寝汗を毎晩かくのは大変つらいですが、首の周辺にかく寝汗には注意が必要な場合があります。
首は脳と体を繋ぐ大切な血管である頸動脈があり、体温調整する際にもよく使う部分ですが、他にも大切な器官があり、重大な病気が原因の場合もあるのです。
今回は、寝汗を首周辺にかく場合の対処法と、その原因について詳しく解説していきますので、最後まで読んでいってくださいね!
目次
寝汗を首周辺にかく場合の改善方法とは?
首の頸動脈(けいどうみゃく)を冷やすことで全身の体温を下げることができます。
まず、人が汗をかくのは上がった体温を下げるためですから、寝ている間に体温が上がるのが寝汗を首周りにかく原因です。
病気が原因の場合もありますが、暑い季節や激しい運動をした後には全身の血液が温まり、なかなか下がらない場合もあるので、そのような場合には太い血管が通っている首筋やわきの下を冷やすことが効果的な対処法となります。
首の後ろの髪の生え際あたりを冷やしている方もありますが、本当に冷やして欲しいのはのどの左右にあたります。
そっと触れると、頸動脈の脈が触れると思います。そこが冷やすポイントです。動脈の走る部分を冷やすと血液が冷え、冷えた血液が全身を回るため体温を下げることが出来るのです。
次は、わきの下です。冷やすポイントはやはり脈の触れる場所です。ちょうど体温計を挟むところと言えば良いでしょうか。
引用元/大阪小児科医会
しかし、首にある頸動脈は脳と体内への血液の流れに非常に重要な影響を与える場所ですので、急激に冷やしすぎないように直接アイスノンを当てるのは避けて、タオルを巻くなどして温度を調節してください。
首が急激に冷やされると血管は縮んで体温を逃がさないようにしますので、その結果、脳と体内へ流れる血液の量が減り、頭痛や肩こりといった症状を引き起こす原因となってしまいます。
首がヒリヒリすると感じたら冷やしすぎですから、タオルをもう一枚巻くなどこまめに調節し、体温が下がったら冷やすのをやめて血管を再び元の太さまで広がるようにすることがポイントです。
そして、汗をかいたらそのままでは体全体が冷えてしまいますし、不快感で心地よい眠りにつけないので、乾いた衣服に着替えて、しっかりと水分補給をしてください。
室温と睡眠環境が適切かチェック
寝室の室温が高すぎると、体内の熱を下げようと寝汗をかいてしまいますし、その他にも睡眠前の行動が原因となっている場合があります。
夏は約28℃前後、冬は20℃前後が快適な睡眠を送れる寝室の温度と言われていますが、体温調整という視点から見ると、パジャマや寝具によっても寝ている間の体温は変化するのです。
ですから、布団やベッドに入って寝る時に「暑い」と感じているなら、パジャマや掛け布団の枚数を減らすか薄いものにすることで上手く体温を調整しましょう。
スウェットなどの分厚い素材は、寝返りを打ちにくかったり、
しわになったところがさらに分厚くなり、体を圧迫することも。
また、吸湿と放湿がうまく機能せず、寝ている時の汗が蒸れることで快適さの邪魔になってしまいます。
引用元/石田屋 ふとん
パジャマでも、化学繊維(ナイロン、ポリエステル)のものは、汗を吸わず湿気が閉じ込められて温度が上がることがあるので、綿やシルクなどの天然の繊維でできているものが断然オススメです。
そして、寝る直前に熱いお風呂に入り、体温が上がったままの状態で温かい布団に入ると寝汗をかきやすくなりますし、食事を摂ることでも消化によって体内に熱が発生するので、1時間以上前にはお風呂や食事は済ませておきましょう。
また、アルコールの飲み過ぎると肝臓で分解しきれなかった成分が、血液の中にそのまま入ってしまい、寝汗となってでてくることもありますので注意してください。
長引く場合には甲状腺の病気を疑う
首の下の喉仏には甲状腺(こうじょうせん)というホルモンを分泌する器官があり、甲状腺からホルモンが過剰に分泌されると、寝汗が首に大量にかくという症状が出ることがあるので注意が必要です。
血液中の甲状腺ホルモンが過剰になる場合は、「甲状腺機能亢進症、または、甲状腺中毒症」と呼ばれます。
暑がりで汗かきになります。脈が速くなり動悸がします。手や指が小刻みに震えます。食欲は旺盛なのに痩せてきます。
イライラし、気ばかりあせりますが、体は疲れやすく、ついて行けません。筋力が低下し、 ひどいときには立てなくなったりします。
引用元/京都医療センター
一時的なものではなく長期間に渡って、特に思い当たる原因もないのに寝汗をかく場合には、首にある甲状腺の病気が考えられますので、病院で検査を受けましょう。
甲状腺の病気というと女性に多いイメージがありますが、男性でも甲状腺の病気で寝汗をかくことはありますので、症状がひどくならないうちに病院で検査を受けてくださいね。
寝汗を首周辺にかく原因として考えられる病気とは?
