冬は寒いのでなかなか冷えて眠れないという方がも多いと思いますが、そんな時期に寝汗を大量にかくと、何かの病気ではないかと心配になってしまいますね。夏なら汗を書くのも仕方ないと感じますが、
「冬に寝汗?」
と不思議に感じていませんか?実は、寒い冬に寝汗が出る場合には、体の不調や深刻な病気の場合があるので注意が必要なのです。
今回は寝汗を冬に大量にかく場合の、原因と具体的な対処法について詳しく解説していきます。
目次
寝汗を冬にかく原因には深刻な病気も!
まず結論からいうと、冬の寒い時期に寝汗を大量にかく場合は、ストレスによって自律神経が乱れていることが多いです。
冬は夏に比べて部屋全体を温めるのが難しいので温度が下がりやすく、特に夜間は気温が下がるため寝汗をかきづらい季節となります。
しかし、エアコンや薪ストーブをつけっぱなしにして、部屋をガンガンに温めていれば、当然、体温を下げるために寝汗をかきますし(寝ている間も寝汗をかくことで人は体温調整をおこなっています)、特に赤ちゃんのいる家庭では、まだ赤ちゃんは体温の調整を自分でできないので、夜も温かくしているでしょうから、少し温度計で室内の温度を計って暑すぎないか確認してみましょう。
ちなみに、赤ちゃんがいるご家庭では、夜は20℃を少し前後するくらいがよく、暑すぎるとかえって赤ちゃんの負担となってしまうので注意が必要です。
ただ、部屋が特別熱くないのに寝汗をかく場合はまず自律神経が乱れていないかチェックする必要があります。
寒暖差アレルギーによる自律神経の乱れ
まず、寒暖差アレルギーとはどういうものかを覚えておきましょう。
寒暖差アレルギーとは夏や冬の初めに気温が乱高下する時期や、屋内と屋外の寒暖差が激しい時期に鼻水や咳が止まらなくなったり、頻繁に頭痛が起こったりする症状のことを言います。
このほかにも皮膚にかゆみやじんましんが出たり食欲不振・イライラなどの症状が出る方もいます。
アレルギーというと何か原因物質があるように感じられますが、寒暖差アレルギーは正式名称を「血管運動性鼻炎」といい、寒暖差が原因で自律神経が不調を起こすことが原因なのです。
ですから、普通の風邪やアレルギーのように細菌が悪さをしているというわけではありません。
(引用元・川村耳鼻咽喉科クリニック
ポイントなのは、寒暖差アレルギー自体が寝汗の原因ではなく、自律神経が乱れてしまうことが寝汗の原因となることと、寒暖差アレルギーは通常の体の反応であり、病気ではないため薬では治らないということですね。
いくら外の気温が寒くても体が凍りつくことがないのは、自律神経が活発に活動して血液を温めているからなのですが、季節の変わり目や、気候変動が激しいと自律神経が対応できなくなってきてしまい、その影響で咳や鼻水など風邪に似た症状やひどくなると熱が出るようになります。
自律神経は日中に活動する交感神経と、夜間に体を休める副交感神経が上手く切り替わることで、体の機能を保っていますが、自律神経が乱れると体温調整が上手くいかずに、寝ている間に大量の寝汗をかいてしまうことがあるのです。
どちらかと言うと、筋肉が男性に比べて少なく、スカートなど足元が冷える格好をする女性が多いようですが、男性でも冬は起きやすいので気をつけましょう。
妊娠などによる甲状腺(こうじょうせん)の異常
女性は妊娠によって甲状腺ホルモンが一時的に高くなり汗っかきになることがありますが、その他にも甲状腺に異常があると、慢性的に寝汗や疲れやすいという症状が出てきます。
甲状腺というのは、喉仏の下にあり、甲状腺ホルモンという体の新陳代謝(しんちんたいしゃ;古くなった不要な細胞を体外へ出し、新しい栄養をとりこむこと)を調節するホルモンを作る器官なのですが、これが過剰に分泌されることで、身体に悪い影響が出てしまうのです。
