一時期大流行りした「右肘左肘、交互に見て」というお笑いネタがありましたが、今回はそんな肘が主役の記事です。
皆さんは脱臼と言われるとどこを想像しますか?肩や手首、赤ちゃんであれば股関節などを想像しますよね。
しかし、実は肘も脱臼するのです。肘が痛いときや違和感の感じるときにはもしかしたら脱臼している場合もありますよ。
今回はそんな知られざる肘の脱臼について紹介していきます。何故肘を脱臼してしまうのでしょうか、気になる原因にも同時に迫ってみようと思います。
目次
肘を脱臼してしまったら
まずは肝心の脱臼してしまった時の対処法を紹介していきます。
一般的には活発に外で遊びまわる子どもに多いと言われています。脱臼しても焦る事はありません、誰だって脱臼する事はあるのです。
- 安定した場所で仰向けで寝かせる
- 腫れている場合、熱がある場合は冷やす
- 心臓よりも高い位置で固定する(※状況による)
以上が対処法になります。脱臼はいい加減な治療をしてしまうと癖がついたり、骨が変形していしまう可能性があるので、なるべくならば応急処置のみで留めてすぐに病院へと行き、専門的な治療を受けた方がいいのです。
では、次項からはその応急処置の詳しい内容を見ていきましょう。
安定した場所で仰向けで寝かせる
第一は安全と姿勢の確保です。
気道の確保が全ての基本であるのと同じですね。まずは平らな地面または床に寝かせて、体をリラックスさせてあげてください。夏であればなるべく日陰など、熱中症などの二次被害を防ぐ為に場所を選ぶといいでしょう。
脱臼は激痛が伴い、のたうち回る可能性もあるので、人とぶつかる可能性の無いスペースがあると安心です。
腫れている場合・熱を持っている場合
脱臼は時として熱を帯びたり、腫れを伴う事があります。その場合は冷やすのが正解です。
一時期突き指や脱臼は温めるという間違えた対処法が流行りましたが、冷やす事で熱を奪い炎症が広がっていくのを防ぐのです。
直接氷などを当てると冷た過ぎて辛いと思うので、ビニールに入れた氷水をガーゼや薄いハンカチなどで覆ってしっかりと長時間冷やす事が大切です。
具体的に時間を尋ねられると個人差がありますが、最低でも患部の熱や腫れが引く・または落ち着くまではしっかりと冷やす事が大切です。その状態のまま病院へと急いでください。
心臓よりも高い位置で固定する
脱臼の基本的な措置として有名なのがこの心臓よりも高い位置で固定する方法です。こうする事で血行が良くなり、更なる悪化を防いでくれるからです。
ですが、注意したいのは動かしても良いかどうか。必ず病院へと先に連絡を入れ、医師に状況を説明して心臓よりも高い位置で固定しても問題ないか相談してから応急処置を行ってください。
心臓よりも高い位置という事はある程度腕を上げる必要が出てくるので、座位だと辛いでしょうし高齢者では腕自体が上がらない可能性があります。この応急処置を行う場合はきちんと床に寝かせて行う方が患者の体にも負担がかかりません。
肘を脱臼した時の症状と原因
肘を脱臼すると言われても、なかなかピンと来ないと思います。肘を脱臼する原因はどんなものがあるのでしょうか?以下の事が考えられます。
- 肘を伸ばしたままの状態で転倒し手をついてしまった
- 肘を強打する
- 腕を引っ張り肘を伸ばしてしまった
以上の事をしてしまった場合、高い確率で肘を脱臼してしまいます。
肘を脱臼すると、同時に肘周りの靭帯や関節包が切れる事もあり、もっとひどい場合は骨が折れてしまう事もあります。
肘を脱臼した際に感じる症状
肘を脱臼すると、上記のような症状が引き起こされます。
- 激痛
- 肘が動かない
- 肘を曲げる事が出来ない
- 肘が熱を持つ・腫れる
上記で肘を脱臼するとのたうち回る程の激痛が走ると書きましたが、意外と痛みを感じずに平気な人も中にはいますし、子どもでも脱臼したのに気付かない場合すらあります。
しかし、見た目で分かりにくくても必ず曲がらない等の症状は出てくるので、違和感や肘が曲がらないなどの症状が少なくとも1~2日続く場合は必ず病院へと行くようにしましょう。
肘を脱臼したらどんな治療を行うの?
