みなさん、今年の夏は、蚊に刺されましたか?夏になると、蚊に刺されるのは当たりまえのことですよね。
「こんな人は蚊に刺されやすい」
なんて迷信のようなものはあるものの、蚊アレルギーというのは聞くことがないか、あったとしても少ないですよね。正式には、蚊刺過敏症(ぶんしかびんしょう)と言います。誰も話さないこの蚊アレルギーは、一体どんなものなのでしょうか?!
目次
蚊アレルギーの症状とは?!
蚊が人の血を吸うときに、蚊の唾液が人体に送り込まれます。この唾液には、刺したとき人が痛みを感じさせないようにする、麻酔作用が含まれているんです。
そのおかげか、あまり刺されて痛みを感じず、気づいたときにかゆくなっていた!なんてことがほとんどですよね。このように、蚊に刺されて赤みやかゆみが出るのは、蚊の唾液(唾液腺物質といいます)に対して起こるアレルギー反応のひとつです。
このアレルギー反応にも、二つの型があります。まずはそこから、お話ししますよ!
即時型反応
これは、その名の通り、刺された後、すぐ(15分くらいあと)にかゆくなってくるものです。皮膚が、赤くぷっくり腫れます。
夏場に経験する虫刺されは、だいたいこのパターンではないでしょうか?個人によって差はありますが、3歳~60歳くらいの人に起こることが多いと言われています。
遅延型反応
この型は、蚊に刺されてから症状が出るまで、1~2日ほど時間がかかります。刺されたときは何もないのに、時間が経って突然!赤みが出てくるんですね。
これも個人差はありますが、0歳~25歳の人に起こりやすいと言われています。ここまでは、夏には誰もが経験する虫刺されです。しかし、いま知ってほしい本当の蚊アレルギーのお話は、ここからですよ!
穴が開く?!
蚊に刺されて、しばらくして刺されたところを見ると少しあとがついている、ということはありませんでしたか?
ここまではよくあることですが、蚊アレルギーの症状として、刺された痕のまわりに、数センチほど皮膚が沈み、穴のような形状になることがあるんです!
症状がひどいと、発熱したり、リンパ節が腫れたり、肝機能に障害が出たり、全身に症状が広がることがあると言われています。これが、普通の虫刺されと、蚊アレルギーの違いなのです。
蚊アレルギーと虫刺されの見分け方は?
「熱やだるさが出たら、蚊刺過敏症。それ以外は虫刺されね!」
と安心してしまっていませんか?判断は、そう簡単ではないんです。
ブヨという虫をしっていますか?人間などの哺乳類から血を吸う、ハエの一種です。ブヨに刺された場合も、刺されたところが沈んで、えぐれたように見えるんですよ。
実はブヨは刺すのではなく、皮膚をかみちぎっていく(実際にえぐれているんです)ので、それだけ痛みもかゆみも強くなります。ブヨに刺されたあとに、細菌感染を起こすと、発熱やだるさが出て、蚊アレルギーと似た症状が出ることがあります。
ダニに刺された場合も、同様のことが起こる可能性があるんです!
ということは、素人には判断が難しそうですよね!心配なときは、病院で診てもらうのが一番です!
どうして蚊アレルギーになるの?
先ほど紹介した蚊アレルギーによる症状。穴が開いて、全身に症状が出るなんて、怖いですよね。
そもそも、どうして蚊アレルギーが起こるのでしょう?怖い蚊アレルギーの原因に迫ります!
蚊アレルギーはアレルギーではない?!
「ウイルスに感染することで起こるんです」
と聞いた時点で、分かった人もいるかもしれませんが、蚊アレルギーはアレルギーではありません。
アレルギーという名がついていますが、本当は感染症なんです!
