一度できてしまうとすぐには治らず、水虫と勘違いされることが多い汗疱(かんぽう)ですが、汗疱ができる原因は、私たちの生活の非常に身近なところにあることを知っていましたか?
特に、よく物に触れる部分である指先にできてしまうと、かゆみが気になって作業がはかどらないですし、ストレスもたまりますよね。
そこで、今回は汗疱ができる原因と、汗疱ができてしまってから症状を改善する、あまり知られていない方法もご紹介いたしますので、ぜひ最後までお読みください。
汗疱ができる原因とは?
はっきりとした原因はまだ分かっていませんが、いくつか考えられている原因がありますのでご紹介いたします。
汗が上手く排出されず炎症を起こす
汗の成分が汗腺(かんせん)に詰まり、上手く汗が排出されないことが原因となって、皮膚の内部で炎症を起こしてできてしまうということです。
特に、指先はパソコンの雑菌が沢山いるキーボードやスマートフォンの操作をするので、炎症を起こしやすい部分ですね。
食べ物や金属が体内に入ることによるアレルギー
アレルギーのある食べ物を食べると、皮膚の表面にじんましんやかゆみがでるのと同じように気づかないうちにアレルギーのある食物を食べてしまい、それが皮膚に汗疱となって表れているのではないかということです。
また、歯医者さんで行った虫歯の治療の際にかぶせた金属が徐々に溶け出して体内に入ることによる、アレルギー反応とも言われています。
金属やアレルギー物質が触れて起こる接触性皮膚炎
金属が肌に触れてかぶれる金属アレルギーは一般的ですが、それ以外にも人によってアレルギーを起こす物質は様々です。
アレルギー物質が肌に触れて炎症などのトラブルを起こすことを接触性皮膚炎(せっしょくせいひふえん)と言うのですが、代表的なものでは、ホコリや洗剤、ゴムや一部の植物、または、特定の化粧品やシャンプーに含まれる成分が、人によっては原因物質となることもあるので注意してくださいね。
接触性皮膚炎は近年急増しており、原因は子供の頃から過度に清潔にすることによって、免疫力が下がっているためと言われています。
季節の変わり目におこる肌の不調
季節の変わり目は、気温や湿度が急に変わりますから、それに対応しきれなくなり、肌が敏感になり外からの刺激を受けやすくなることがあります。
汗疱ができるのも季節の変わり目が多いので、環境の変化によって弱くなった肌に刺激が加わることにより症状が表れたりしますよ。
ストレスや自律神経の不調による栄養不足
ストレスが溜まると、体の様々な部分が正常に働かなくなり、皮膚を形成する原料であるたんぱく質やビタミンCやビオチン(ビタミンH)が、上手く運ばれないことによって、肌の再生力が落ちてボロボロになってしまい汗疱を引き起こすということです。
また、不規則な生活で自律神経のバランスが乱れて、交感神経(昼間活動している時に優位になり血の流れが悪くなる)と副交感神経(夜眠っている時に優位になり血の流れが良くなる)のスイッチの入れ替えが上手く働かず、免疫機能が低下し睡眠も浅くなることで疲労がたまり内臓の機能が低下してしまいます。
そうなると、新しい皮膚を作ることができなくなってしまうので、紫外線などで傷ついた肌の修復ができず、トラブルを起こしやすくなってしまうことから、汗疱ができるとも考えられています。
アトピー性皮膚炎が原因?
アトピー肌の方は、皮膚が弱く刺激に対する抵抗力も少ないので、乾燥肌やアレルギーによる炎症を起こしやすいです。
そして、汗疱と同じような症状の手湿疹(主婦湿疹ともいいます)になりやすく、同じく水泡ができて、かくとジュクジュクとした液がでるという特徴があるため、非常にどちらかを判断するのが難しく、初期の段階ではどちらかわかりません。
汗疱は一般的には2週間から3週間ほどで治ると言われていますが、重症化した場合期間が長引くこともあります。
そのため、汗疱とアトピー性皮膚炎の線引きが難しく、最近では、アトピー性皮膚炎が汗疱に関係しているとも考えられています。
汗疱が悪化する原因を断つことで症状を改善!
