擦り傷にグジュグジュの液体が出てきて化膿しているみたい。と心配される人がたくさんいます。そのグジュグジュは本当に化膿している状態でしょうか?
化膿とは、痛み、発熱、炎症を持つ状態です。そのままプールに入るのはやめておいた方がいいのでしょうか?詳しく解説してきます。
擦り傷が化膿するってどんな状態のこと?
傷口が血液以外の液体で濡れている=化膿。と勘違いをされている人が多くいます。では化膿するとはどんな状態のことを言うのでしょうか。
参考:擦り傷が化膿して膿んできたけど、このまま放置しても大丈夫?
まず、擦り傷ができて止血すると、黄色みがかった透明の液体がジワジワと出てきて、多い時は傷口から流れるほど出てきます。傷口がグジュグジュしているので、これを化膿したと思う人がたくさんいますが、これは大変な間違いです。
この液体は、浸出液と言って、自己治癒能力の集まった優秀な液体なのです。この中には、細菌の侵入を阻止する白血球や、血小板、皮膚を再生させる細胞などが詰まっているのです。
体内からこんなに優秀な消毒作用が出てきているのに、これを拭き取ってしまい、消毒薬をジョボジョボと吹きかけ、自ら治癒能力を死滅させているのです。
傷を負って数日たつと、今度は白っぽいとろりとしたものが傷を覆いはじめます。膿が出たから今度こそ化膿だ!と思ったら、これも間違いです。
この柔らかく、ぶよぶよした白いものは「かさぶた」になる前のフィブリンと言うものです。これが乾燥すると、かさぶたになってしまうので、洗い流してしまいましょう。かさぶたができると治りが遅れるばかりか、皮膚の再生を妨害し、それこそ化膿してしまいます。
今度は黄色や緑がかったネバネバの液体が出てきました。強烈な腐敗臭もします。これは膿です。この状態が細菌によって炎症が起きている「化膿」です。傷口に強い痛みが起こる、赤く腫れあがる、傷が熱を持つ、といった症状が起きます。
化膿しているけどプールに入って大丈夫?
この心配をしていると言う事は、「膿が出ているけどプールに入って大丈夫?」と言うことだと考えます。化膿の具合によりますが、強烈な痛みや、傷が真っ赤に大きく腫れるなる、などの症状があったら、プールに入る気持ちにならないと思うので、ひどい化膿ではないのでしょう。
参考:擦り傷が熱をもっているのは感染症?発熱もしてきたら対処法は?
膿が出ている状態なら、傷を守る防水フィルムを貼りましょう。湿潤療法でも使われるので、そのまま貼り換えて使うことができます。プールには塩素が入っていて、消毒作用があるので、傷に触れないようにしましょう。大切な浸出液も流れ出てしまうので、密着性の高いフィルムシートを使いましょう。
体力が落ちると、免疫力も下がります。化膿して発熱や痛みがあるのに無理にプールに入ったりしたら、傷の治りはさらに遅れ、悪化してしまいますよ。病院で抗生物質を処方してもらいましょう。
膿が出ている時に貼る防水フィルムってどんなもの?どうやって使うの?
消毒液を使って、ガーゼ治療をしているなら、この機会に湿潤療法に切り替えてはいかがでしょうか。自分の力で、自分の傷を治すので、薬のアレルギー反応の心配もありませんし、何より傷がキレイに早く治るのです。
まずはプールの前に、膿を水道水でキレイに洗い流してしまいましょう。そして、ガーゼやカット判ではなく、ハイドロコロイド系の絆創膏を貼ります。その時、水気をふくのは傷口以外のところだけです。傷口は拭き取ってはいけません。濡れた状態のまま貼ります。
ハイドロコロイド絆創膏はドラッグストアで売られています。キズパワーパッドが有名ですが、他にもたくさん出ていますので、傷の大きさに合わせて購入してください。
そして、その上から防水フィルムを貼ります。大きさに合わせてカットできるタイプのものがありますよ。今後のことを考えるとこちらのロールタイプがお勧めです。
- デルガード 防水フィルム
- ニチバン 防水フィルム
- オレンジケア 防水フィルム など
いずれも、500円前後で購入できます。
プールから出て、フィルムが剥がれていたり、剥がれそうなら、すぐに傷口を水道水で洗い流し、拭き取らずに、再びハイドロコロイド絆創膏を貼ります。そしてこの後、この上からガーゼを当てると浸出液がもれずに吸収できます。浸出液は傷を治そうと、どんどんと出てきます。
傷口には大変優秀な液体ですが、通常の皮膚には少々刺激が強く、流れたままにすると周囲がかぶれてしまう事もあるのです。そして、ガーゼの上から防水フィルムを貼っておくと、ずれ落ちることもなく安全です。
小さなお子さんの場合は、急に体力が落ちることがあるので、よく様子を観察しましょう。痛みや腫れが出てきたら、すぐに病院に行きましょう。
まとめ
傷が激しく化膿した時の行き先は、プールではなく病院です。抗生物質を使い細菌を死滅させます。感染症を起こし、ひどくなると命を脅かすことにつながる可能性もあるのです。甘くみてはいけません。
そして、膿が出たら、消毒液は使わず、水道水で洗い流しましょう。傷に直接当たらないように少し上から流すと良いですよ。
また、傷口は日焼けするとメラニンの活性により、色素沈着を起こし、思わぬ傷跡を残します。これらの防水フィルムはUVカットもしますので、より安全です。