あなたは一回の咳でどれくらいのエネルギーを消費するか知っていますか?
なんと一回の咳で2キロカロリーものエネルギーを使うと言われています。気管支炎にかかると、ひどい咳が出てとてもつらいですよね。激しい咳が続くとたくさんのエネルギーを消費して、体力が消耗してしまいます。
長引かせないためにも、医療機関を早めに受診してしっかり治すようにしましょう。
でも、医療機関といっても「何科を受診すればよいいの」と悩まれる方も多いのではないでしょうか?気管支炎にかかったら何科を受診すればよいのか、また病院でどのような検査や治療をするのかご紹介します。
気管支炎は何科がベスト?代表的な症状は?
風邪のとき咳がひどいと、
「もしかしたら気管支炎かも」
と疑ってしまう人もいますよね。ただの風邪との判別は難しいです。
具体的にどのような症状が出たら、気管支炎なのでしょうか?
気管支炎の症状
気管支炎の主症状は、多くの方がご存じの通り「激しい咳」です。
しかし、気管支炎の症状は咳だけではありません。
発熱
感染性の気管支炎では、鼻水・のどの痛み・疲労感・悪寒といった、一般的な風邪の症状から始まると言われています。
その症状とともにしばしば起きるのが発熱です。特にインフルエンザによる感染の場合は、やや高い熱(37.5~38度)を伴って、筋肉痛が現れる場合もあります。
また、重度の気管支炎では、やや高い熱(38~39度)が3~5日も続くことがあります。
倦怠感
風邪の場合は、症状が局所的なことが多いです。
それに対して、気管支炎にでは、食欲不振、全身倦怠感といった全身症状を伴うことがあります。
また、胸部の不快感を伴うこともあると言われています。
咳
一言で咳と言っても、気管支炎の咳には特徴があります。
風邪の後、「乾いた咳」から「痰が絡んだ咳」に変わったら気管支炎の危険信号です。気管支炎では気管支の粘膜に炎症が起こるため、たくさんの痰が分泌されます。そのため、気管支炎ではこの痰が絡んだ咳が出るのです。
また、痰の色にも注意が必要です。ウイルス性の気管支炎では咳と一緒に少量の白い粘液がでることがしばしばあります。この粘液が白色から、緑色や黄色に変化することがあります。この色の変化は炎症が起きているサインなので要注意です。
なぜ色が変わるのかというと、細菌感染を示すものと言われたり、炎症に関与している細胞が気道内に集まって色を変えていると言われています。これらの症状がみられた場合は、気管支炎を疑って医療機関を受診した方がよいでしょう。
気管支炎の受診科
基本的には気管支炎は呼吸器系の病気なので、まずは病院「呼吸器科にかかるようにしましょう。
病院に呼吸器科がない場合は、内科でも問題ありません。耳鼻咽喉科でも気管支炎は診てもらえます。
しかし、症状がひどい場合や全身症状がみられる場合は、自分では気管支炎と思っていても肺炎などの病気にかかっている場合もあるため、呼吸器科や内科をおすすめします。
病院に行くべきか悩んで、とりあえず市販薬で対処しているという方も多いのではないでしょうか?
市販薬に咳止めなどの成分が入っている場合は、いくらか楽になるかもしれませんが、症状はいくらか抑えられても根本的な治療が行われていないと症状が悪化してしまう可能性があります。
例えば、咳や痰は体から異物を排出するために起こるものです。痰にはたくさんのウイルスや細菌が含まれます。咳や痰を無理に抑えてしまうことは、これらを体内にとどめてしまうことにつながってしまうのです。
薬で抑えることによって、かえって重大な病気のサインが隠れてしまう場合もあります。自分では気管支炎だと思って対処していても、他の病気が隠れていたということもあるのです。
気管支炎には早めの受診を!
