めまいやふらつきを経験した人は大変多く、一瞬クラっとするものから、立っていられないようなものまでその症状は多様です。
その原因の多くは自律神経と関係していると言われています。自律神経が正常に機能しなくなると人はめまいやふらつきを起こしてしまうのです。
では何に気を付ければ良いのでしょうか?
目次
めまいやふらつきの症状が起きる原因とは?
めまいやふらつきを訴える人は、年々増加の傾向にあり、ストレスを感じている人の増加と同調しています。また、めまいやふらつきを訴える人には、原因となる病気が見つからない場合が多く、その代わり、生活の中に「ストレス」や「睡眠障害」の問題を抱える人が多く見られます。
めまいには、いくつかの種類があります。
- 回転性のめまい→周囲がグルグルと回るように感じる・自分がグルグルと移動しているように感じる
- 浮遊性のめまい→ふわふわと雲の上を歩くような感じがする・歩くのが怖い感じがする(遠近感がわからなくなる)
- 起立性のめまい→立ち上がった時にクラっとする・目の前が真っ暗になる(眼前暗黒感)・意識を失う
どれも、転倒などの危険があり、めまいは二次的なケガにも注意しなければなりません。また、めまいを感じると、平衡感覚に影響が出るため、人は吐き気を併発することが多く、回転性のめまいなどは、大変つらい思いをしてしまいます。
大変つらい思いをしてしまいますが、めまいが起きただけでは、病気の判定が難しく、耳鼻科に行っても「原因不明」と言われることもあります。そうなった場合、原因は自律神経と言う事がほとんどです。
めまいやふらつきの原因、それは自律神経が弱ったため?
自律神経は交感神経と副交感神経がバランスを取ることで成り立っています。交感神経は、主に「起きている間の行動」「緊張」「ストレスに対抗する」など「戦い」や「挑む」と言った攻撃の神経です。
反対に、副交感神経は、「睡眠」、「安静」、「休息」、「リラックス」、「食事の満足感」などの癒しの神経で、さらに、昼間戦うことで疲れた神経や細胞を修復し、回復させる力を持っています。
このふたつの神経が、バランス良く、「戦う」→「癒す、修復」→「戦う」→「癒す、修復」と繰り返していければ、自律神経が機能しなくなるようなことにはなりません。実生活では、ストレスが多大で、交感神経の方が活躍の場が多くなっています。
さらに問題なのが睡眠不足です。睡眠時間が短いとなると、副交感神経が癒してくれることはありません。そのため、「戦う」→「戦う」→「戦う」と癒しも、修復もないまま、人は戦い続けていることになるのです。交感神経ばかりがピリピリと働き続け、自律神経は機能が弱っていきます。
体の中で自律神経が取り仕切っているのは、人が生きて行くために必要な重要なことばかりです。自律神経の役割は、私たちの意思では動かすことのできない範囲のことです。例えば「血圧」「内臓機能」「呼吸機能」「血液の循環」「老廃物の排出」「細胞の合成、分解」「体温調節」など、全身におよびます。
通常、立ち上がって歩いても、倒れずに歩けるのは、自律神経が、神経伝達物質からの信号をキャッチして、「立ち上がる」と察知し、頭部の血液が重力とともに下に下がらないように、血圧を調整しているのです。
ところが、自律神経が正常に機能しないと、血圧は一気に下降してしまい、人はめまいを起こしてしまうのです。この状態でおこるめまい、立ちくらみを「起立性低血圧」と言います。また、交感神経は緊張状態を保持するため、体の筋肉もずーっと強張った状態が続いています。
そのため、肩こりや首こりを起こします。筋肉の強張りは、血行不良も招くため、動脈硬化にもつながります。肩や首のコリは、首の中にある大切な椎骨動脈を圧迫し、耳鳴りや頭痛を引き起こします。この状態でおこるめまいを「椎骨脳底動脈循環不全」と言います。
めまいが起きてからでは大変!自律神経の状態を知っておくのが大事!
