病院で気管支炎と診断されたのに、抗生物質も処方されず「自宅で安静にするように」と言われて帰されたという方、多いのではないでしょうか?
急性気管支炎の原因の9割はウイルスによるものと言われています。多くのウイルス感染には特効薬はありませんので、対症療法と安静が基本となります。
「咳だけでも薬で止めてしまいたい!」と思われるかもしれませんが、咳は体に入ってしまった異物を体外に排出しようとする機能です。強い咳止めは、こうした防御機能を邪魔して、むしろ病気を長引かせかねません。では早く治すには、どうすればよいのでしょうか?
原因は風邪ですから、なんとなく栄養をとってよく寝るのが良いと思いますよね。確かにそのとおりです。でも栄養をとるには具体的にどのようなものを食べればよいのでしょうか?
つらい気管支炎を早く治すための自宅での過ごし方についてまとめました。
目次
気管支炎によい食べ物
気管支炎を発症していると繰り返し咳が出ますが、このときのエネルギー消耗は大変激しいものです。体力をつけるためにも栄養を取らなければ、回復が遅れてしまいます。
喉にいい食べ物を積極的に取ることで気管支炎のつらさを緩和することができます。薬に頼らず、自然由来のもので咳や痰が改善されれば、体に負担を与えずに治すことができますよね。
気管支炎によい食べ物をいくつかご紹介します。
はちみつ
のど飴にはちみつが使われることも多いので、はちみつが喉によいイメージをなんとなく持たれている方も多いのではないでしょうか?
はちみつには強力な殺菌作用と、炎症をおさえて免疫を高める効果があります。大さじ1杯のはちみつを直接舐めてもよいですし、大さじ1杯を150㏄ほどのぬるま湯に入れてうがいをするのも効果的です。
また、普段使っている砂糖を、はちみつに変えて料理するのもおすすめです。
パイナップル
気管支炎に特におすすめなのが、パイナップルです。パイナップルにはビタミンCとたんぱく質を分解する酵素であるプロメラインが含まれています。気管支炎になると、気管支付近の筋肉が緊張することで、空気の通り道が狭くなり、息が苦しさや咳が出たりします。
プロメラインは炎症を緩和するとともに、喉の筋肉をほぐしてくれます。息を吸うと「ゼエゼエ」と音がなり、息苦しさを感じている場合はいくらか緩和されるでしょう。また、ビタミンCは、咳込んで傷ついた喉を回復へ向かわせてくれますので、一緒に取れて一石二鳥です。
緑茶
緑茶はポリフェノールの一種であるカテキンを含んでおり、この成分が殺菌作用を高める働きがあると言われています。
「緑茶でうがい」は聞いたことのある方も多いと思いますが、風邪の予防になります。お寿司屋さんで緑茶が出てくるのも、生魚についている菌を殺菌するためです。ただし、冷たい飲み物では刺激を与えてしまうので、温かくして飲んだり、うがいをして殺菌しましょう。
また、緑茶にもパイナップルと同様にビタミンCが含まれていますので、傷ついた喉を癒してくれます。しかし、カフェインを含むため、寝る前に摂取すると眠れなくなることがあるので注意が必要です。
大根
大根には抗菌作用があります。大根の辛み成分が白血球を活性化し、細菌の力を弱める効果があります。
特に大根のおろし汁は炎症をおさえる効果があり、咳止めや痰を切る働きをします。また、ビタミンCも多く含まれます。まさに、天然の治療薬ですね。
効果的な食べ方は、はちみつ大根という料理です。風邪に効くはちみつと大根を一緒にとるのですから良さそうなものですが、実は、はちみつの殺菌効果は大根と合わせることによって増大することが分かっています。
実際に「はちみつ大根」は、江戸時代から風邪薬の代用品として重宝されてきました。
