あなたが子供の頃、朝礼で倒れてしまう子がいた記憶がありませんか?「ああ、○○ちゃん。また貧血かな。」筆者もそんな風に思ってました。
子供の立ちくらみ。それって本当に貧血なんでしょうか?
もしかしたら、それって貧血じゃなくて、低血圧なのかもしれません。同じような「クラクラ」。貧血と低血圧って症状は似ているけど、全く異なるもの。 子供の低血圧の正体とその対処について、一緒に知っていきましょう。
子供の立ちくらみの原因は貧血じゃないの?
「貧血」は、体の中の赤血球のヘモグロビンが不足して、全身にうまく酸素が運べなくなっている状態です。「低血圧」は、血管の収縮する力が弱くなってしまい血液の循環が悪くなり、手足などの末端の血液が心臓にうまく戻らない状態です。
どちらも必要な血液がうまく全身に行き渡らないことから、酸欠状態を起こしています。ですから、貧血と低血圧は、「体がだるい」「疲れがとれにくい」「立ちくらみがする」といったように、症状がよく似ているのです。ですから、その症状だけでは「貧血」なのか「低血圧」なのか、見分けがつきにくいもの。
子供の貧血の基準は、ヘモグロビンが12g/dl未満と定められています。子供が「体のだるさ」「立ちくらみ」などを訴えたら、まず病院で血液検査を受けましょう。血液検査をして貧血でなければ、低血圧を起こしている可能性がありますよ。
低血圧の基準はどれくらい?
「私、低血圧なの。」そう言う人がいますが、低血圧ってどのくらいの血圧からそう呼ぶのか知っていますか?実は低血圧には国際的な判断基準がないんです。
高血圧には世界的な判断基準があるのですが、低血圧の判断は医師や研究者によってまちまち。これは、高血圧は脳血管障害や心臓病など、大きな疾患を引き起こす原因となりますが、低血圧は基本的に命を脅かすような影響が少ないため。
一般的に低血圧と判断するための基準は、収縮期血圧(いわゆる上の血圧)が100~110mmHg以下の場合、拡張期血圧(いわゆる下の血圧)が60mmHg以下の場合と言われています。「血圧」は、血液が流れる時の血管が内側から押す圧力のことを言います。つまり、血管が広がってしまったり、血液のめぐりが悪くなった状態が「低血圧」なのです。
子供の低血圧の正体とは?
「立ちくらみがする」「体がおもい」「頭痛がする」子供がそう訴え、血液検査をしても貧血ではない。もしかしたら、その症状の原因は『起立性調整障害』かもしれません。
この『起立性調整障害』は、小学校から中学校の思春期の子供に多くみられ、なんと5人に1人の割合で発症しているとも言われています。男女比は男子:女子=1:1.5と言われており、割合としては女子の方が多いですが、男子にも見られる症状です。
起立性調整障害ってどんな病気?
起立性障害の子供は、横になっている状態から急に立ち上がったり、長時間立ち続けていると、血圧が下がって立ちくらみを起こしたりします。これを、「起立性低血圧」と呼びます。人は立っていると、重量で血液が下半身に下がってきて、血圧が低下します。
健康な人であれば、これを防ぐため自律神経が働きます。交感神経が下半身の血管を収縮させて、血圧が下がらないようにします。また、副交感神経は心拍数を上げ、心臓から押し出される血液量を増やし、血圧が下がらないようにします。
起立性障害の場合は、この血圧を調整する自律神経がうまく働かないため、血圧が下がってしまい、脳や全身へ血液が送られにくい状態になるのです。
昔と違い、現代の子供は様々なストレスを抱えています。起立性障害の子供が多いのは、現代の環境による自律神経のバランスの崩れだと言われています。
起立性調整障害の対処は?
症状が出やすいのが、1日のうちでは午前中、1年間では血管が広がりやすい春先~夏と言われています。重症になると、昇圧剤などの薬物療法が必要になってきますが、軽度であれば日常生活の改善で対処できます。
<日常生活で取り組みたいこと>
ストレスを取り除く→強いストレスを感じることで症状が悪化する場合があります。まず、周囲の大人が理解するよう努めましょう。怠けているのではなく、病気であり、本人が辛い状況であることを理解しましょう。
規則正しい生活リズム→自律神経のリズムが整うよう、無理のない範囲で早寝早起きなどを心掛けましょう。
立ちくらみを起こさないように心がける→急な姿勢の変化などは、立ちくらみを起こす原因となります。立ち上がる時には、30秒くらいかけてゆっくり立ち上がりましょう。また、昼間はなるべく体を横にしないように気を付けましょう。
水分を1日1.5ℓ、塩分を1日10~12g摂取する→低血圧は血管を広げるチカラが落ちているため、体がむくみやすくなっています。むくみを予防し、体を循環する血液量を増やすのに、水分と塩分の摂取は効果があります。
まとめ
子供の「低血圧」。本人自身が自分の体の状態に戸惑い、悩んでいるのです。決して怠けているではありません。
周りの大人が気づき、サポートすることで、症状は改善に向かいます。まずは、周りの大人が理解し、子供に寄り添うこと。これが改善への第一歩です。