擦りむいたり、紙や包丁で手を切るなどしてできる傷は日常茶飯事の出来事ですね。気をつけていても、ほんの一瞬で出来てしまいます。
その時、その傷口はどうしていますか?とりあえず、消毒してガーゼ付きの絆創膏を貼ってしまっていませんか?実はそれは間違った方法だったんです。詳しく解説していきますね。
擦り傷や切り傷ができてしまったら、まず消毒しないこと!
擦り傷や切り傷が出来てしまったら、まず傷口を抑えて止血します。このとき、体内でも止血機構が働き、止血しようと動いています。自然治癒力が働き、血は固まろうとしています。また、傷口から細菌が侵入してくるのを防ごうと、白血球の一部も動き始めます。
参考:傷口にワセリンを塗って治す治療法知ってる?絆創膏じゃなくて貼るのはラップ?
日本では長い間、傷が出来るととにかく消毒する事を大切にしてきました。ところがここ数年は、その消毒によって、止血機構や、滅菌するために働く白血球まで一緒に殺してしまい、そのため治りが悪くなったり、悪化することがわかり、自分の体が自分で治そうとする治癒力を使った湿潤療法に切り替わってきています。
傷ができると傷口から透明の液体が出てきますね。これは「浸出液」と言う体内から傷を治すために出てくる体液です。ひとの体は、傷が出来ると自分で治す力を持っているのです。
この体液を乾かさないようにすることで、傷が早く治り、傷跡も残らず、痛みも少なくなります。傷は空気に触れると痛いですね、あれは傷によってむき出しになった神経に空気がふれるためです。
今までは、消毒して傷口を早く乾燥させようとしていたので、いつまでもヒリヒリを痛みが強かったのです。
擦り傷や切り傷ができてしまったらどうしたいいの?絆創膏は?
皮膚の表面を削るような擦り傷と、パックリ開いた切り傷では対処方法に違いがあります。消毒しないのは同じですが、浸出液を上手く使った湿潤療法は主に擦り傷やヤケド、床ずれや靴ずれなどの表面傷の治療方です。
参考:傷口がかゆいときの対処法を教えて!治りかけが特にかゆい原因って?
このような傷の場合は、まず水道水で洗い流します。その時水を拭き取るのは傷の周りだけです。傷口にはさわりません。その後、絆創膏を貼るのですが、この時に一般的なガーゼ付きの絆創膏は絶対に貼ってはいけません。
傷口にガーゼがくっついてしまい張り替えの時に傷が悪化してしまいます。この時に威力を発揮するのが、「ハイドロコロイド」と明記されている絆創膏です。有名なのはキズパワーパッドがあります。
このハイドロコロイド絆創膏は、傷に当たる部分に吸水性があることで余分な浸出液を吸い取り、傷口にある浸出液をゲル状にして傷を乾燥させない優れものです。
自分の体液である浸出液を上手く使って治療するためには、ガーゼなどですべて吸い取ってしまっては意味がないのです。ただし、ここで問題なのは傷の大きさにあったものを貼らなくてはならないと言う事です。
と言うのも、ハイドロコロイド絆創膏は今までの絆創膏概念のまま考えるとかなり値段が高く、それぞれのサイズを買い揃えておくとなると何千円にもなってしまいます。
また、粘着力を考えてもお風呂に耐えられるほどではありません。4~5日は剥がさないようにと表記されていますが、これはなかなか難しいと考えた方がよさそうです。
最初はどうしても一日に2~3枚は貼りかえることになってしまいます。もしも買い置きがないような時は、とりあえず傷口をラップで巻いて乾燥しないようにし、そのままドラッグストアに駆け込む手もあります。
動けない時や、広範囲の擦り傷の時は、ラップにワセリンを塗り貼り付けてもハイドロコロイド絆創膏と同じ湿潤療法の効果があります。この方法はマメに傷口を洗うなどの注意点があるので良く確認しながらおこないましょう。
パックリと縦に開いた切り傷の時は、とにかく傷をくっつけることを第一に考えます。ばい菌や細菌だらけの中でケガをしたなら水道水で洗い流しますが、室内でのケガなら洗い流さなくても大丈夫です。体内の力でほとんど殺菌できます。
まず傷口をふさぐようにギュッとくっつけて止血をします。ある程度出血がおさまってきたら今度はそのまま傷口が開かないように粘着シートやテープで固定します。
もし指先のケガなら、グルリと一周しないように、貼り始めと終わりが重ならないようにしましょう。強く締め付けると指先に血流が届かなくなり壊死してしまうことがあるので必ず血流は確保しておきます。
サージカルテープをひとつ用意しておくと良いですよ。この時にテープの代わりにガーゼ付きの一般的な絆創膏を使ってしまっては意味がありません。
ガーゼの部分は伸縮性がないため、傷口が開いてしまうからです。ギュッと貼り付けた傷口は出来ることなら二日くらい水に濡らさずにおくと、ほとんどがくっついて再生してきます。
まとめ
ケガをしたのに消毒しないなんて最初は不安かもしれませんね。でも、良くかんがえれば理にかなっているのです。
人の体は驚くほどよくできていて、ケガをすれば自分で察知し、治すチームが一丸となって治療に望むのです。消毒してしまうと、そのチームまで一度殺してしまうので、再生まで時間がかかってしまうのです。
あくまでも自力で解決できる範囲の治療なので、ひどいヤケドや中が見えそうな切り傷の時は病院で手当てを受けましょう。切り傷は縫合が必要な場合もありますし、同じテープで止めるにしても、キレイに留めてくれるので感染症の心配がありません。
ドラッグストアに行くと、ハイドロコロイド絆創膏の種類もたくさんあるので参考のためにも、一度使用法と値段を確認しておくと良いかもしれません。