汗疱は、はっきりとした原因が分からないので非常にやっかいですね。
それでは、具体的に汗疱はどのような症状で、どうすれば治るのか対策を紹介していきたいと思います。
汗疱の症状とは?
汗疱ができやすいのは手のひらや手指の間、足の裏などです。
小さな水泡(すいほう)が皮膚の内側にできて、場合によっては複数の水泡が合体して大きくなり大豆くらいのサイズになることもあります。
また、汗疱ができた部分はかゆくなり、場合によっては軽い痛みもともないますが、悪化しなければ、大体2週間ほどでその部分の皮膚が硬くなり、自然とはがれ落ちていきます。
汗疱を早期に改善するにはかかないことが大切
汗疱は先に触れた通り、非常にかゆくなるので、”特に指先だと”どうしてもかいてしまいがちですが、水泡が潰れると中のジュクジュクとした液が出てきてしまい、やがて乾燥してかさぶたのようになります。
その段階で、もう治ったかのように思えるのですが、実は、それはかさぶたではなく中の液が固まっているだけなので、”はがれるとまた中から液が出てきて固まる”という繰り返しになり、治るのが遅くなってしまう原因となってしまいます。
さらに、そうしているうちにバイ菌が入り、炎症を大きくする可能性もあるので、かいて潰すのは絶対にやめましょう。
汗疱を治すのに一番効果的なのは、常に乾燥させておくことでバイ菌の繁殖をおさえることなので、できるだけ水に触れないように心がけ、洗剤など刺激の強いものも患部には当てないことが大切です。
汗疱を治療する方法と改善を早める生活習慣
汗疱を治療するのに有効な方法として、常に乾燥させておくことがありますが、他にも効果的な方法がありますので、紹介しておきますね。
食器を洗う際にはゴム手袋をする
汗疱ができている時は、その部分の皮膚が弱くなっているのでなるべく刺激は与えないほうがいいです。そのため、食器を洗う際にはゴム手袋をすることをおすすめします。
また、ゴム手袋を選ぶ際には、内部にパウダーが入っていないものが低刺激でおすすめですが、それでもかゆくなるという方は、塩化ビニール製の薄い使い捨ての手袋を内側にはめましょう。
シャンプーや石鹸は低刺激のものを使う
シャンプーや石鹸に含まれる界面活性剤(かいめんかっせいざい)は、油分を強力に溶かすので、手のうるおいを奪ってしまいます。
ですから、なるべく低刺激のものを使うか、手に触れている時間を短くすることで、汗疱の治りも早くなります。
生活リズムを整えて早めに就寝
人は寝ている間に皮膚の細胞を作るので、早めに就寝してぐっすりと眠ると、細胞が早いペースで生まれ変わるので、肌にトラブルを抱えている時には、きちんとした生活リズムを心がけましょう。
健康的な食生活を心がける
皮膚の細胞を作るにはビタミンC、たんぱく質の他、様々な栄養素が必要なので、健康的な食生活を心がけて、特に生野菜を沢山とることで、肌に良い影響を与えることができます。
皮膚科でステロイド剤を処方してもらう
手が真っ赤になり、ジュクジュクした液が漏れてきてどうしてもないという場合は、迷わず皮膚科を受診してステロイド剤を処方してもらいましょう。
そこまで悪化してしまうと、もう自然に完治させることはほぼ無理ですから、一刻も早く皮膚科に行って下さいね。
まとめ
汗疱になる原因と改善する方法について紹介してきましたが、汗疱になってしまったら患部には極力触れない、かかない、ぬらさないという3つのことが大切です。
指先の場合は、指先用のネット包帯も売っていますので、仕事でどうしても手を使わなければならない場合は利用することをおすすめします。
そして、食生活と生活リズムを整えて、悪化しないうちに治してしまいましょう。