貧血と眠気にはどんな関係があるのでしょう。特に食後の眠気は耐えられないほど強烈。
食事のたびに睡魔におそわれて、これでは一日何もできないし、時間がもったいない。どうにかならないのでしょうか?
貧血ぎみの人と眠気の関係とは?
眠気におそわれるのは貧血の症状のひとつです。赤血球に含まれるヘモグロビンが減り、血液の循環が悪くなると、脳に酸素が行き渡らなくなり酸欠状態になります。
酸欠になった脳は休息をとらなければいけないと感じ、睡眠をとろうとします。この場合の貧血と言うのは鉄分が不足して起こる「鉄欠乏性貧血」の事をさします。貧血の病気はたくさんありますが、特に多いのがこの鉄欠乏性貧血です。
また、この貧血で血液の循環が悪くなると内臓にも影響し、一日中元気が湧かなくなり、疲労感が抜けず、めまいなどを起こします。冷え性や肩こりなどもこの貧血症状です。
男女ともかかる病気ですが、圧倒的に女性に多くみられます。それは、生理が大きく影響するためです。毎月大量の血液が排出されるため貧血になりやすいのです。貧血の女性は生理の前あたりから眠気がさらに増し、立っている事さえ辛くなる人もたくさんいます。
ここで気を付けなくてはいけないのは、眠気の症状を持つ病気は貧血だけではないと言うことです。低血圧や低血糖、さらには糖尿病も眠気が起こります。 自分の眠気が本当に貧血からきているのか、知る事が大切です。
貧血ぎみだと食後が眠い?
貧血の眠気が食後に多いのには理由があります。食事をすると血液が胃腸の消化を助けようとします。どうなるかと言うと、ただでさえ不足がちな貧血状態の血液が胃腸に「みんな集まれーっ」とばかりに集合してしまい、その他の部分がカラカラ、スカスカになってしまうのです。
脳もチョビッとしか無い血液がわずかに廻るだけになってしまい危機感を感じ取ってしまいます。そして「こりゃ、安静にしなくちゃ!」とお休み状態に入ってしまうのです。というわけで、食事の直後、または食事中に極度の眠気が襲ってきてしまうのです。
食事の後に、強い眠気におそわれる病気は他にもあります。まずは「食後低血圧」と言われるものです。これは高齢者に多くみられる症状です。食後、胃腸に血液が集まり、循環が悪くなると血圧が下がります。本来、この低血圧は自律神経が調整しひどい眠気は起こりません。
ところが、年齢を重ねると自律神経が正常に機能しなくなり、低血圧を引き起こして眠気を呼びます。低血圧が眠気をおこす論理は貧血時と同じです。血液が乏しくなった脳が休息しようとし、眠ろうとするのです。
また「低血糖」も食後の睡魔に襲われます。白米やパスタ、ラーメンなど炭水化物をとると急激に血糖値は上昇します。次にそれを下げようと今度はインスリンと言うホルモンが過剰に分泌されてしまいます。すると血糖値は急激に下がってしまい、低血糖におちいってしまうわけです。
低血糖は、血液の中のブドウ糖が足りなくなって起こるのですが、このブドウ糖、体を動かすために絶対に欠かせない、自動車で言うガソリンのような存在なのです。糖質が血液の中でブドウ糖となって体の中を循環します。
通常ならインスリンと言うホルモンが血中のブドウ糖を調整し、管理しています。「今回はちょっとブドウ糖が多いから血液から細胞へ移そう!」って感じです。
ところが、炭水化物を食べ過ぎたり、早食いしたりすると、ブドウ糖が一気に増えてしまいます。これは血糖値が急上昇している状態ですね。するとインスリンは「これはマズい!みんな急いで仕事にかかれ!!」と号令を出し、必要以上に血中のブドウ糖を取り除いてしまうのです。これが低血糖の状態です。
脳もガソリン不足になり「これはノロノロ運転で行かなくては・・・」と感じ取り動きが鈍くなり、体調には眠気として表れます。ノロノロ運転ならまだ良いのです。低血糖の怖さはガス欠で停止してしまう事があるのです。脳が停止してしまったら、そう死んでしまう事もあると言うことです。
食後に異常な眠気に襲われるなら、それがどうして起こるのか、見極めなくてはなりません。
この食後の眠気・・・治るの?
やはり何といっても食生活の改善と生活リズムを整えることが一番重要です。何も大げさに考えることはないのです。体調が悪い今、さあ新しい生活を始めよう!なんて気持ちになるわけありません。少しづつ、ちょっとの事に気を付ければ良いのです。
まずは食べ過ぎないこと、そしてゆっくり噛んで食べること。油ものや、炭水化物を少し減らしてみましょう。
まずはこれだけの事をしばらく続けてみると、体の変化に気が付くはずです。体調が良くなると意欲も湧き、「あの生活には戻りたくない」と思い始めたならしめたものです。昼間、眠くならずに動けたなら、疲れて夜もぐっすりと睡眠がとれるようになります。
もちろん、鉄欠乏性貧血などは医師の処方された鉄剤が必要な場合もありますし、低血糖も糖尿病が関係している場合もありますので、気を付ければすべての病気が治るわけではありません。ただ、自分の状態と向き合い、改善に向かおうとする事が大切なのですよ。