風邪や気管支炎だと思っていたら、実は肺炎だったというケースは少なくありません。
細菌やウイルスが気管支まで入って炎症を起こすと気管支炎を発症し、さらに肺まで到達してしまうと肺そのものが炎症を起こす肺炎になってしまいます。
風邪の症状が局所的なのに対し、肺炎では風邪の症状に加えて、胸の痛み、倦怠感、高熱などの全身症状がみられます。肺炎は風邪をこじらせるとなるイメージを持つ方も多いと思いますが、突発的に発症することもあるのです。
気管支炎の原因が感染でない場合もあります。実は、一言で気管支炎といっても、その種類は細かく分けるとたくさんあり、原因や症状もいろいろあります。私たちは一般的に、かぜやインフルエンザなどのウイルス感染が原因のものを気管支炎と呼んでいます。
確かに気管支炎の原因はウイルス感染が9割と多いですが、その他にも細菌やタバコ、大気汚染やほこりなどのアレルギーなど多岐にわたります。原因がほこりなのに風邪の治療をしてもよくなりませんよね。原因をきちんと特定して、それに対する治療をするのが大切です。
また、咳や痰が長く続いていませんか?風邪の後に起こるような一時的な気管支炎のことを正式には「急性気管支炎」と呼びます。それに対して、咳や痰の症状が、数週間から数カ月続く状態を「慢性気管支炎」と呼びます。
慢性気管支炎は、COPD(慢性閉塞性肺疾患)に含まれ、肺炎や呼吸不全を起こしやすくなると言われている危険な病気です。慢性気管支炎では、咳や痰に加えて息切れがみられるのが特徴です。実は急性気管支炎から、この慢性気管支炎に移行してしまうこともあるのです。
たしかに医療機関は平日しか空いていないところも多く、忙しい中受診するのはなかなか大変ですが、原因に対する治療をきちんと受けるためにも、なるべく医療機関を受診するようにしましょう。
特に咳や痰が長く続いている場合は、慢性気管支炎などの危険な病気が隠れている場合もあるので要注意です。では、病院では、どのような検査や治療が行われるのでしょうか。
参考:インフルエンザが原因で肺炎になる可能性が!気をつけておきたい対処法は?
急性気管支炎の検査と治療
検査方法
気管支炎の診断は、先ほどお話ししたように原因が多岐にわたるため診断基準はありません。
症状の軽い気管支炎の場合は、特別な検査はせず、咳や痰といった症状から診断されることが多いです。咳と痰に加えて、発熱が続いている場合は肺炎との鑑別が重要になるため、胸部X線や胸部CTの検査をして胸の内部を調べます。
他に、インフルエンザや百日咳などが疑われる場合には、特定するために個別の検査が行われる場合があります。
治療
原因が様々なため、治療もケースバイケースとなります。咳がひどい場合は、鎮咳薬の処方が行われたり、痰がひどい場合には、去痰剤が処方されたりします。
多くの気管支炎の原因はウイルスですが、大部分のウイルスには特効薬がありません。そのため、対症的な治療が基本となります。
ただし、インフルエンザが原因と特定された場合には、タミフルなどの抗インフルエンザ薬が処方されます。また、細菌などの感染が原因の場合は抗生物質や抗菌薬の処方が行われることもあります。
まとめ
気管支炎は、気管支が炎症することによって咳や痰などの症状が出る病気ですが、その原因は多岐にわたり様々です。
急性気管支炎の多くはウイルスによるもので、過度の心配をする必要はありません。しかし、気管支炎の原因がウイルスでないこともあります。原因に対して正しく治療するためにも、医療機関を受診しましょう。
気管支炎の原因がウイルスだった場合は、大した治療もなく無駄だったと思われるかもしれません。場合によっては咳が重病のサインである可能性もあります。気管支炎は慢性化しやすく、本来はすぐ治るはずだったものが、長期にわたる症状となることもあるのです。
ただの咳と軽視せず、特に咳が長引いている場合は、一度医療機関を受診してみてはいかがでしょうか。