長時間の立ち仕事や、普通に生活していてもむくみなどが出やすい足ですが、ピンポイントで足の甲だけがかゆいという症状が出た場合には、重い病気の初期のサインであることもあるので特に注意が必要です。
足の裏は地面と常に接しているので、すぐに異変に気づくことができますが、足の甲は比較的見落としがちなので、症状が悪化しやすい部分となります。
今回は見落としがちな足の甲のかゆみの原因と、かゆい症状が出た場合の対処法について詳しく解説していきますね!
目次
足の甲がかゆい症状が出たら最初に疑うべき病気とは?
足の甲だけがかゆい場合、一番注意するべき病気は多形滲出性紅斑(たけいしんしゅつせいこうはん)です。
なぜなら、足の甲がかゆくなる原因は他にもありますが、この病気はそれらとは違い、他の臓器にまで広がる可能性があるため特に注意が必要となります。
多形滲出性紅斑は,軽症型と重症型に2大別されます.
軽症型では,特別な前駆症状もなく,主に四肢伸側に対称性に小紅斑が生じ,遠心性に拡大して輪状の紅斑になります.境界は明瞭で,辺縁はわずかに隆起し,中央部は退色して淡い色彩を呈します.新旧の皮疹は拡大・融合して多形性を示します.
重症型では,このような皮疹が躯幹や粘膜にも広範に発生し,発熱,頭痛,倦怠感,関節痛などの高度な全身症状を伴います.
引用元・はしもと小児科
重症化するのは稀とはいえ、症状が目に及ぶと失明のおそれもあるので、悪化する前に、病院でお医者さんの診察を受けておいた方がいいでしょう。
多形滲出性紅斑の症状の特徴
足の甲に赤いプツプツとした点や、盛り上がったやけどの様な湿疹ができることが、多形滲出性紅斑(たけいしんしゅつせいこうはん)の初期症状です。
多形滲出性紅斑の症状の特徴は”左右対称に”赤い湿疹出てくるということですが、自分で判断するのは難しい症状となります。
また、内蔵や他の臓器まで広がる病気であることの他に、治療する際に原因の特定が難しいので(ウイルスや細菌によるものから、薬などのアレルギーと幅が広い)、足の甲に赤い斑点ができた場合には、なるべく早めに病院で診察を受けておきましょう。
足の甲がかゆい他の原因と病気とは?
もちろん足の甲がかゆくなる原因は多形滲出性紅斑だけではなく、皮膚表面の病気によって起こるケースも多いです。
足は長い間、靴下や靴を履きっぱなしなので、蒸れやすく、かゆくなりやすい部分になりますね。
夏はもちろんですが、冬の間は防寒用の温かいブーツを履いて、ショッピングモールなど暖房の効いた場合に長時間いることで、汗をかきやすいですし、寒いと血流が悪くなるので新陳代謝(細胞が生まれ変わること)が遅くなり、足の甲の皮膚の細胞が細菌に侵されてトラブルを起こすケースもあります。
血液は心臓がポンプのように流して体全体を回って戻ってくるのですが、足は体の一番下にあるので重力の影響で降り後上がってくるのにかなりのエネルギーがいるのです。
そのため、血液が足で渋滞してしまうと体全体の血液の流れが悪くなり、栄養の運搬が上手く行かないので、細胞を修復することができず、免疫力が落ちて色々な悪影響が出てしまいます。
主に足がかゆい原因となるのが以下のものです。
- アレルギーによる皮膚疾患
- 静電気
- あせも
- 掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)
- むずむず脚症候群
アレルギーによる皮膚疾患
まず、アレルギーについてですが、靴の中は足の体温で暖かいので、汗や雨を吸い込んで湿った状態になると、細菌やウイルスにとっては居心地がいい格好の住み家となります。
皮脂や垢が溜まりやすく、エサが豊富にあるので繁殖するスピードが非常に早いのです。体調が悪くなり皮膚が弱っている時には、靴の中の細菌によって炎症を起こしやすくなります。
また、靴や靴下の素材や使われている塗料もかゆみを引き起こす原因の1つです。
靴の内側の繊維や塗料が汗や雨で濡れることにより、足に付着してアレルギーを起こすケースが実際にあり、これは接触性皮膚炎といって直接肌にアレルゲン(原因となる物質)が触れることによって起こるアレルギー症状で、靴や靴下は長時間肌に触れているので、少しの刺激であってもアレルギーの原因となりえます。
そして、足の甲だけにかゆいという症状が出やすいのは、足の裏は元々皮膚が厚く刺激に強いためですから、靴や靴下を変えた途端に足の甲がかゆくなったら、他のものに変えることも検討しましょう。
例えアレルギー症状が出なくても、細菌が繁殖するのを防ぐために、靴はよく乾かしてから履くようにし、靴下も生乾きのまま収納するのは避けて下さい。
静電気
特に化学繊維で作られた靴下や靴は、静電気が発生しやすいので注意が必要です。
化学繊維(ナイロン、ポリエステルなど)でできた靴下で内側が化学繊維のスニーカーを履くと、摩擦が起きて静電気が発生し、体に溜まってしまうことがあります。
化学繊維と化学繊維が擦れ合うことで、静電気が発生するので、衣服ほどではないですが、靴や靴下も特に空気が乾燥している時には気をつけなければなりません。