病院へと搬送された後、どんな治療をするのか非常に気になりますよね。
よく脱臼の治療は激痛だと言いますが、果たして本当なのでしょうか。…残念ながら本当です。脱臼はまず骨を元に戻す事から始まります。以下が治療の流れです。
↓
安静にして10日前後固定を行う
この間に必要があれば外科手術を挟んだり、薬物療法が行われます。
子どもの場合はもっと治りが早く、ぶり返しやすい4~5日を超えればもう固定する心配もなく遊びに出ても構いません。
肘の脱臼とよく間違われる症状
肘の脱臼だと勘違いされやすい症状も中にはあります。よく勘違いするのは以下の症状です。
- 肘内障(ちゅうないしょう)(※5歳以下の子ども)
- 骨折
肘内障は5歳以下の子どもによくある症状で、子どもは関節が柔らかい為に起こりやすいと言われています。
肘内障になる主な原因は、大人とほぼ同じで転んでしまう際に肘を突き出してしまったり、友達と遊んでいて腕を引かれてしまう事だと言われています。
肘が脱臼しないように普段から出来る予防法はあるの?
肘だって出来れば脱臼したくないもの。普段からどんな事に気を付けて、どんな予防法を取るといいかをここでは紹介していきます。
- 転倒しない・転倒する際に肘を突き出さない
- 子どもや高齢者の腕を引っ張らない(※大人同士でも稀に脱臼を起すので注意)
- 握力を鍛える
- 手を振る
転倒する際には手を出すように教えられますが、あまり突っ張ってしまうと今度は体重が全て肘にかかってしまい脱臼を引き起こします。
一番の理想を言えば受け身を取る事ですが、柔道選手ではない限り受け身を咄嗟に取れる人など数える程だと思います。まずは転倒しないように日常の動作をゆっくり、手すりがあるなら手すりにつかまって行う事が何よりの予防に繋がります。
そして腕を引っ張らないのは勿論ですが、残りの二つはどういった効果が見られるのでしょうか?次項で説明していきます。
握力を鍛える
肘の脱臼予防に効果があるのは意外な事に握力トレーニングなのです。
これは脱臼しやすい子どもに効果があるのですが、まず大人と手を握り合ってぎゅーっと思いきり力を込めて握りしめます。その状態を5~10秒続ける事でトレーニングになります。
一日に最低でも5回はしておきたい所です。しっかりと肘に力が入っていると、脱臼はしにくくなります。握力を鍛えて、肘に力を込めるイメージを掴む事が脱臼を予防する第一歩です。勿論大人にも効果がありますし、人と手を握らず物を握るのもOKです。
手を振る
これも肘の周りの筋力を鍛えて、肘に力を込めるトレーニングです。やり方は簡単で、文字通り「ばいばい」をすればOK。これでしっかりと肘の筋肉を鍛える事が出来ます。
高齢者などはなかなか腕自体が上がらないから出来ない…と思っているかもしれませんが、自分の腕の上がる範囲で手を振るのにも効果が期待できます。
無理に腕を上げると今度は肩に負担がかかりますので、自分の上がる範囲の手振りで肘を鍛えていきましょう!
まとめ
肘だろうと何だろうと脱臼は痛みを激しく感じる辛い症状です。
ですから、普段から脱臼をしないように転倒の方法に気を付けたりする上に、子どもを呼ぶ際には腕を引かないように注意をしましょう。
そして、脱臼を疑った場合はすぐに病院へと行き、完治の診断が下りるまで必ず治療に通ってリハビリも行い、骨を元の位置に戻すように心がけましょう。
参考:手首が骨折した時の対処法と気をつけたい合併症の症状対策まとめ