「胃下垂の診断は内科?」
「胃下垂は病気じゃないと言われるらしいけど、自己判断はできないの?」
胃下垂についてそんな疑問を持っていませんか?確かに胃下垂は病名ではなく、胃の位置異常のことです。
ただ、診断を受ける必要のある厄介な症状も出ますので、病気なのではないかと悩むところですよね。そうならないために!
胃下垂かどうかの心配になった場合には、何科を受診したらいいのか。どんなときに診察が必要かを詳しく解説してきますね。
目次
胃下垂と診断を受けたけど胃下垂って何?
体調が悪くて病院に行ったら、胃下垂と診断された・・・。
胃下垂という言葉はよく耳にしますが、どういう症状が胃下垂なのかよく分からないですよね。
日本人の三人に一人はなっているという胃下垂ですが、いったいどんな病気なのでしょうか。
胃の位置異常
胃は、腹部の真ん中あたりに位置します。
口から入り、食道を通ってやってきた食べ物を胃液で消化し、栄養吸収する小腸へと送り出す役割をしているのです。
人間の体の中には様々な役割を担う内臓が、まるで正確なパズルのようにして入っています。
それら内臓は筋肉の力によって、あるべき位置に納まっているのです。胃下垂というのは、胃がその定位置からかなり下がってしまった状態を言います。
重度になると骨盤のあたりまで下がってしまうのです。そうなるといろいろな体調不良の原因になります。
胃下垂による不快な症状
胃下垂による不快な症状と、胃腸炎の症状はどう違うのでしょう。急性の胃腸炎の場合は、はっきりした原因があります。
食べ過ぎ、飲み過ぎ、食べたものが悪かったなど、ご自身でも思い当たることがあるでしょう。
それ以外に考えられるのは風邪のウィルスによるもの、そして過度のストレスです。胃腸炎の主な症状は、胃の痛みと吐き気です。食べ物が原因の場合は、即座に吐いてしまうでしょう。その後で下痢になったりもします。
胃下垂の場合、少量の食事で満腹してしまいます。なのに大量に食べた後のような胸焼けがいつもするのです。吐き気はありますが、激しく吐くようなことはあまりありません。胃腸炎のように強く痛むこともないのですが、胃のむかつきが連日続きます。
その他にもめまいや全身の冷え、慢性的な疲労感などの症状も胃下垂ではみられるので、そこが胃腸炎との違いと言えるでしょう。
病院で診察が必要な症状
胃下垂と同時に『胃アトニー』という病気になります。
胃は消化のためにいつも動いているのですが、胃の内部の筋肉が弱って、胃壁が動かなくなってしまうのが『胃アトニー』です。
そのため胃液が長時間胃の中に留まり、消化不良の原因となってしまいます。
強力な胃酸を含んだ胃液が流れていかないため、胃炎や胃潰瘍になってしまうことも。この状態が長く続くと必要な栄養素を摂ることが出来ず、痩せていく原因になります。
胃下垂は病気ではないとはいえ、慢性的な胃の痛みや、立っているのも辛いほどの疲労感があるようなら、即座に病院に行くべきです。
胃下垂が原因で、『胃アトニー』以外の別の病気に罹っている可能性もあります。まずは自分の体調で判断しましょう。
胃下垂を診断してもらうのは何科?
市販の胃薬を飲んでも、どうもすっきりしない。
これは何かの病気だろうと思って、受診しようと思っても胃の不快感や胃下垂かどうかはどの科で受診すれば良いのでしょうか?
内科
総合病院でも個人病院でも、内科を受診出来る病院の数はかなりあります。
内臓の病気全般を診てくれるのが内科です。胃の不快感だけでなく、めまいや冷えもあるようでしたら、まずは内科で診察してもらうのがベストです。
内科で診療しきれない症状があるなら、別の病院や医師を紹介してくれるので、安心して診察を受けてください。
消化器内科
総合病院や胃腸科に特化した病院にあります。
消化器の専門科です。『胃アトニー』の疑いがあるようなら、消化器内科を初めから受診するのがいいでしょう。
どんな診察をするのか
症状を聞かれる問診、お医者様による触診、そしてレントゲン検査、バリウム検査などが最初の診察です。
レントゲンで胃の形を見れば、胃下垂だとすぐに分かります。それ以上何かあるようでしたら、さらに精密検査が指示されるでしょう。
胃下垂だけでしたら、いきなり手術になるようなことはありません。お医者様から、胃下垂と分かったら日常生活をどう過ごすかなどの指導が受けられます。
胃下垂かどうかの自己チェック方法
「病院に行くほどじゃないけど、胃のむかつきが止まらない。これは胃下垂なのかな?」
嫌なむかつきが続くと、病院に行くかどうか、悩むところですよね。
では自分でチェックするなら、どこがポイントになるのか調べてみましょう。多数あてはまるところがあったら、受診するかしないかの判断をしてください。
下腹がぽっこり
胃下垂の特徴として、目につきやすいのが下腹です。全身は痩せているのに、下腹だけ出ていることはありませんか?
