喉の上が痛いとハッキリ自覚できるということは、喉の上の部分である上咽頭(じょういんとうえん)が炎症を起こしているか、後鼻漏(こうびろう)といって、喉と鼻の間にネバネバした鼻水が詰まることで痛みを発症しているという2種類の原因が考えられます。
どちらも痛くなる箇所が近いので混同しがちですが、それぞれ症状と原因が異なるので、初期の段階でしっかりと見極めて悪化させないことが大切。
今回は、上咽頭と後鼻漏の症状と原因について解説します。
目次
喉の上が痛い!その原因とは?
喉の上といっても、鼻と喉の間が痛むのか、喉の上側が痛むのかで原因が違ってきます。
喉の上の部分である上咽頭(じょういんとう)が炎症を起こしている場合は、喉を覆う常に湿っている膜である粘膜が乾いてしまい、ウイルスなどに対する抵抗力が弱くなっておこることが多いです。
これを、上咽頭炎(じょういんとうえん)と呼ぶのですが、原因は乾燥もありますが、疲労で免疫機能が低下することによるウイルス感染、アルコールや喫煙による喉への刺激、または排気ガスやハウスダストが原因となり喉の粘膜が炎症を起こして、痛みの原因を作っている場合もあります。
一方で、後鼻漏(こうびろう)の場合は、アレルギー性鼻炎や蓄膿症(ちくのうしょう)が原因となっている場合が多く、特に蓄膿症は副鼻腔(ふくびこう)という顔の内側にある非常に大きな空洞(合わせると顔面の3分2を占める8つある空洞の総称)に膿が溜まることが原因で、鼻詰まりや鼻水が止まらない、または頭痛や顔が圧迫されるなど様々な症状を引き起こします。
喉の上が痛い原因には上咽頭炎と後鼻漏の2つが考えられますので、まずは、それぞれの特徴を解説致します。
上咽頭炎の原因と症状とは
上咽頭炎は、喉の乾燥、喫煙、過度な飲酒、花粉症や風邪によって、喉を覆っている粘膜がダメージを受けて炎症を起こし、痛みを引き起こす原因となります。
お医者さんが風邪の診断で喉を見る際には、喉の下の部分を重点的にみますので、上の方が腫れていても気が付かずに、そのまま放置されて悪化してしまうケースもあるので注意が必要です。
鼻と喉の間の痛み、鼻水が出にくく黄色くネバネバした痰(たん)がからむ、耳が圧迫されるような痛みや耳鳴り、ひどい肩こり、めまいなど様々な症状がでます。
上咽頭は鼻の一番奥の、のどとの境目にあり、風邪の後や体調不良のときによく炎症を起こします。ここが悪くなると、上記の症状以外にも、頭が重い、肩凝 り、耳閉感、耳鳴り,めまいなど意外な症状も出やすいので、患者さんは症状のデパートみたいになることもあります。 どうもこの場所には自律神経系のツボがあるらしく(はっきり解明はされていませんが)、そのため多彩な症状が現れるといわれています。
引用元:高木耳鼻咽喉科医院/
よって、喉の上が痛いだけにとどまらず、上咽頭炎が悪化するとともに様々な症状が出てくるので初期段階での治療が大切ですが、上咽頭は病院の診断でも見逃されやすい部分なので、いつまでも改善が見られない場合には、他の病院で違う医師から再度診察を受けるセカンドオピニオンを利用することも考えましょう。
後鼻漏の原因と症状とは
後鼻漏を引き起こす原因の1つは、アレルギー性鼻炎で、花粉やウイルス、ハウスダストなどが呼吸を通じて入ってきた時に、白血球の一種であり体に害となる物質が入ってきた時に攻撃する「リンパ球」がそれらを排除しようと活発化し、大量に水分を出すので、鼻水の量が増えて鼻から排出できる量を超えてしまい副鼻腔に溜まってしまうことです。
そうなると、(後で詳しく説明しますが)蓄膿症に発展するので、さらに長期化し症状も悪化します。
アレルギー性鼻炎は、一度かかってしまうとなかなか治らない病気であり、症状としては粘り気のない水のような鼻水がたれる、発熱、くしゃみ、そして、鼻を勢い良くかむことによって頭痛を引き起こすこともあるので、非常にやっかいな病気ですね。
鼻と喉は繋がっているので、鼻水が喉に溜まって、痰(たん)やせきが止まらなくなる場合もあります。初期段階では風邪の症状と非常に似ているので、症状が悪化して初めて気づく場合が多いのも特徴です。
蓄膿症は副鼻腔という顔の空洞に鼻水が膿となって溜まっているので、症状はさらに深刻で顔が内側から圧迫されることにより、顔はもちろん目や鼻の周りにも痛みが走り、鼻水が常に出ているので呼吸が上手くいかず、酸素の供給が脳に十分にいかないことで頭痛や頭が重いという症状もでます。
鼻からニオイを嗅ぐことができないので、食べ物や飲み物の味がわからなくなることもあり、食欲不振になる他にもストレスで余計に体調が悪化し、完治するまでかなりの期間がかかってしまうのも特徴です。
喉の上が痛い場合に上咽頭炎か後鼻漏かを見極めるポイントは鼻水と痰
自分で診断するのは非常に難しいですが、1つの目安としては水っぽい鼻水が出る場合は「後鼻漏」。
ひどい肩こりやめまい、黄色く濃い痰が出るのが続くようなら「上咽頭炎」を疑ってみることができるでしょう。
しかし、どちらも早期発見が難しく、ただの風邪と診断されてしまうこともあるので、症状がひどい時には大学病院などで、徹底的に検査することをおすすめします。
特に、蓄膿症や上咽頭炎は症状が重く、日常の生活に支障が出る病気なので安易に市販のお薬で治療しようとせずに、病院で処方される薬を飲んで早い段階で治すことが大切です。
市販のお薬は、病院で処方される薬よりも効き目が弱く、また、自己診断で買った薬が病気の治療に適していない場合もあります。
医師の診断の元で薬を処方してもらうと、現在服用中の薬との飲み合わせまでアドバイスしてもらえるので、薬の副作用の心配がなく安全に服用することができますね。
症状を悪化させないようにする方法はビタミン摂取
喉の上が痛い原因は、上咽頭炎か後鼻漏ですが、どちらにせよ症状が出ているうちは悪化させないようにしましょう。どちらにも共通することとしては、体の免疫機能を下げるようなことはしないこと。
具体的には、暴飲暴食、飲酒を避けて、早めに就寝して生活リズムを整える他、緑黄色野菜や果物を多くとってビタミン類を積極的に摂取しましょう。
野菜をとる時には、断然生野菜がおすすめです。
何故かと言うと、コンビニ等で売られているすでにカットされている野菜は、食中毒を防止するために水で何度も洗われているので、水に溶けやすいビタミンが減ってしまっているからです。(ファミリーレストランなどで提供される野菜も、同様の場合が多いです)
レタスやキャベツ、りんご、トマトやバナナなど、調理することなく食べられる野菜や果物を生のまま食べることをおすすめします。
まとめ
喉の上が痛い場合には、なるべく早い段階で病院へ行き、”喉の上が痛い”と医師にしっかり伝えることで、上咽頭炎または後鼻漏だった場合、早めに発見して、悪化する前に治療を始めることが大切です。
そのためにも、普段から信頼できるかかりつけのドクターを持っておくと良いでしょう。
そうすれば、気になる症状が出た時に気軽に相談できますし、上咽頭炎のような見逃しやすい病気の場合も、遠慮することなく納得いくまで診察してもらうことができますね。