寒がりな人の強い味方であるカイロや電気毛布、ですが使い方を誤るとあなたの大切な皮膚に恐ろしい症状を引き起こしてしまいます。そう、低温やけどです。
今回はそんな恐ろしい低温やけどの症状、もしも低温やけどを負ってしまった際の治し方を紹介していきます。
やけどは一生体に残ってしまうものです、少しでも症状を軽くする為に処置の仕方は覚えておきましょう。
目次
低温やけどをした時の症状
では、まずは低温やけどをしてしまった時に起こる症状から紹介してきます。
低温やけどを見逃さない為にも覚えていてください。
低温やけどの症状
低温やけどの症状は、やけどの症状によって違います。
- 軽く赤い腫れが出来てひりひりする…1度
- 強い痛みがあって水ぶくれが出来る…2度
- 灰色に皮膚が変色する…3度
この三種類が低温やけどで挙げられる段階です。肌が灰色になるのが最重度です。では、症状だけではなく、詳しい皮膚の状態についても知っていきましょう。
軽く赤い腫れが出来てひりひりする場合
低温やけどの中では軽度と分類される軽く赤い腫れが出来る症状です。この時やけどは皮膚表面で留まっており、体にダメージは殆ど受けていません。
しかし、やけどはやけどですから適切な処置をしなければ痕が残ってしまいます。なるべく痕を残さない為にも、すぐに治療に取り掛かってください。
強い痛みがあって水ぶくれが出来る
低温やけどの分類で2度と判断されるやけどです。これは結構重度で、更に二種類に分類されます。
- 浅層熱傷
- 深層熱傷
文字通り、皮膚のどこまでやけどが浸透しているかで変わります。浅層熱傷は皮膚の表面でやけどが留まり、どうにかやけどをせずに済んでいる状態です。1~2週間で治癒し、痕も殆ど残らないので安心です。
対して、深層熱傷は皮膚の表面から更に進んだ真層までやけどが進んで破壊されている状態です。肌が白く変化し、一部は壊死している場合があります。浅層熱傷と違い、治療には3週間~1か月を要し、痕も殆どの場合残ってしまいます。
灰色に皮膚が変色する
最重度の低温やけどです。皮膚組織がやけどによって破壊され、壊死している状態です。こうなるともう自然治癒は無理で、最悪皮膚移植をしなければならなくなります。
残念ながら痕は残りますので、この状態になる前に低温やけどに気付いて適切な治療が必要になります。
低温やけどの治し方
低温やけどの症状を知り被害を最小限に食い止めたら、次は適切な治療が求められます。
一体どんな事をすればいいのでしょうか?
応急処置
低温やけどに気付いたら、まずは以下の事を速やかに行いましょう。
- 20~30分流水を当ててとにかく冷やす
- やけどの範囲が広い場合は、大きなシーツなどを濡らしてそれで患部を覆いすぐに病院へと搬送
とにかく皮膚の温度を下げてやけどが皮膚の細胞を破壊するのを食い止めるのが最優先です。こまめに冷やすタオルを交換して、清潔に患部を冷やしておきましょう。
絶対にやってはいけない事
応急処置でも間違った方法があり、それを行ってしまうと更に症状を悪化させてしまうので気を付けましょう。昔、患部にアロエや油を塗ればやけどの症状を軽減できるという話がありましたが、それは大きな間違いです。
逆に皮膚に細菌感染を引き起こし、更に皮膚の状態を悪くしてしまうので絶対にしてはいけません。
病院で受ける治療
次に、病院に搬送された後にどんな治療を受けるのかを紹介していきます。病院でもまずはやけどの程度を診ます。1~2度のやけどの場合は、湿潤療法と言って、患部を乾燥するのを防いで自然治癒を手助けする治療を行います。
2度でもやけどが酷い場合、そして3度になってしまった場合は皮膚を移植して治療を行います。
皮膚移植も万能ではない
皮膚移植はやけどを負った人にとっては唯一の希望でもあります。しかし、その皮膚移植も医学の進歩と共に進化はしていますが、現在もいくつかの条件が存在します。
- 自分の皮膚でないと効果がない
- 皮膚移植をしても完璧に綺麗に治る訳ではない
皮膚移植は綺麗になりたい人がするのではなく、そうしなければ命が助からない人がするものなのです。
低温やけどの予防
女性は特に見た目に敏感ですから、低温やけどは絶対に避けたいでしょう。
ここでは低温やけどが何故起こってしまうのか、その原因になりうる事柄や、どうやって予防するのかを紹介していきます。
低温やけどの原因
低温やけどの原因としてよく挙げられるのは、以下の事柄です。
- カイロを皮膚に当てすぎてしまった
- パソコンなどの電子機器を太腿に置いたまま作業をしていた
- 電気あんかを足に当てすぎてしまった
- 糖尿病を患っている人
- 電気毛布を一晩中使ってしまった
どれも冬の寒さから私達を守ってくれるアイテムばかりで、そんなに高温には感じませんよね。何故高温でもないのに、やけどを引き起こしてしまうのでしょうか?
