おたふく風邪は正式には「流行性耳下腺炎」というウイルス性の病気です。
ムンプスウイルスという菌に感染することで症状が現れるのですが、耳の下が腫れるのが特徴的で、熱が出ることもあります。
おたふく風邪は大人がかかることもありますが患者数でいうと4歳から6歳くらいの子供のかかる確率が高い病気なので、もし子供がおたふく風邪にかかったら、学校はどのくらい休む必要があるのでしょうか。
今回はおたふく風邪の症状や対処法などから通学、通勤についての知識までご紹介します。
目次
おたふく風邪に感染したら学校は出席停止
おたふく風邪にかかると症状が出ておたふく風邪だと診断された場合、学校や会社に行くことはできません。
おたふく風邪は感染する流行性の病気なので他の人にうつって広がってしまうのを防ぐためです。もし、かかってしまった場合は自分のためだけでなく他の人のためにも家で安静にしておきましょう。
おたふく風邪のときに学校や会社に行ってはいけない理由
おたふく風邪は学校保険法に定められている出席停止が求められる伝染病の一つとしてあげられています。
おたふく風邪の他にもインフルエンザ、百日咳、麻疹などの病気があってそれぞれ定められた日数は出席できません。これは学校だけでなく会社でも同様です。
おたふく風邪の場合は2012年までは耳の下の腫れが完全になくなるまで出席停止が求められていました。現在は症状が出始めてから5日経過したことが条件となっています。
耳の下の腫れがひくまでだと最大で2週間程度かかってしまうことと、症状が出始めて5日すれば感染力がなくなることが理由です。
一方でおたふく風邪特有の症状である耳の下の腫れがひどいときにはまだ感染力があることが考えられるので病院で診断してもらう必要があります。
学校や仕事に行くまでにすること
おたふく風邪の場合は病院で診断を受ける必要があります。
出席停止なので無断欠席やただの風邪ではないということの証明でもあり、提出しなければなりません。
おたふく風邪だと診断された場合には学校や会社にはその時点で行くことができなくなります。
手続きについては、学校や会社によって指定される書類は異なる場合があるので、まずは自分や子供が通っている学校、会社に問い合わせてみるのがいいでしょう。その後、病院に行って医師に診断書を書いてもらいます。
その後は家で安静にしてなるべく人との接触を避けるようにしましょう。おたふく風邪の症状が出ているうちは感染する危険性があります。熱があるときには水分補給を欠かさず、脱水症状に気をつけてください。
腫れが引くまでの期間はどれくらい?
おたふく風邪の最大の特徴でもある耳の下の腫れは症状が出始めてから1週間から2週間ほどでなくなります。
あまりにも長引いているときには別の病気の可能性があるので再度病院で診察を受けるようにしましょう。以前は腫れがひくまで出席停止でしたが、今は5日経てば出席しても良いとされています。
子供の場合は特に症状が軽く、腫れがあっても熱などがなく元気な子も多いです。ですが、5日経たないうちはまだ感染力があるので注意しましょう。
腫れの痛みがひどいときの対処法
腫れの痛みがひどい場合やかなり腫れ上がってしまったという場合には患部を保冷剤や濡れたタオルなどで冷やすと痛みが治まります。
お風呂に入ると体が温まって痛むことがあるので濡れたタオルで体を拭くなどがオススメです。
腫れてしまって食べ物が食べられない場合はスープやプリンなどのあまり噛まなくても良い食品を選んで食べましょう。
おたふく風邪のときの対処法
おたふく風邪の場合、耳の下が腫れること以外は熱や吐き気、頭痛など一般的な風邪の症状に似ています。
病院に行っても、おたふく風邪を治す根本的な治療法はないので症状を抑えるための対症療法を行うのが一般的です。熱が高いときには解熱剤や鎮痛剤を処方してもらいます。
その後はなるべく安静にして、ゆっくりと体を休めるのが一番です。熱があるときにはスポーツドリンクなどを飲んで水分補給を欠かさないようにしましょう。
おたふく風邪の感染経路に要注意!
