最近、“大人の喘息”よく耳にしませんか?大人になって喘息を発症する方は、30年で3倍にも増えているそうです。
そんな中「喘息だけど喫煙者」という方、結構多いようです。しかし、健康な人にも害をもたらすタバコなので、喘息とタバコの相性は悪そうですよね。
喘息とタバコの危険な関係について詳しくまとめました。
目次
百害あって一利なし!喘息とタバコの関係
愛煙家の方には申し訳ありませんが、喘息の方のタバコは百害あって一利なしです。
喘息の方はタバコを吸うことでその症状を悪化させる恐れがあります。また、せっかく喘息の治療をしていても、タバコにより治療の効果が得られにくくなってしまいます。
そして、忘れてはいけないのが自分だけでなく周囲の人への影響です。
そもそも喘息って?
激しい咳や息苦しさとなど喘息のつらい症状は、多くの人がご存じだと思いますが、喘息とはいったいどのような病気なのでしょうか。
喘息とは
なかなか止まらない激しい咳、呼吸のたびにゼーゼー、ヒューヒューとなる喉、激しい息苦しさ。
このような喘息発作は、空気の通り道である気道の粘膜がちょっとした刺激に反応し、気道が狭くなることで起こります。そのため、息を吸ったり吐いたりが十分に行えず呼吸困難に陥ります。
喘息の方の気道は、この発作が収まっても慢性的な炎症状態にあります。
喘息の原因
喘息の原因はアレルギー性であることが多いのですが、3分の1はアレルギーとは無関係に、かぜやストレス、排気ガスやタバコの煙などがきっかけで発症すると考えられています。
喘息でタバコを吸うとどうなるの?
タバコの有害性について
タバコの影響についてお話しする前に、タバコの有害性について触れておきましょう。喘息でなくでもタバコは一般的に有害だと言われていますよね。
実は、タバコの煙にはニコチンやタールを筆頭に4000種類以上の化学物質が含まれています。そのうち発がん物質は60種類になります。言うまでもなく健康に悪そうですね。
実際に、喫煙によって肺がんや慢性呼吸器疾患などの病気になりうることが証明されています。それでは、喘息の方がタバコを吸うと、どのような影響があるのでしょうか?
喘息症状を悪化させる
刺激に対して気道を収縮させる性質を起動過敏性と言いますが、タバコはこの気道過敏性を亢進させます。
過敏になってしまうことで喘息症状が起こりやすくなり、タバコは肺の機能を低下させるので、喘息の方がタバコを吸うと喘息の症状は重くなってします。
合併症のリスク
タバコは、肺がんや慢性閉塞性肺疾患(肺気腫や慢性気管支炎)の原因となります。
喘息の方がこのような病気を併発すると、これらの病気のいっそうの重症化や死亡リスクの増加を招くと言われています。
喘息の方にとっては健常者以上に、喫煙が重要な意味を持つといえるでしょう。
治療効果を弱める
タバコが喘息発作を引き起こし、発作を繰り返すたびに症状が重くなると、薬の使用量の増加につながります。
また、喘息の薬として吸引ステロイド剤が一般的に使われますが、喫煙がこのステロイド薬の効果を抑制してしまうため、さらにステロイドの使用量が増えることにつながります。
症状を悪化させるうえに、治療効果も弱めてしまうとは、喘息とタバコの組み合わせが最悪であることは疑問の余地なしと言えるでしょう。
意外と多い!?喘息持ちのタバコ喫煙者
タバコの有害性がしばしば話題になる日本では、喫煙率は年々減少しています。
しかし、一方で、日本の喘息患者の喫煙率は29%と、諸外国に比べても高いようです。タバコは喘息を悪化させてつらいはずなのに、意外と多いですね。
実は、喘息喫煙者の中には、タバコを吸ったら発作が治まるという人や吸っても何ともないという人が案外たくさんいます。そういう人は吸っても大丈夫なのでしょうか?
答えは、もちろんNoです。では、なぜ吸っても平気なのでしょうか?
ストレスが軽減したため?
発作が治まる原因として考えられるのが、ストレスの軽減です。たくさんの有害物質が含まれるタバコは、何のメリットもないように思われますが、吸うとストレスがやわらぐと感じる人が多いのも事実です。
喘息発作を引き起こす原因はアレルゲンの他にも、ストレスなど精神的なものも大きく関係します。
もしストレスで発作が起きやすいタイプの人だった場合、タバコによりストレスが解消されたために、発作が落ち着いたということが考えられます。
「吸っても平気」でもタバコは危険
症状の悪化がみられなくても、合併症を起こした場合のリスクや、喘息治療への影響は変わりませんよね。
また、「自分は吸っても平気だから」と軽視してタバコを続けていると、肺がんの発症にもつながりかねません。
肺がんと喘息の二重苦といった事態を避けるためにも、症状がなくても、やはり禁煙するのがベストでしょう。
自分だけじゃない、周りへの影響
タバコの影響は自分だけではありません。家族や友人に喘息の方はいませんか?
タバコを吸うとき、周りに喘息の方がいれば、その人の症状を悪化させてしまうかもしれません。
危険な副流煙
喫煙者が直接吸い込む煙を主流煙、タバコの火の部分から出ている煙を副流煙といいます。タバコを吸わない人でも、近くに喫煙者がいると、この副流煙を吸ってしまいます。タバコの吸い口には、フィルターが付いていて喫煙者が吸う主流煙は多少毒が少なくなります。
しかし、副流煙はそのまま吸い込むので主流煙の何倍もの毒が入っているのです。この副流煙で、喘息が悪化してしまう人もたくさんいます。特にこどもは影響を受けやすいので注意が必要です。
家族や周りに喘息の方がいる場合は、禁煙をおすすめします。
どうやって禁煙したらいいの?
愛煙家の方にとって、禁煙はなかなか難しいもの。
禁煙を考えている方へ代表的な禁煙方法についてご紹介します。
タバコの代わりになるものを利用する
タバコを吸う代わりに嗜好品を利用することで禁煙するという方法です。
代用品の代表は、お茶、飴やガム、ハーブ類などです。
禁煙グッズの使用
禁煙のために作られた専用アイテムを利用するという方法もあります。
ハーブシガレット(ハーブ類をタバコのように紙に巻いて吸うもの)、電子タバコ、ニコチンパッチなどがあります。
禁煙外来に行く
禁煙外来を受診し専門家の指導を受ける方法です。喫煙をニコチン依存症という病気の一種として、禁煙は医療行為の一種としてみなされるようになりました。
幅広いケースで保険適応されるようになり、禁煙成功率も非常に高いと言われています。
そのほかにも、たくさんの禁煙法があります。自分に合ったものを選択し負担を少なくしながら禁煙を進めることが成功につながります。
まとめ
喘息の方のタバコは、まさに「百害あって一利なし」。たくさんのリスクがあるということが分かりました。また、タバコを吸うことは、家族や友人そして周囲の方への影響があることも忘れてはいけません。喘息だけどタバコを吸っている方にとって、禁煙が重要なのは言うまでもありませんよね。
しかし、タバコが生活の一部になっている方にとって、禁煙はたいへん苦しいものでしょう。
吸えないストレスも喘息にとってはよくありません。これから禁煙を考えている方は、ニコチンパッチや電子タバコなどの禁煙グッズ、病院の禁煙外来などを利用し無理なく始めてみてはいかがでしょうか。