自律神経は、今どれくらい弱っているのか。自分はいったいどんな状態なのか、わかりにくく、判断しにくいものです。自律神経を見ることはできませんが、日常の生活をあらためて振り返ることで、知ることが出来ます。
自律神経の機能度(20項目)
- 耳鳴りがする
- 立ちくらみが良く起きる
- 胸が締め付けられる感覚が起こる
- 何も手につかず、落ち着かない時がある
- 安静時に動悸がある
- 息苦しくなる
- 手足が冷たく感じる
- 胃の具合が悪い
- 便秘や下痢が続く
- 肩こり
- 手足にダルさを感じる
- 顔に大量の汗をかく
- 手足に大量の汗をかく
- 朝スッキリ目覚めない
- やけにまぶしいと感じる
- 季節の変わり目が辛い
- 日中眠くなる
- 怖い夢をよく見る
- 飲みこみづらい(嚥下困難)
- 風邪をひいていなくても咳が出る
上記の項目の中に4つ以上当てはまるものがあったら、自律神経の影響があると考えられます。また、8つ以上になったら、日常生活に支障が出てくる恐れもあるので、医師に相談し、自律神経を安定させる薬を処方してもらうことをお勧めします。
このようなセルフチェックは、誰にでも当てはまることが多く、意味あるの?と考えてしまう人もいます。
セルフチェックには、「自分の体調を振り返って考える」と言う目的があるのです。この中のすべてに当てはまってしまい怖くなって病院を訪れたのなら、それは改善に向かうきっかけとなるのです。自律神経のセルフチェックは占いではありません。たくさんの方が当てはまってもおかしくないのです。それだけ、ストレスにさらされている人が多いと言うことなのです。
めまいの原因、自律神経が弱いのはセロトニン不足?
人の体の中には神経伝達物質があり、信号をやりとりしながら毎日の生活を送る事ができます。いまのところ60種類以上の神経伝達物質が確認されていますが、その働きを解明されているのは20種類ほどです。中でも、感情や、それにともなう行動をになう、三大神経伝達物質が「ドーパミン」「ノルアドレナリン」「セロトニン」です。
ドーパミンは快楽物質で、放出されると、気分の高揚を感じます。人が生きて行く上で必要な本能的な行動をになっています。何かに夢中になっていて、食事を忘れてしまうようなことがありますね。ドーパミンが放出されていると、お腹が空かないほど集中してしまうのです。
意欲的に取り組む力や、生きて行く活力を湧きたたせる物質なのです。人は、褒められると嬉しくなり、気分が高揚して、さらにやる気が生まれますね、これはドーパミンの効果なのです。このように、前向きな姿勢や、やる気のホルモンなので、不足してくると生きる力が失われて行きます。ドーパミンが不足して起こる病気にはパーキンソン症があります。
ノルアドレナリンは、怒りのホルモンと呼ばれるもので、人が本能的に危険を察知して回避する、とっさの判断力などは、このノルアドレナリンの作用です。ストレスに反応する力があり、暑さや寒さ、騒音などから回避します。日常や職場での緊張感や集中力もこの作用です。これらの作用は、交感神経を刺激します。
ノルアドレナリンが不足してくると、無気力、集中力の低下、学習力の低下、判断力の低下が起きます。外部からの刺激に鈍くなり、やがて、うつ病を始めとする精神疾患が起きてきます。
ドーパミンとノルアドレナリンはお互いに密接に関係していて、片方が刺激を受けるともう片方も刺激を受けます。この興奮状態を抑えるのがセロトニンです。セロトニンは、精神の安定、心の安らぎ、気分や感情のコントロールをします。
交感神経が優位に立っている時は、ドーパミンとノルアドレナリンが放出されているため、制御しようとセロトニンも放出し続けます。そのため、放出し続けた挙句、セロトニン不足に陥ってしまいます。
セロトニンが不足すると、人は感情のコントロールが出来なくなります。衝動的な行動を抑制できなかったり、キレる、怒りっぽくなる、または、無気力、倦怠感、ボーっとする、睡眠障害、うつ症状を起こしていきます。
現代人はセロトニン不足と言われていて、特にこどもに顕著に現れています。セロトニンが不足する原因は、ドーパミンとノルアドレナリンの抑制だけではなく、運動不足、昼夜逆転の生活、などからも起こります。
セロトニン生産は、規則的な生活、太陽光を浴びる、リズミカルな運動、食事(トリプトファン)によって、増加しますので、早く寝て、朝日を浴びる事が、一番手っ取り早く、増やせる方法なのです。
まとめ
人は、副交感神経が優位に立つ時間をもたないと、元気な毎日を送ることは出来ません。副交感神経が優位に立つと言うことは、生活の中にリラックスした時間をどれだけ多くとりいれられるか、と言う事です。
そして、セロトニンを増やさなければなりません。セロトニンを増やすにはお金も時間も要りませんね、寝る時間を早めにずらして、少し早く起きるようにし、朝日を浴びることで、心のやすらぎを得やすくなれるのです。
人は、ストレス状態に陥っていると、リラックスするのが、下手になってしまうのです。それは、セロトニン不足を意味しているのです。ストレスを発散、解消するためには、セロトニン不足を解消することが一番大切だと言えますね。