血液中の甲状腺ホルモンが過剰になる場合は、「甲状腺機能亢進症、または、甲状腺中毒症」と呼ばれます。
暑がりで汗かきになります。脈が速くなり動悸がし ます。手や指が小刻みに震えます。食欲は旺盛なのに痩せてきます。イライラし、気ばかりあせりますが、体は疲れやすく、ついて行けません。筋力が低下し、 ひどいときには立てなくなったりします。
引用元・京都医療センター
甲状腺に関する病気には、他にもパセドウ病などがあるので、喉仏の下あたりが腫れている場合には病院で検査を受けて下さい。
また、結核も近年増えてきており、結核でも寝汗をかきやすくなります。
寝汗と合わせて咳などの症状があれば結核の可能性があるので、原因が分からないひどい寝汗が長期間に渡る場合には早めに病院で検査を受けましょう。
アルコール依存症
まず、アルコールには「アセトアルデヒド」という有害物質が入っているため飲み過ぎると、肝臓が分解しきれずにそのまま血液に流れてしまうため、汗をかいて有害物質を出そうとします。
また、アルコール依存症の離脱症状(禁断症状)の代表的なものが寝汗です。
身体の自由の喪失は、アルコールが身体から抜ける時に起こる不快な症状、つまり離脱症状(俗に禁断症状と言う)の出現で判定されます。あたかもガソリンの切れた車のエンストのような状態です。それは次のような症状です。
大量の発汗(特に夜間の寝汗)、手や躯幹のふるえ、動悸、悪夢、むかつき、けいれん発作、幻覚、妄想など、人により、その時の状況により様々です。
引用元・ひでんいん(悲田院)クリニック
過度な飲酒によっても寝汗が出る場合がありますが、アルコール依存症になると治療が必要な場合もあるので、そうなる前におかしいと感じたらお酒を控えるか、自分では無理な場合には病院で検査を受けましょう。
ストレス
ストレスが原因で自律神経が乱れてしまうことがあります。
ストレスがかかっても自覚がない場合もあり、寝汗をかくことが体の不調を知らせる1つのシグナルとなっていることもありますので、寝汗を冬にかく場合には、少し、自分の生活環境を見直してみる必要があるかもしれません。
精神的なものだけではなく、引越しや職場環境の変化、そして栄養不足や気温の変化も、体にとってはストレスとなりますので気をつけて下さい。
また、仕事が忙しいと就寝する直前に暑いお風呂に入浴してしまうこともありますが、入浴後は体温が一時的に上がるため、そのまま温かい布団に入ると、体温が上がったままなので寝汗をかいてしまうことがあります。
この場合、寝汗自体は普通の体の反応ですからあまり深刻に考える必要はありませんが、就寝前の暑いお風呂は、交感神経を活発にさせて、眠りにつくのを妨げてしまうためよくありません。
就寝前には暑すぎるお風呂は避けて、できれば1時間前には入浴を済ませておくのがベストでしょう。
寝汗を冬に大量にかく場合の対処法
まず、部屋の室温など生活環境を見直し、それでも改善されない場合には病院での検査が必要です。
冬に大量の寝汗をかく場合には、部屋が暑すぎるか自律神経の乱れが関係している場合が多いので、まずは、部屋を快適な温度と湿度に保つことが重要となります。
室内温度は、冬は18度、夏は25度、湿度50~60%
室内温度を上手く調節するには、就寝前に部屋を温めておくことがポイントで、そうすると寝具にも熱がこもるので、寝る少し前にちょっと高めに暖房機器を設定しておき、就寝する時にスイッチを切るといいでしょう。
ただ、赤ちゃんがいる場合は、温度が低くなりすぎないようにタイマーなどでこまめに設定しておく必要があります。
冬は乾燥しやすいので、加湿器を使うか濡れた厚手のタオルを干して湿度を調節してください。
自律神経を整えるには?