おたふく風邪はウイルスが原因になって引き起こされる病気です。ウイルスは人から人へとうつっていくものなので、おたふく風邪もうつります。
なるべく人からおたふく風邪のウイルスをもらわないように、また自分がおたふく風邪になったら他の人にうつさないように感染経路について知っておきましょう。
おたふく風邪の感染経路
おたふく風邪を引き起こすのはムンプスウイルスという細菌です。
このウイルスは5世紀ごろにヒポクラテスが書物に記載しているのが最初と言われているほど昔からあるもので、耳の痛みや腫れなどの症状が書かれています。
おたふく風邪の正式名称は「流行性耳下腺炎」で、ムンプスウイルスが原因となっていますが、このウイルスの他にもコクサッキーウイルスやパラインフルエンザウイルスなどの細菌は耳の下の腫れを症状として引き起こすのでおたふく風邪と間違えることがあります。
それらの他のウイルスだと症状はおたふく風邪よりも長引きますが、おたふく風邪の場合は1週間ほどで腫れがひくのが目安です。
ムンプスウイルスは飛沫感染と接触感染をしますが、飛沫感染とは病原体を含む分泌物を吸い込むことで引き起こされます。
例えば、くしゃみや咳などが一般的です。接触感染は皮膚や粘膜、手すりなどを介してウイルスが感染することを指します。エレベーターのボタンやタオルの使い回しなどでも感染するので注意が必要です。
集団生活を送っている場合全ての感染経路を閉ざすことは難しく、おたふく風邪がすぐに流行してしまうのもそれが原因の一つとなっています。
おたふく風邪の潜伏期間
おたふく風邪はウイルスが体の中に入ってから症状が出始めるまで2週間ほどの潜伏期間があります。
平均すると18日ほどと言われていてインフルエンザが2日ほどなのに比べるとだいぶ長い潜伏期間があることが特徴です。
潜伏期間中も感染力があるので知らない間に他の人へウイルスをうつしていることもあります。
感染力が高まるのは症状が発生する5日前ほどでその後症状が現れて5日ほどで感染力が落ち着くのが一般的です。
症状も1歳未満の子供の場合は軽いことが多く、気づかないこともあります。機嫌が悪い日が続いている時や食欲が落ちているときには病院に連れて行っておくと安心です。
おたふく風邪が完治するのはどれくらいかかる?
おたふく風邪が完治するまでにはどのくらいの期間がかかるのでしょうか。
おたふく風邪になってしまってからあわてないように目安も知っておきましょう。
もしこれよりも長く症状が続く場合には別の病気の可能性もあります。
子供のおたふく風邪
子供のおたふく風邪は軽症で済むことが多いです。だいたい1週間ほどで腫れがひいて熱などの症状も治まります。
感染すると、潜伏期間である2週間が経過する頃に、耳の下の違和感が現れて、症状が出ている間は耳の下の違和感や痛み、歯痛などがあって、頭痛や発熱なども引き起こされます。
熱は2,3日で治ることがほとんどです。耳の下が腫れている時はそのせいで食べ物が飲み込みづらくなるので、食べ物を上手に食べられないことがあるようならば病院に行って診断してもらうといいでしょう。
子供の場合は親が看病することになりますが、看病している間に家族に感染することが多いので注意しましょう。
兄弟がいるときにはなるべく離して感染しないようにする必要があります。おたふく風邪の子がいる間は他の兄弟の友達なども家に呼ばないようにして感染を広げないことが大切です。
大人のおたふく風邪
大人の場合も子供と同様の症状が現れます。耳の下の腫れや発熱などが主な症状です。おたふく風邪だと診断されたら会社は休むことが義務付けられています。
おたふく風邪にかかってしまった場合には、会社に相談して診断書を作ってもらいましょう。症状は1週間程度で治まるのが一般的ですが、子供の場合よりも大人の方が重症化しやすい傾向があります。
重症化すると熱が3日以上続く、激しい頭痛や嘔吐、けいれんが引き起こされることもあります。
難聴などの後遺症を残すこともまれにあるので子供のおたふく風邪以上に注意が必要です。
重症化した場合のおたふく風邪
おたふく風邪が重症化すると、40度以上の高熱が続くことがあります。
大人になってからだと男性の場合は20パーセントから30パーセントほどの確率で睾丸炎を発症します。
女性の場合は卵巣炎になる危険性がありますが男性に比べるとその確率は7パーセント程度と低めです。炎症が現れると吐き気やおりものの増加などがサインとなります。
妊娠初期におたふく風邪になると流産の危険性も高まるので気をつけましょう。事前に予防接種を打っておくのもいいでしょう。
さらにおたふく風邪が悪化すると骨髄炎、心筋炎、難聴などの病気を発症することもあります。
おたふく風邪くらいと放っておくと取り返しのつかない後遺症が残ることもまれですがあるので、注意してください。
まとめ
おたふく風邪は昔から地域的な流行を繰り返している感染病です。
症状は風邪とよく似ていますが、耳の下が腫れるのが大きな特徴となっています。子供の場合はそれほど症状が重くならずに1週間ほどで治るのが一般的です。
大人になってからかかると重症化することもあります。高熱が長く続いたり、難聴などの後遺症が残ったりする危険性もあるので、他の人にうつさないように注意しましょう。
基本的におたふく風邪だと診断されたら症状が発生してから5日間は会社や学校を休む必要があります。
法律で決められているので無理をせず、自分のためにも他の人のためにも家で安静にしておくのが一番です。おたふく風邪を周りに広げずに治すことができるように注意して過ごすようにくださいね。