めまい、吐き気、冷や汗、下痢、一度にこんな事が起きたら、もうこのまま死んじゃうかも・・とまで思うほど辛いですよね。
ところが、この症状を起こした時って、下痢を済ませると、ウソみたいに回復したりするんです。
めまい、吐き気、冷や汗、下痢が一度に起こる病気とは?
めまいと聞くと、「メニエール病」では?と考える人が多いようです。耳鼻科にも、めまいを起こしたので、メニエール病を疑って来院される人も多いようですが、めまいを症状に持つ病気は大変多いため、他の病気の場合も 多いのです。
また、めまいは自律神経との関係がとても大きく、そのほとんどが、自律神経の異常が原因で起こっています。めまい、吐き気、冷や汗、下痢を伴う場合に、考えられるのは、迷走神経反射と言う状態です。この場合、症状 の順番は様々ですが、ほとんどの場合、下痢を済ませると、回復します。
また、迷走神経反射失神と言って、意識を失う場合もありますが、これは数秒から長くても数分のことで、こちらも意識が回復すると、症状も回復します。この迷走神経反射、または迷走神経反射失神は、自律神経が正常に機能しなくなったことで起こります。
きっかけとなる要因は個人差があり、症状の中の「吐き気」の場合もあるし、下痢の前兆で起こる「腹痛」かもしれませ ん。さらには、「その時見た物」「その場の臭い」「暑さ」「寒さ」がきっかけとなり、起こることがあ ります。
自律神経の異常で起こる迷走神経反射って?
人は、自分の意思で血圧を上下することは出来ません。これは、自律神経が調整していて、こちらの意思とは関係なく動いているのです。そのため、恐怖や嫌悪、緊張、ショックや痛みを受けた時、自然に血管が収縮しています。これは、自律神経の 中の交感神経の働きにより、それらの刺激を受け止める手段として起こっています。
緊張したり、怖い思いをしたりすると、汗でびっしょりになっている事がありますね。
あの状態は、交感神経が 起こしているものです。また、人前で何かを話したり、舞台に上がらなくてはならない時など、あまりの緊張に「 オエッ」とえづく人がいますね、もともと胃腸の弱い人は、交感神経が血管を収縮したために、胃が影響を受けやすいのです。
そして、今度は自律神経のもうひとつの神経である、副交感神経が血圧が上がりすぎないように、血管を徐々に拡張し、均衡を保っているのです。これらの事は、自分がまったく意識することなく、起こっています。
通常は、そのおかげで事なきを得るのですが、ストレスや睡眠不足により、自律神経が正常に機能していない場 合、交感神経は過剰に反応を起こします。下痢の前兆に腹痛を感じた場合、本来なら神経伝達物質により、「お腹が痛いぞ、便が出るようだ トイレで済 ませよう」と言う一連の行動を体に促し、やり過ごすことができます。
ところが、自律神経が正常に機能していないと、この時、交感神経が異常に興奮し、「大変だ 緊急事態だ」と 判断してしまい、血管を一気に収縮してしまいます。これでは血圧が急上昇を起こしてしまいます。
するとそれを迷走神経が察知し、すぐさま副交感神経の作用で、今度は血管を拡張させ、一気に血圧を下げてしまうのです。この作用は、体を守るための防衛反応なのですが、一気に血圧が急降下するため失神を起こす可能性 が高く、転倒などによる大ケガに注意が必要なのです。
この時体調としては、「腹痛が起きたな」と思ったとたんに、気分が悪くなり、立っていられないほどの吐き気 や、めまいが起きます。トイレにたどり着けていれば、排便を済ませていることもありますし、排便の前に一瞬意 識を失っているかもしれませんが、ほとんどの場合、排便を済ませると回復してしまいます。
これは、迷走神経反射のため、血圧が正常に戻ったために回復します。今の苦しみは何だったの?というくらい のさっぱりとした幕引きになりますが、この状態に陥ったのには、自律神経が正常ではなかったと言うことを忘れてはいけません。
迷走神経反射や迷走神経反射失神を起こした人には、強いストレスを抱えていたり、睡眠不足、過労が続いてい た人が多く、そのために自律神経が異常を起こしていたと考えられるのです。