自律神経の乱れや甲状腺の病気、パセドウ病、更年期など様々な原因が考えられます。
自律神経は日中の活動をうながす交感神経と、夜間に体を休める副交感神経が上手くバランスを取って、1日の生活サイクルの中で上手く体をコントロールしていますが、疲労やストレスによってバランスが崩れると色々な症状が出てきます。
特に、極度のストレスで緊張状態が続くと1日中交感神経が働いて興奮状態となり、副交感神経への切り替えが上手くいかず不眠症や寝汗などの症状も現れてくるので、しっかりと休める環境を整えましょう。
もし、仕事が忙しいことが関係している場合には、そのまま我慢せずに、少しでも休暇をとり医師の診察を受けてください。
いったん自律神経が乱れてしまうと、十分に休息を取らなければ症状は悪化の一途をたどっていきますし、自分1人で治すことは非常に困難ですので、症状が現れたらすぐにお医者さんの診察と生活環境のアドバイスを受けることが、何よりも大切です。
首のこりによる自律神経の乱れも
首には脳と体を繋げる神経である脊髄(せきずい)が通っているため、首を長時間酷使していると神経が圧迫されて、自律神経に悪影響を及ぼします。
デスクワークで長時間同じ姿勢のまま作業をしていたり、普段から姿勢が悪いと、首はただでさえ重たい頭を支えているのでダメージが蓄積されてしまうのです。
悪化すると椎間板ヘルニアといって、首の骨である頚椎(けいつい)と椎間板(ついかんばん)が変形して、脊髄を圧迫してひどく痛みが伴うようになってきます。
スマホを長時間首を曲げた状態で操作することでも、首には大変な負担がかかるので、普段から姿勢を良くし猫背にならないよう気をつけることと、作業が長時間に及ぶ場合には、たまに体を動かして首の負担を和らげましょう。
甲状腺の病気
甲状腺ホルモンは代謝(死んだ細胞や老廃物を体外へ出し、各臓器に栄養素を運ぶこと)において重要な働きを担っているのですが、ホルモンの分泌が過剰になると汗をかきやすくなるという症状が出てきます。
甲状腺は、のどぼとけの下で気管の前にあり、血液中にホルモンを分泌して、代謝を正常に保つ大切な役割を持っています(甲状腺ホルモンはヨウ素を材料にして作られます)。
引用元/大須診療所
そして、甲状腺の病気には様々な病気があり、ホルモン分泌異常の他に、パセドウ病など重い病気もあり注意が必要ですが、なるべく初期の段階で治療を受けることで症状を比較的軽く抑えることができるでしょう。
更年期
更年期には女性ホルモンのバランスが崩れることにより汗をかきやすくなり、ホットフラッシュ(突然大量に汗が吹き出すこと)などの症状が現れます。
更年期における様々な不快な症状は、女性ホルモンのひとつ「エストロゲン」と密接な関係があります。
エストロゲンは8・9歳頃から卵巣で分泌され、 その分泌量は30代半ばにピークを迎えます。これ以降、卵巣機能が低下するに従って、エストロゲン量は徐々に減っていき、40代半ばからは急激に減少します。
この突然の変化に体がついていけず起こるのが「更年期障害」と呼ばれる不調です。
引用元/小林製薬
女性ホルモンには体温を下げる働きのある卵胞ホルモン(エストロゲン)と、体温を上げる黄体ホルモン(プロゲステロン)があるのですが、更年期によってエストロゲンが減少してしまうと、体温が上がり汗をかきやすくなるのです。
また、ホットフラッシュといって、自分の意志とは関係なく突然汗が大量に吹き出すこともあり、寝汗の原因となることもあります。
更年期が原因の場合には、無理をしないことが一番大切ですが、あまりに寝汗がひどく体調が悪い場合には、病院で診察を受けましょう。
女性なら誰しもが経験することですし、病院では漢方薬やホルモンを補う薬による治療が受けられるので、1人で悩まずにお医者さんを頼ることで症状を軽くすることができますし、なにより安心して更年期と向かい合えますね。
生活習慣を見直すことで体の不調に備えましょう
不規則な生活や栄養バランスの偏った食事を摂っていると、体の免疫力が低下するため、病気の症状が重くなることがあります。
自律神経の乱れもそうですが、日々、ストレスにさらされている私たちは病気にかかるリスクがあるのですが、体調を万全に整えておくことによって症状を軽くすることができるのです。
体には、調子が悪くなった部分を他の臓器が補う機能がありますので、健康的な生活をおくことによって、急な体の変化に対応することができ、病気の症状を最小限にすることができますので、規則正しい生活と栄養バランスの取れた食事で、健康の貯金をしておきましょう。
規則正しい生活というと、あれもこれもと思ってしまい「全部は無理だと」あきらめてしまいがちですが、全てを完璧にする必要なんてありません。
自分のできる範囲で健康に気を使い、無理なく運動をすることでストレス解消にもなりますし、普段から健康に気を配っていれば、病気の初期症状にも早く気がつけるでしょう。
まとめ
寝汗が首の周辺に出る場合は、まず、首すじを適度に冷やし、寝室の温度や寝具が自分に合っているか見直しましょう。
長期間に渡る場合には、甲状腺などの病気である可能性があるので、病院で診察を受けてください。