手術や、大ケガなど、大量の出血を伴うときは当然輸血をします。体内の30%の血液を失うと死んでしまうかもしれないからです。
出血性貧血は一刻も早く血液を増やし、体内の酸素の供給を間に合わせなければなりません。しかし鉄欠乏性貧血になる場合に一体どんな出血が多いのでしょうか?
鉄欠乏性貧血を起こす出血ってどれくらいなの?
出血量を考えたら、やはり女性は月経があるために男性より出血していると考えて良いでしょうかね。月経による平均生涯出血量をみてみましょう。
平均経血量/1回 100ml × 閉経までの平均年数 40年 = 48L
すごいですね。あくまでも平均ですが48Lもの出血をしているのですね。鉄欠乏性貧血を起こす人は、生理が重いことが多いので、さらにたくさんの量が失われることになります。
出産時の出血はどうでしょうか。平均が300mlとなり、500mlになると出血過多になります。ほとんどの女性はこれを繰り返しているので、やはり貧血になる確率は高そうですね。
では、事故などで出血した時はどのくらいで危険になるのでしょう。人は血液量の20%を短時間に失うとショック状態に陥り、意識がもうろうとします。さらに、30%を失うと、死んでしまう可能性が高くなります。
50㎏の人なら、血液量は4Lです。と言うことは、800ml失うとショックを起こし、1200ml失うと命の危険と言うことになります。
血液は意外と多くない量で、命の危険にさらされてしまうと感じませんか。のどが渇いているときなど、500mlの飲み物などあっという間に飲み干してしまいますよね。輸血の基準になっているのが、この500mlの出血なのです。血液は大切にしなければいけませんね。安易に一滴も無駄に出血できません。
実際に、一日に2mlのわずかな量の血液でも失い続けると貧血になると言われています。これは慢性出血といい、月経の無い男性が手術や大ケガもなく、鉄欠乏性貧血になった時には消化器系からの慢性的な出血を疑います。
慢性出血ってどこからの出血?
手術も大ケガも月経もない男性が、鉄欠乏性貧血になった時は、まず慢性的に出血をしたことで貧血を起こしていないかと考えます。消化器系の臓器から長期にわたりジワジワと、結果的には大量の血液を失ったのではないかと言うことです。
胃がん、胃かいよう、十二指腸潰瘍 大腸ポリープ、大腸がん、痔などを疑います。胃がんや大腸がんなどは、がん細胞からの攻撃により傷つき出血します。そして、便に混じり、排出されるのです。
また、胃がんは治療による摘出手術のあとにも鉄欠乏性貧血がおこります。鉄の吸収には胃酸が必要ですが、胃を摘出してしまうと鉄の吸収ができなくなり鉄欠乏性貧血をおこします。フェリチン(貯蔵鉄分)があるため、すぐには起きず、摘出から2~3年後に発症します。
このような場合は、鉄欠乏性貧血が起こる事がわかっているので、きちんと段階的な治療が行われます。胃がんや大腸がんが原因で貧血を起こした時は、初期症状より進行している状態だと考えます。血便を確認したときは、すぐに病院で検査してもらいましょう。
鼻血でも貧血になるの?
鼻血を出しやすい人っていますよね。体質にもよりますが、自分で傷つけて出してしまう人もいます。鼻血の90%は鼻の真ん中のしきりの入口あたりのキーゼルバッハ部位から出血します。
このあたりは特に血管の密集部な上に、とてももろく、少しの刺激で切れてしまいます。何らかの原因で、血管が収縮したりするとそれだけで、刺激となり大量の鼻血が出ることもあります。当然、それ相当の血が失われたのであれば、貧血はおこります。
反対に鉄欠乏性貧血の症状で鼻血の可能性となると、血液の循環が悪くなったことが刺激になったか、治療の鉄剤のおかげで血が廻り始めたときに、それが刺激となり、出血したのだと思います。
まとめ
大量の出血を伴う時は、事故などの大ケガ以外では、ほとんどの場合は医師の元での手術や出産かと思います。しかし、今の時代は自然災害も増えて、医師のいない場所で近隣の方と助け合いながら救助を待たなければならない場面に遭遇することもあり得ます。
そのような時には、出血の知識があるのと無いのとでは大きく生死をわけてしまいます。出血の怖さを知り、止血に注意を向けることで、自分もほかの方も助かる可能性が大変高くなるのです。少しの出血でも長く流し続ければ貧血を起こし、意識を失うこともあると覚えておきましょう。
また、気が付かないうちに起こる消化器系の病気が原因の出血は、健康診断を確実に受けることで少しでも期間を短くすることができます。
貧血が進行した状態になれば、それだけ体力を失うことになります。原因の病気の治療にも大きく影響します。まず自分の体に目を向け、体の状態を知ることが大切なのです。