、毎日の生活リズムを整えて免疫力を高めることが手湿疹の一番の予防です。

 

手湿疹は皮膚の病気なので、普段から皮膚の状態を良くしておけば発症するリスクが最小限に抑えられるため、外から保湿をするのと同じように、体内から皮膚に必要な栄養を入れてあげることも重要となります。

 

皮膚に必要なのは主にビタミン類とタンパク質ですが、特にビタミンは不足しがちなので、生野菜を多く摂るようにしましょう。アルコールや脂肪の多い食事は消化するのにビタミンを大量に必要とするので、食べ過ぎ飲み過ぎは避けて下さい。

 

また、ストレスは非常に難しい問題ですが、ストレスが溜まるとビタミンCが消費されてしまうので、生活リズムを整えて、十分な休息と睡眠をとることで疲労やストレスをためないようにしましょう。

 

朝は、日の光を浴びることで、体の免疫システムが活性化するので、時間に余裕を持って起きることも、免疫力を上げて手湿疹を予防するのに効果的です。

まとめ

手湿疹の水疱から他の人にうつることはありませんが、潰してしまうと細菌が侵入し炎症が起きて患部が広がるので、かゆくても極力かかないようにしましょう。

 

今は漢方など色々な治療法があるため、ステロイド剤に抵抗がある方も事前に調べて早めに病院で診察を受けて、症状が軽いうちに治療をすることが大切です。

 

手湿疹を予防するにはビタミンが豊富な食生活と、アルコールや脂肪分の多い食事を控えめにすること、ストレス改善のために疲労をためないことが重要ですよ。

 

参考:指の間がかゆい!考えられる原因や病名は?

 

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