擦り傷が化膿してしまうと、痛みと赤い腫れ、患部発熱などの症状が起きます。化膿は傷の大きさや体質、体調によって症状の強弱があります。
この化膿した状態は放置していても大丈夫なのでしょうか?
擦り傷が化膿すると、どんな症状が出てくるの?
化膿するとは、傷口に細菌が侵入してしまい、その細菌によって体内が細菌感染し、炎症を起こしてしまった事を意味します。感染してしまったために起こる症状を感染症と言い、その症状は、強い痛み、赤く腫れる、傷口が熱を持つ、の炎症症状です。
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これらの感染症の症状が出たうえで傷口に膿がある場合は、化膿と考えられるので抗生物質で治療しなくてはなりません。
皮膚は、表皮、真皮、皮下脂肪3層から出来ています。
細菌が表皮から入り、皮下脂肪組織まで到達し、感染を起こすのは「蜂窩織炎」と言い、感染巣が悪化すると周辺組織が壊死し、命の危険があります。真皮が細菌感染すると「丹毒」を起こし、高熱や赤い腫れが広がります。高齢者や免疫力の低い人は起こりやすいのです。
化膿は空気中のブドウ球菌や連鎖球菌によってたやすく起こってしまいます。傷を負ったら傷口を清潔に保持しなければなりません。
化膿した擦り傷をそのまま放置したらどうなるの?
皮膚の中が化膿した状態で傷口が閉じてしまったら、切開手術が必要になる場合があります。傷口が開いているうちに治療してしまわなければなりません。また、化膿した状態が長引くと、傷の治りも大幅に遅くなり、周辺部位に感染が広がる恐れがあります。
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全身が炎症を起こした状態を敗血症といい、血管に異常が起きて、栄養や酸素が循環しなくなり、それによって各臓器が正常に機能しなくなり、最後は死を迎えてしまうのです。
たやすく起きてしまう「化膿」ですが、あまく見てはいけません。命にかかわる重篤な状態を起こす可能性もあるのです。
化膿したらどうしたらいいの?
医療用語で言うと、「腫脹」「疼痛」「発赤」「局所熱感」の4つが化膿の症状となります。「腫脹」は傷口が腫れること。「疼痛」は傷口の痛み。「発赤」は傷周辺が赤くなること。
「局所熱感」は傷口周辺が熱を持つことです。このうち、ひとつでも症状がでたら、細菌感染しているとみなされ、膿がでることで「化膿」と言うわけです。
傷口がこのように化膿したときは、病院で処置してもらう事が一番です。症状が軽いと自然に治ってしまうこともありますが、傷口を見たときに、「膿んでるな・・どうしようかな」と考えるようなら病院に行った方が良いです。
抗生物質で細菌の増殖を抑えるわけですが、軟膏や飲み薬など、症状によって一番効き目がある薬を処方してくれます。また、思ったより深いところで感染がみられることもあり、傷周辺に注射や点滴をする場合もあります。
素人判断で市販の軟膏を塗り、治る範囲の化膿なら良いですが、悪化してしまうリスクもありますので十分な観察が必要です。
まとめ
傷口が膿んでしまう事は、多くの人が経験されていると思います。ほとんどの人が、命を落とすことなく化膿を乗り越えてきているでしょう。市販の抗生物質の軟膏を使った方もいると思いますが、オロナイン1本で乗り切った!なんて方も多いのではないでしょうか。
以前の治療は、傷跡のことなど考えていなかったのです。病院の先生でさえ「これは跡が残っちゃうかもしれないね」なんて普通に言っていたのです。
ところが、今は湿潤療法によって、傷治りも早く、傷跡もほとんど残さず、痛みも減少させた治療が主流になってきています。消毒液とガーゼを使った治療が化膿を生み、治りを遅らせていたことが証明されているからです。
化膿してしまってからでも湿潤療法に切り替えることは出来ます。そのさい、病院の先生が湿潤療法を理解しているか、推奨しているか、が問題です。先に電話で相談してみると良いかと思います。