静電気が体内に溜まると、それだけでムズムズとかゆくなりますし、場合によっては気持ち悪くなることもあります。
さらに、金属に触れることで勢い良く静電気が体内から放出されると、電気の流れた場所の皮膚に傷がつき、肌荒れの原因となりますので、靴下を触ってパチパチと音が聞こえたら要注意です。
軽く水で湿らせることで静電気を逃がすこともできますが、靴下の場合は難しいでしょうから、静電気防止用のスプレーを吹きかけるといいでしょう。
あせも
小さな赤い点のような湿疹ができてかゆい症状が出るのが特徴で、汗を肌の外に排出できず、汗が分泌される腺である汗管(かんかん)中に残ってしまい、内部で炎症を起こしてしまうのが原因です。
あせもができるのは、大量に汗をかいたときに、汗が皮膚の中にたまってしまうことが原因です。
汗は、汗管(かんかん)という管状の腺から分泌される体液です。汗腺があるのは皮膚の真皮の奥深く。そこから汗管という汗の通路が伸び、体の表面のある汗孔と呼ばれる出口に通じています。
たまった汗は、皮膚の下にある汗管の周りの組織に漏れ出し、水ぶくれが生じたり、炎症を起こして、かゆみを伴う赤いブツブツができたりします。
引用元・田辺三菱製薬
暑い中靴を長時間履いていると、汗が蒸発せずに内側がサウナのような状態になってしまいます。夏場はなるべく通気性のいい靴を選んで履くようにしましょう。
また、冬も防寒性の高い靴を履いて暖房の効いた店内に入ると、靴の中が蒸れやすいので、可能なら時々靴を脱いで熱を逃がし、長時間オフィスで仕事をされるなら、室内では通気性のいい靴に履き替えることであせもができるのを予防することができます。
掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)
これは、膿疱(のうほう)という皮膚の湿疹が沢山できて、さらに、定期的に再発を繰り返すというものです。
掌蹠膿疱症はウミが溜まった膿疱と呼ばれる皮疹が手のひら(手掌)や足の裏(足蹠)に数多くみられる病気で、周期的に良くなったり、悪くなったりを繰り返します。
ときに、足と手のほかにスネや膝にも皮疹が出ることがあります。皮疹は小さな水ぶくれ(水疱)が生じ、次第に膿疱に変化します。その後、かさぶた (痂皮)となり、角層(皮膚の最表層にある薄い層)がはげ落ちます。
引用元・公益社団法人日本皮膚科学会
現在でもハッキリとした原因はわかっておらず、治療も細菌が原因ではないため、ステロイド剤で症状を抑えるという対処法しかないで厄介な疾患ですが、過度なストレスが原因で発症することもあるため、ストレスを上手く発散し、免疫力を低下させないように体調管理をしっかりすることが予防のカギとなります。
むずむず脚症候群
足に不快感が常にあり、原因のよく分からないむずむずした感覚に襲われるのがこの病気の特徴です。
精神的なストレスからくる自律神経(脳や臓器の働きをコントロールする神経)の乱れが原因となっている場合が多く、表面的には何の異常も見つけられないので、診断が難しい病気となります。
むずむず脚症候群が発症する具体的なメカニズムはまだわかっていませんが、貧血や腎不全(腎臓の機能低下)原因の場合もありますので、そのまま放置せず、きちんと医師の診察を受けることが大切です。
そして、自律神経失調症(自律神経の乱れ)と貧血の症状は非常に似ていますが、治療法が異なるためお医者さんの診断を早めに受けることが重要となります。
貧血は立ちくらみやめまいがする普通の貧血と、体が起きている場合のみ低血圧になり、長時間立っていると突然倒れてしまう脳貧血という、通常の診察では見つけにくい危険なものもありますし、体が振るえて立っていることが困難になるパーキンソン病や、関節や筋肉に痛み走るリウマチの初期症状である可能性もあるので、早期に診察を受けて下さい。
足の甲がかゆくなるのを予防する方法
足の甲がかゆいという症状には、重大な病気の初期段階を知らせるサインも含まれていますので、それを見逃さないためにも、皮膚の疾患でかゆくならないように、靴や靴下は常に清潔にしておき、蒸れにくい対策をしておくことは大変重要となります。
また、靴のサイズも大切で、大きすぎると擦れて皮膚に傷がついてしまいますし、小さいと足を圧迫して血液が回らなくなり、細菌やウイルスに対して免疫力が低下してしまうので、自分の足にあったサイズの靴を履くことも大切です。
そして、長時間同じ姿勢でいることでも血液の流れが悪くなるので、オフィスワークなどで座っていることが多い場合には、休憩時間に足のふくらはぎをもんでマッサージするか、大きく背伸びをすることで血流がよくなりますので、意識してやってみましょう。
まとめ
足の甲にかゆみの症状が出たら、重大な病気の初期症状である可能性も考えて、少しでもおかしい時にはお医者さんの診察を受けることが大切です。
靴のサイズは自分にあったものを選び、毎日清潔にしておくことで、皮膚に加わるダメージを大幅に減らすことができる他、同じ姿勢でいることが多い場合には、時々ストレッチをすることも血液の流れを良くして、免疫力を高めるのに効果的なので意識してやってみましょう。