特に食後目立った状態になるようです。触るとはっきり胃の位置が分かることもあります。
食べているのに痩せる
きちんと食べているつもりなのに、体重が減ってきていませんか?もしくは、食べても食べても太らないなどはありませんか?
下痢や便秘が続いたりして、胃下垂が原因の消化不良状態が続くと、自然と痩せていきます。それだけでなく、栄養不良で肌荒れなどにもなります。
いつも胸焼けがする
ゲップが出る。呼気が臭い。そしていつも揚げ物を大量に食べた後のような胸焼け。胃腸薬を飲んでも、少しもよくならない。
そんなときは胃下垂を疑いましょう。食事をした後、胸がつかえるような感じになります。痛みを感じることもあるでしょう。そのせいで食欲が落ちてしまいます。
体が冷えていつも寒い
胃が下がることで、胃そのものが冷えてしまうのです。そのせいでいつも手足が冷たいと感じるほどの冷え性になってしまいます。
胃下垂は自律神経もおかしくさせてしまい、体温の調整がうまくいかず、ますます冷え性が加速することになるのです。
めまいやたちくらみがするようになって、気分も落ち込み気味になります。自律神経の異常のせいですが、なかなか自分では原因を胃下垂に結びつけにくい症状ですよね。
下痢や便秘が続く
胃下垂でなくても起こる症状なので、原因として見過ごされがちですが、自己チェックでは重要なポイントです。
これまで便秘をしたことはありますか?胃腸炎なら症状が回復すれば、便秘や下痢も治まります。いつまでも続くというのは、やはり原因があるからでしょう。
胃下垂は胃だけを悪くするのではありません。消化器全般を胃が下に引っ張ってしまうので、様々な症状が出るのです。便秘や下痢は、腸が正常に動いていない証拠です。市販の便秘薬や胃腸薬に頼らず、病院で診察を受けて、症状に相応しい薬を飲みましょう。
胃下垂になりやすい人となりにくい人の違い
胃下垂だと言いながらも、大食いの人もいます。その逆で胃下垂のせいで全く食べられないという人もいますよね。
同じものを食べ、同じように暮らしていても、胃下垂になる人とならない人がいますが、その違いはどこからくるのでしょうか?
生まれつき痩せている人
痩せている人がすべて胃下垂になるのではありません。痩せていて筋肉のない人が胃下垂になりやすいのです。
筋肉の力が足りないので、胃をはじめ内臓がすべて下がり気味で、消化能力が落ち、ますます痩せてしまうという悪循環に。
こういった人の胃下垂は、太れば改善されることもあるのですが、太りたいために暴飲暴食をしては意味がありません。
手軽な改善方法は、食後、右側を下にして横になることです。30分くらい横になっているのがいいようです。
外見は痩せていても、インナーマッスルをしっかり鍛えている人は胃下垂にはなりにくいです。インナーマッスルは、体の中の筋肉のことですが、しっかり鍛えておけば内臓の働きも活性化しますよ。
急激なダイエットをした人
ダイエットに失敗すると胃下垂になってしまいます。
体脂肪が減るのはいいことですが、きちんと調べてダイエットしないと、筋肉までやせ衰えてしまうのですよ。
そうするとこれまで胃を支えてきた筋肉も力尽き、だらんと下がって胃下垂になります。
食事だけでなく、運動も取り入れたダイエットをしましょうとよく言われているのは、正しいことなのです。あまり痩せすぎて胃下垂になってしまったら、運動を取り入れ、筋肉を作るような食事をしていけば元に戻れます。
また、回復するまで長期の療養が必要な病気をしたり、内臓の手術をした人は、胃下垂になりやすいと言えます。
体力が回復して、栄養もしっかり摂れるようになり、太ってくれば元に戻れます。
胃下垂とは無縁な人
何度も同じことを書いて重複しますが、胃下垂にならない人はインナーマッスルがしっかりしている人です。
毎日大変な思いをして、長時間運動をする必要はありません。腹筋などの体の内部から強くしてくれる運動を、短い時間でも続けていくことが大切なのです。
暴飲暴食はしない。ストレスはため込まない。いつも姿勢良く歩いている。食べるものにも気を遣っている。こんな人は、胃下垂とは無縁でしょう。
まとめ
ずっと病気だと悩んでいて、やっと病院に行ったものの、
「胃下垂ですね。じゃ、簡単に生活上の指導を……」
あっさりとそれで診察は終わり、なんてこともあるかもしれません。
それでも行かないより行ったほうがよかったと思いませんか?胃下垂だとはっきり分かっただけで、病ストレスからは解放されたのです。
くよくよするのは大病の元。日々リラックスして、楽しく暮らしましょう。
参考:胃下垂になると太らないは事実!?胃下垂の原因と危険な症状は?