低温やけどの仕組み
低温やけどが一番起こりやすい温度というのが、45℃~60℃、私達が「暖かくて気持ち良い」と感じる温度なのです。
熱い場合はすぐに手や足を引っ込めて防御を取る人間ですが、丁度良い45℃~60℃になるとついつい気持ち良さのあまり皮膚に当てたまま居眠りをしてしまったり、気持ち良さでそのまま放置してしまいます。
そうする事で、熱が皮膚に当たり続け皮膚が圧迫された結果、血管にも熱が伝わってしまい結果低温やけどをして皮膚が壊死してしまうのです。
何で糖尿病の人が低温やけどになりやすいの?
一見共通点のなさそうな糖尿病と低温やけど、どんな繋がりがあるのでしょうか?それは、糖尿病が引き起こす症状にヒントがありました。
糖尿病になると、足への血流が悪くなってしまい、冷えやすくなってしまいます。冷えを避ける為に足へとカイロを貼ったり、寝る時に電気あんかを使用するのですが、感覚が鈍くなってしまっているのでなかなか温まったという実感を得る事が出来ないのです。
そこで長時間使用をしてしまい、気付けば低温やけどを引き起こしてしまっているのです。
低温やけどにならない為に
低温やけどは自分で注意をすれば十分に防ぐ事の出来る事故です。以下の項目を遵守して、低温やけどから身を守りましょう。
- 同じ所にカイロや電気あんかを当て続けない
- 電気毛布は必ず時間を決めて使用する(※布団がある程度温まったら電源を切る)
- ストーブやヒーターに当たる場合は、必ず1.5メートル以上の間隔を保つ
- 車のヒーターも危険なので、同じ個所ばかりに風が当たらない様に気を付ける
低温やけどはこうやって見ると、日常生活の小さな積み重ねで簡単になってしまうのです。
気を付けなければならない人
糖尿病以外にも気を付けなければならない人がいます。それは、高齢者と子供です。高齢者は基本的に皮膚の感覚が老化と共に鈍くなり、長時間同じ場所にカイロや電気あんかを当て続けても温かさを感じずにそのまま低温やけどになってしまいます。
子どもは寒くないようにと電気カーペットの上に直接寝かせてしまい、自分で移動する事の出来ない0歳の子がやけどをしてしまう事だってあるのです。絶対に直接皮膚に当たらないようにしておきましょう。
参考: やけどの辛さを止めてくれる最適な痛み止めは塗り薬?飲み薬?
まとめ
低温やけどは気付きにくく、気付いた時には重症化している場合の多い恐ろしい事故です。毎年冬になると低温やけどの事故が多発しています。
皮膚移植になると費用も高額ですし、皮膚も痕が残ってしまい一生やけどの痕と付き合い続けていかなければなりません。そうならない為にも、自衛を欠かさないようにしてください。
参考:やけどしてからヒリヒリと痛みが続く…痛みを止める方法は?