作り方は、まず大根を一口サイズに切り、それを、はちみつに2時間ほど漬け込みます。はちみつと大根の汁が混ざり合ってサラサラになったら出来上がりです。このまま飲んだり、お湯で割ったりして飲んでみてください。
みかん
風邪をひいたときはみかんがいいと聞いたことはありませんか?みかんは昔から喉によいと知られています。
それは、みかんに含まれている成分であるクエン酸が抵抗力を高め、ビタミンCがウイルスを防ぐ効果があるからです。気管支炎の間は、食後のおやつをみかんに変えてみるのもよいかもしれません。
ビタミンA
免疫力を高めるにはビタミンAを摂取することが効果的です。ビタミンAが欠乏すると、粘膜細胞が弱くなって気管支にウイルスや細菌が侵入しやすくなります。
そして、ビタミンAは鉄やグルタミンなどを含んだ食べ物が効果的とされているので豚肉やレバーがおすすめです。食欲がなくて食べられない場合はサプリメントでもよいので摂取して免疫力の低下を防ぎましょう。
生姜
風邪の時に生姜湯を飲むという方も多いのではないでしょうか?生姜は咳や痰を鎮める効果があると言われています。
また、体を温める効果がある為、血行が良くなり、回復が早くなることが見込めます。生姜湯にはちみつを加えると、甘さが加わり飲みやすくなります。
控えるべき食べ物
気管支炎によい食べ物をご紹介しましたが、反対に控えたほうがよい食べ物にはどのようなものがあるのでしょうか?
香辛料の入ったもの
気管支炎のときには、喉が強いダメージを受けているため、香辛料の入った刺激が強い食べ物はNGです。
冷たいもの
睡眠後やせき込んでいる時は、冷たいものを飲みがちですが、胃腸に負担をかけるので、常温または温かいものが望ましいです。
こってりしたもの
風邪のウイルスを撃退するのにエネルギーを消費するため、肉類など消化にエネルギーを使うものはお勧めできません。
発酵しやすいもの
おなかにガスが溜まると横隔膜を刺激し、咳を誘発します。咳が続くときは、おなかで発酵しやすい、繊維の多い野菜や、イモ類、海藻、きのこ類は避けた方がよいでしょう。
湯気の多いもの
湯気の多いものは、むせを招く恐れがあるので注意が必要です。
湯豆腐やなべ物は避けて、食事も湯気がたたなくなってから食べましょう。
高カロリー低栄養のもの
ファーストフードやインスタント食品は、高カロリーにも関わらず低栄養のものが多くあります。
低栄養だと、免疫力が低下してしまうので栄養が高いものを食べるようにしましょう。
気管支炎のときの過ごし方
食事以外では、どのようなことに気を付けて過ごすのが良いのでしょうか?
水分をとる
痰が多量に出るようなときは水分も多く失われています。水分が足りなくなると痰の粘り気が増し、切れにくくなります。
水分摂取を心がけて、痰をさらさらにしましょう。
加湿・温度調節をする
空気が乾燥していると咳が出やすくなりますので、部屋を加湿するとよいでしょう。湿度は50~60%を保つのが望ましいと言われています。
また、急激な気温の変化も気管支に負担がかかるため、なるべく一定の温度になるよう温度調節をするのが望ましいです。
温かくする
気管支炎で発熱したら、長袖などを着て温かくしてよく寝ましょう。
また、汗をかいた場合は、そのままにせずタオルでふき取り、服を着替えましょう。
まとめ
気管支炎を早く治すには自己治癒力で治すしかないので、自宅での過ごし方が大切です。気管支炎の原因である風邪は、体力が低下したことで、ウイルスや細菌が体内に入っている状態です。
撃退するには栄養のある食べ物をとり休息することで、抵抗力や免疫力を高めることを心がけましょう。
気管支炎の時の食事は、喉への刺激を避けて潤いを優先させ、炎症を鎮める効果のあるものを積極的に選んでとるようにすることをおすすめします。バランスのよい食事と十分な休息で、つらい気管支炎を早く治しましょう。