立ちくらみも耳鳴りも、それぞれが別々に起きて一過性の症状なら、心配することはないと思います。ところが、同時に起きたなら、三半規管の異常か、自律神経の異常、さらには脳に何かあるのかもしれません。
それぞれのことを気を付けるために一体どうすれば良いのでしょうか?詳しく説明していきますね。
立ちくらみと同時に耳鳴りがあるのは何かの病気?
立ちくらみも耳鳴りも、ストレスや睡眠不足から起こりやすいものです。どちらが起こっても、まずは、安静にし、バランスのとれた食生活とたっぷりの睡眠が必要になります。ただし、この2つが同時に起こったのなら、耳の病気を考えなくてはなりません。
三半規管は、耳の中の内耳にあり、平衡感覚を保っているものです。そして、そのすぐ下に蝸牛と言う、音を聴く事に関係する器官があります。三半規管の異常が立ちくらみを、蝸牛の異常が耳鳴りを、発生させているかもしれないのです。
この2つは、どちらか一方が異常を起こすと、ただちに影響を受けやすいため、両方が同時に発生する可能性が高いのです。
突発性難聴⇒難聴と前後して、耳鳴りとめまいが起こる。原因は不明。突然発症する難聴。片耳に起こることが多いが、まれに両耳に起こることもある。発症から2週間以内の治療でないと回復が難しい。若者にも多く、年間3万人〜4万人が発症している。
メニエール病⇒突発的な立っていられないほどの回転性のめまいが数十分以上続く。耳鳴り、難聴が同時に見られる。(付随症状=吐き気、冷や汗、顔面蒼白、動悸、温感異常)一度症状が回復しても、数日から数か月にわたり何度も繰り返す。40代前後の女性に多い。早めの治療で改善の兆しがないと、完全な回復が難しい。
この2つが、考えられますが、メニエール病のめまいは、大変激しいもので、立ちくらみとは比較にならないので、この場合は当てはまらないと考えられます。
立ちくらみと耳鳴りが同時に起こるのは自律神経の病気?
立ちくらみと耳鳴りが同時に起こった場合、自律神経失調症の恐れがあります。この病気は、自分ではわからない事が多く、特に原因の病気がないのに、体調不良や精神的な不安が付きまといます。
自律神経失調症(症状=慢性的な疲労感・倦怠感・立ちくらみ・めまい・頭痛・耳鳴り・動悸・ほてり・不眠・便秘・下痢・微熱・手足のしびれ・嚥下困難・イライラする・気分が落ち込む・不安・疎外感・突然悲しくなる・やる気が出ない・ゆううつ・焦りを感じる)
自律神経失調症には4つのタイプがあります
- 本態性自律神経失調症⇒本態性型自律神経失調症は生まれつき自律神経が強くありません。子供の頃から体調がすぐれず、虚弱体質であったと思われます。また、ストレス要因がなくても些細なことがきっかけで発症します。遺伝性ではありません。生理痛のひどい人、低血圧の人、冷え性の人、多汗症の人に多いと言われています。ライフスタイルで改善が可能です。
- 神経症型自律神経失調症⇒感受性が強く、体調不良や心身の異常に過敏に反応する人に多いと言われます。また、外部のストレスに打たれ弱い人に多く、人の目を過剰に気にします。ひとつの物や事柄に、執着や固執を見せる人がなりやすい病気です。イライラや不安感に襲われます。自分を追い詰めて考えてしまう傾向にあるため、悪化しやすいと言えます。性格的な問題なので、改善が難しく、カウンセリングなどで軽減します。
- 心身症型自律神経失調症⇒自律神経失調症を患った人の半数以上がこの心身症型です。ストレスを溜めこんでしまう人が、耐え切れなくなって発症します。理想が高い人や、頑張り過ぎる人に多く、息抜きや、ONとOFFの切り替えが出来ないようなタイプの人に多く発症します。また、他人に反論できない、几帳面、など日本人に多いタイプの性質に多いと言え、原因は社会的なストレスが要因で起こると考えられます。
- 抑うつ型自律神経失調症⇒人生を左右するような大きなショックやストレスを受けた人に発症します。身近な人の死などは代表的です。無気力になり、気持ちがふさぎ、やる気が起きない状態になります。悲しいことだけではなく、昇進などでもプレッシャーが巨大なストレス要因となり発症します。睡眠障害や食欲不振を起こしやすいので、周囲の助けが必要です。カウンセリングなどで改善します。
自律神経失調症は、自分で気が付く時には、進行している状態です。そうなると、病院へ行く気力もなくなっていることがあり、うつ病などを併発してしまうこともあります。また、自律神経の異常は、全身の臓器に異常をもたらすため、思わぬ病気を引き起こしてしまいます。