ウイルス感染
実は、蚊アレルギーはEBウイルスというウイルスに感染することで起こるんです。
「ウイルス感染だなんて!病気になるんじゃないの?!」
なんて心配の声が聞こえてきそうですね。でも、ウイルス感染というと大げさに聞こえますが、めずらしいものではありません。
日本では成人するまでにほとんどの人が感染しているんですよ。
蚊アレルギーの症状を起こすEBウイルスは、一度感染すると、私たちの体の中のB細胞(リンパ球のひとつです)に潜伏して、唾液の中などに排出されます。ということは、誰かと同じ箸(はし)を使うなど、簡単なことで感染してしまうんです。
通常はB細胞に感染しますが、これがT細胞という細胞に感染してしまった場合、細胞の中で増殖して、リンパが腫れたり、熱が出たりする慢性活動性EBウイルス感染症になってしまいます。
「蚊アレルギーとは、EBウイルスに感染した人の中でも起こるのはめずらしく、重い症状が出るのは、極めてまれではないのか」
とする説がありますが、実際のところ、まだはっきりわかっていないのです。
蚊に刺されやすい人とは?!
蚊アレルギーにかかるか、かからないかは別としても、蚊に刺されるのは好ましいことではありませんよね。
そこで、蚊に刺されやすいと言える人の特徴を考えてみましょう。
暗い色の服をよく着る
蚊が飛び回るために、嗅覚(きゅうかく)が発達していますが、目が見えないわけではありません。研究によって、蚊は服装の違いを認識できる、ということが分かっているんですよ!
特に、暗い色の服は、まわりの景色になじまず、浮き出て見えるので、蚊にとっては狙いやすいようです。服装でいえば、露出を控えるのも効果的です。
汗かき、体臭が強い
蚊の嗅覚が発達している、と先ほどお話ししましたよね。優れた嗅覚で、汗のにおいや大衆に引き寄せられて飛んでいくことが多いんですよ!
また、肌の表面に存在するバクテリアが、蚊を寄せ付けるという研究結果もあります。汗をかいたらこまめに浮いたり、デオドラントスプレーを使ったりして、対策するのが良さそうですね。
体温が高い
蚊が血を吸うのは、栄養を得るため。蚊は、体温が高い獲物の血液の方が、栄養価が高いと考えているようなのです!それで、体温が高いと蚊をひき良やすくなってしまいます。
体温が普段から高い場合に、すぐに体温を下げることはできませんよね。虫よけスプレーなどで、対策するようにすると良いでしょう。
生まれたばかりの赤ちゃんや、妊婦さんは体温が高い傾向があるので、特に気をつけたいですね。
いかがでしょうか。心あたりがあったら、夏場は明るい色の服を着たり、スプレーで予防するなど徹底しましょう!
参考:卵アレルギーなのに気付かず食べた!どんな症状が出る?対処法まとめ
まとめ
単なる虫刺されとは違って、蚊アレルギーは、発症してしまうと怖いものであることはお分かりいただけたでしょうか。
蚊アレルギーから発展する慢性活動性EBウイルス感染症は、とてもめずらしい症状で、発症自体が確認される人が全体の3割ほどしかいません。医師にとっても、一生診ることのない症状であると言えるのです。
蚊アレルギーの症状がずっと続けば、仕事や勉強など、日常生活に影響が出ることも考えられますよね。楽しい夏休みも、台無しになってしまうかも…。
そのような事態を防ぐためにも、「どうやって虫刺されを予防すれば良かったかな」「蚊アレルギーの原因は何だったかな?」と、理解しておくことが大切です。外出するときは、虫刺されの対策を念入りに行うようにしましょうね。
しかし、そんなに気に悩む必要はありません。ほとんどの場合が、普通の虫刺されなんですから!
「虫に刺されたから、念のため病院でかゆみ止めをもらっておこう」
のような気楽な気持ちで、受診しておくだけでも安心ですよ!そして、思いっきり楽しんで生活しましょう。
参考:皮膚科で自分が何のアレルギー持ちか検査しよう!その方法や手順は?