自律神経は、交感神経と副交感神経が、うまくバランスを取ることで成り立っています。そのため、ストレスや 睡眠不足により交感神経ばかりが優位に立つと、バランスが崩れてしまい、自律神経は不調をきたすのです。
迷走神経反射失神を繰り返すようであれば、きっかけとなるものが判断しやすく、お酒を飲むとなる、注射器を 見るとなる、怖い映画やテレビを観るとなる、など、個人的に誘因するものを排除することで解消できます。そうは言っても、生活をしていると、自分では排除しても、不意にその時が訪れてしまうこともありますね。
夏になると、恐怖映画のCMなどは、年中流れています。そのたびに失神していたのでは、生活が成り立ちません。自律神経は鍛えることが出来ます。迷走神経反射を1〜2回ではなく、何度も同じきっかけで起こすような人は、 とても感受性が高く、常に交感神経がピリピリと張り詰めているような性質を持っているようです。
交感神経が常に優位に立っていると、副交感神経による細胞の修復や回復が間に合いません。自律神経はバラン スを崩し、抵抗力や免疫力も低下してしまいます。
そのため、鍛えるのは副交感神経を働かせると言うことです。副交感神経が優位に立つのは、休息時、就寝時、 安静時、リラックスしている時、などです。
何でもない人が見たら、何言ってんの?と思われそうですが、自分をリラックスさせる事が苦手な人はたくさんいるのです。たとえば、最初は「宵っ張りの朝寝坊」と言われる程度のことが、睡眠不足、そして睡眠障害へと進行してしまうと、どうやって寝たらいいのかわからなくなってしまうのです。
睡眠障害は病気です。心療内科で相談してみると、安心して眠れる薬も処方してくれますので、一度相談してみ ると良いかもしれません。 迷走神経反射ばかりを心配していると、それさえもストレスになり、自律神経がますます弱くなってしまいます。
怖がるより、リラックスさせる事を訓練した方が、体にとって良いことばかりです。マッサージは、とても効果的なようですよ。血行が良くなり、体が温まることで、リラックス効果を生みます。
もしかしたら、それは過敏性腸症候群かも!
めまい、吐き気、冷や汗、下痢の症状が、外出先や会議中などである場合、過敏性腸症候群の可能性があります。「今はトイレに行けない」、または、「今お腹が痛くなったらどうしよう」と不安があると、このような症状を 起こすことがあります。
過敏性腸症候群も自律神経の異常からくる病気です。この場合も、排便を済ませるとウソのように回復します。
また、過敏性腸症候群と迷走神経反射失神を併発することもあります。下痢がきっかけになり、迷走神経反射失神を起こします。または、下痢を済ませ、立ち上がった時に、起立性低血圧を起こしている可能性もあります。
この起立性低血圧 は、立ち上がることで脳の血圧が重力とともに下がり、低血圧を起こしてしまうものです。これらはすべて、自律神経が原因の症状です。
内科的な診察を受けて、異常が見られない時は、心療内科に行ってみると、理解してもらえることも多いかもし れません。神経に作用する薬もありますので、不安が解消でき、自律神経の安定につながります。
まとめ
めまいを起こす病気は自律神経の異常が大きく影響しています。「メニエール病」はめまいを起こす中で有名な病気です。症状の原因は内耳がリンパ液でむくむと言う事ですが、 その状態を起こす要因は、自律神経からくるものだと言われています。
自律神経の異常が引き起こし、平衡感覚機能に障害が出てめまいを起こしているのです。その平衡感覚機能のある場所がたまたま耳の中だと言う事です。自律神経が弱くなると、さまざまな病気を引き起こしてしまいます。
若い時は、無理が利くため、自分ではスト レスにさえ気が付かないこともあります。そうして溜っていったものが、年齢を重ねた時に症状として発症するの です。
そのため、常に気を付けなくてはならないのが、ストレスを発散、解消させると言う事です。まずは良い睡眠を とることが一番です。