定年を迎えた人が、しばらくすると趣味にも興味を持たなくなったり、笑わなくなったりし、病院に行くと自律神経失調症だったことは大変多くある症例です。
真面目に社会生活を送ってきた人に多く見られ、精一杯努力を重ねる一方、会社への依存度が高かったため、会社から離れたことで、疎外感や虚無感にかられてしまいます。
自律神経の機能度をセルフチェックしてみましょう
<自律神経の機能度(20項目)>
- 耳鳴りがする
- 立ちくらみが良く起きる
- 胸が締め付けられる感覚が起こる
- 何も手につかず、落ち着かない時がある
- 安静時に動悸がある
- 息苦しくなる
- 手足が冷たく感じる
- 胃の具合が悪い
- 便秘や下痢が続く
- 肩こり
- 手足にダルさを感じる
- 顔に大量の汗をかく
- 手足に大量の汗をかく
- 朝スッキリ目覚めない
- やけにまぶしいと感じる
- 季節の変わり目が辛い
- 日中眠くなる
- 怖い夢をよく見る
- 飲みこみづらい(嚥下困難)
- 風邪をひいていなくても咳が出る
上記の項目の中に4つ以上当てはまるものがあったら、自律神経の影響があると考えられます。ただし、上記のような状態があったからと言って、自分は「自律神経失調症だ!」と思い込むのは危険です。
自律神経失調症の際に起こる不定愁訴は、内臓の病気が隠れていることもあるためです。順番としては、まず内科的な診断をしてもらい、異常がなければ、心療内科で診てもらう事をお勧めします。
心療内科やカウンセリングの選び方病院に足が向かない理由の一つに、「どうやって説明していいのかわからない」や「プライベートな事を話したくない」などがあります。誰でも心の中を覗かれるようなことには、不信感や嫌悪感を持ちますね。
むやみにカウンセリングを勧めても、「あなたはこんな病気だから、そんなこと言う権利はありません!」と言われたような気分になり、さらに社会や家族との距離ができてしまい、自分の殻に閉じこもってしまう、なんてことになり兼ねません。
最初からカウンセリングを受けようとすると、本人にはかなりのストレスなので、先に心療内科を受診しましょう。その病院から紹介を受けたカウンセリング事務所を訪れることが安心です。
では、最初に行く心療内科をどうやって選ぶか、と言う事です。行くまでにわかることは限られています。ネットの口コミや経験談などを聞いたり読んたりすることしか出来ません。ただし、病院や先生の印象は個人差があるため、誰かが良いといっても、そこが自分にも合っているとは限りません。
まだ、会ってもいない先生に救いを求めてしまうと、合わなかった時に大変ガッカリしてしまうので、最初は様子を見るような気持ちで受診した方が良いです。内科で診てもらった先生に聞いてみるのも良いでしょう。
そして、出来れば付き添いの人と一緒に行くのが安心です。一人だと、診察より不安が大きくて、受診後には、何を言われたか、さっぱり覚えていないことがあるためです。
また、事前に症状などを書いて行くと、伝えもれがないので本人も安心できて良いです。精神的な事から起きている病気を診てもらう時は、出来る限りの不安要素を排除して診察に向かいましょう。良い心療内科や神経科、精神科は、患者が不安で一杯なことを良く理解しているため、同じように不安要素を排除しようとしてくれます。
家族と一緒に話した方が良いのか、一人で話をした方が良いのか、話す時の動作や、目の動き、筋肉の緊張などを見ています。そして、付き添いがいると、その人にもきちんとした説明があるはずです。
自律神経失調症の場合、家族の支えが大きく作用するためです。やたらと、心理テストをしたり、患者を待合室で一人で待たせるようなところは、理解している病院とは思えません。
不振に思ったり、どうも嫌な感じがする時は、病院を変えましょう。今は、セカンドオピニオンを持つのは、常識的なことです。ただし、本人は「一度診てもらったのに申し訳ない」などと気にすることがあるので、家族がよく説明してあげることが必要です。
まとめ
立ちくらみ、耳鳴り、動悸が同時に起こる病気には、「耳の病気」、「自律神経失調症」が考えられます。耳の病気で起こる立ちくらみは、比較的激しいものが多く、めまいと呼ぶ症状が多いようです。
自律神経失調症は、真面目で几帳面は人がなりやすい病気です。中年期に入ったら、自分の老後に対し、積極的にプランを立てて行くことが必要かもしれません。
心にぽっかりと大きな穴を空けてしまわないように、準備しておくのは大切なことですね。また、自律神経を病んでいる人には、マッサージが良いと聞きます。体の緊張をほぐくことで、心もほぐれていくようですよ。