自律神経が乱れている場合は、体を温めることが自律神経の乱れを改善するのに効果的なので、ゆっくりお風呂に入ることがベストですが、1時間前にはお風呂から上がって体温が下がるのを待って就寝するのが寝汗予防のコツです。
カフェインの入った飲み物を飲まないことも重要となります。カフェインが体内に入ると交感神経が活発になり、脳が覚醒してしまうので、眠りの妨げになってしまうからです。(栄養ドリンク剤もノンカフェインのものを飲みましょう)
自律神経が乱れている時には、体は無理が効かない状態になっていますので、カフェインでアドレナリンを出して頑張ってしまうと、慢性的に強い疲労感におそわれるので気をつけて下さい。
就寝前には部屋を暗くし、スマホやテレビを観ないようにすることで、目のピントを合わせる筋肉である(毛様体筋;もうようたいきん)を休ませることも大切です。
そして、寒暖差アレルギーは急激に温度が変わることが原因ですので、冷えやすい指先や首元を温めるためにマフラーや手袋の着用や、鼻と口から直接冷たい空気が入らないようにマスクをすることで、体への負担を最小限にすることができるでしょう。
しかし、ストレスや疲労など、原因そのものがなくならないと自分だけで改善するのは難しい場合もあるので、その場合には病院で診察を受けてくださいね。
アルコール依存の場合は無理せず病院へ
一時的にアルコールを多量に飲んで寝汗をかいたのなら、次から控えることで改善できますが、アルコール依存の離脱症状(禁断症状)が出ている段階では、アルコールが切れると眠れなくなるなるなどの禁断症状が出てきます。
自分ではアルコール依存症を克服するのが非常に難しいので、専門の外来で治療を受けることをおすすめします。
寝汗をかくからといって、そのままお酒を飲み続けると他の内臓にも悪影響が出て、深刻な事態になってしまうので早めに治療を受けましょう。
甲状腺の異常の場合は慌てずに
甲状腺のホルモン分泌異常で寝汗をかきやすくなっている場合は、慌てずにきちんと診察を受けることが大切です。
甲状腺ホルモンは年齢とともに減ってしまい、ホルモンのバランスが崩れてしまうことが多いのですが、症状が更年期障害と似ているために、誤って診察されてしまう可能性もあるので、慌てずに時間をかけて検査を受けて下さい。
また、甲状腺に関係する病気は非常に多く、診断にも時間がかかる場合がありますが、適切な治療をすることが早期回復につながるのでしっかり原因を突き止めることが大切です。
寝汗をかいてもきちんと水分補給
寝汗をかくと体内から水分が失われるので、水分を補給して体調を整えましょう。
冬に寝汗をかく原因の全てが病気ではありませんし、一時的なものであることも多いので、寝汗をかいたからといって慌てずに、しっかり水分補給をして少し様子を見てください。
もちろん、そのままだと冷えるので汗をかいた肌着やパジャマは着替えて、寝具も清潔な状態を保ちましょう。
寒暖差アレルギーの場合は、体調を整えて、体温調整をしっかりすることが一番の改善策なので、自律神経を正常に戻すためにも、体をゆっくり休めて早めに就寝することを心がけて下さい。
部屋を乾燥させないことも重要です。風邪の菌やインフルエンザウイルスに部屋が乾燥していると感染しやすくなるので、常に湿度は40%以上を保ちましょう。
そして、就寝前と朝起きたらコップ1杯の水を飲むことで、水分補給と内臓の働きを良くする効果があります。朝は、口の中の細菌をクチュクチュと水でゆすいでから水を飲むと、体内に細菌が入るのを防ぐことができるので、より効果的です。
参考:これって貧血?汗が大量に出て生あくびやめまいがヒドイ。
まとめ
寝汗を冬にかく原因は、単純に部屋が暑いだけか、自律神経の乱れやアルコールの飲み過ぎ、甲状腺の異常など様々です。
病気が疑われる場合には、水分補給と汗をかいた衣服を着替えて体調を悪化させないようにして、長期間治らないなら速やかに病院で検査を受けましょう。
参考:めまいと汗の原因は?あくびと立ちくらみの症状もあるなら「貧血」?