鉄分不足から貧血になるのは大人も子供も同じ。特に思春期の子供は、体の成長のスピードと摂取する栄養素のバランスがうまく取れず鉄分不足に陥りがち。でも、鉄分不足からくる貧血の原因は、食べ物だけじゃないんです!
「牛乳貧血」という言葉を聞いたことがありますか?大好きな子供も多い牛乳。飲み過ぎると、貧血の原因になるって知ってましたか?
子供の貧血は意外に少なくないんです!
WHO(世界保健機構)は子供の貧血の定義を、生後6ヶ月から6才まではヘモグロビンが11g/dl以下、6才からは12g/dl以下と定めています。日本の未成年の男子の約2~3%、女子では約10%の子供が貧血であると言われており、貧血の子供は意外に少なくないのです。
その多くの原因は思春期特有の理由であると言われています。女子の場合は初潮を向かえる為、失血が起こったり、無理なダイエットで鉄分が不足しがちになったり。
また、男女共に現代の子供達は、幼い頃からの塾や習い事通いで生活リズムが不規則になりがち。食生活も然りです。鉄分をはじめ成長期に必要な栄養素を摂取しづらい環境であるとも言えるでしょう。
牛乳が貧血の原因に!?
鉄分不足が貧血の原因になるということは、一般的にもよく知られています。 実は牛乳を飲み過ぎると、貧血を起こしやすくなるって知っていましたか?成長期の子供にカルシムを多く含む牛乳をたくさん飲ませると良い、日本ではそんな風潮が根強く残っています。実際に筆者の母親も、子供の筆者に必ず1日1杯の牛乳を飲ませていました。
体が急激に成長する10~14才の頃が一番鉄分を必要とします。コップ一杯の牛乳(約200ml)には、約0.04mgの鉄分しか含まれていません。その上、その吸収率も10%と非常に低いのです。
一方、カルシウムは約220mgと豊富に含まれていますが、貧血に関してはこのカルシウムが曲者となるのです。多量に摂取したカルシウムは、鉄分や亜鉛などの吸収を阻害するのです。
もちろん、カルシウムそのものが悪者、という訳ではありません。カルシウムは骨格を作る成長期には欠かせない栄養素のひとつです。適切な量を摂取することが大切なのです。牛乳が大好きな子供でも、1日400ml、コップ2杯までにしておきましょう。
同じ乳製品でもヨーグルトの場合、120g(小鉢1杯)にカルシウムを150mg含み、牛乳より含有量は少ないですがカルシウムの吸収が良いと言われています。牛乳だけにこだわらず、成長期にぜひ摂取したいカルシウムを上手に取り入れましょう。
成長期はしっかり食べましょう!
成長期の子供は代謝が高いうえ、運動量も多い年代です。そのため、たくさんの食事量が必要になります。15~17才の高校生の頃になると、20代の大人以上のカロリーを必要とします。しかし、成長期は思春期でもあり、外見を気にして無理なダイエットをする子も多くいます。
食事量が少ない子供は、自然と鉄分も不足しがちになります。食事量をしっかり取り、成長期に必要な栄養をバランス良く摂りましょう。また、鉄分には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」があります。ヘム鉄の方が非ヘム鉄より、5倍以上体に吸収されやすいと言われています。
「ヘム鉄」は、主にお肉やお魚などの動物性食品に多く含まれます。「非ヘム鉄」は、卵や乳製品などの植物性食品に多く含まれます。非ヘム鉄も良質なタンパク質やビタミンCを多く含む食品と一緒に摂取することで、吸収率がアップします。
まとめ
体がグンと成長する時期は必要な栄養素をバランスよく摂取することが大切です。多すぎても、少なすぎてもダメ。鉄分やカルシウムをはじめ、バランスが大切です。
食生活、生活リズムを含め、子供とよく話し合い、成長期が大切な時期だということを理解しあうことも大切ですね。一度切りしかないこの時期を有意義に過ごしましょう。