首の後ろを触ると突然こりこりとした感触があると、「もしかして何か病気?」と不安になりますよね。更に痛みなんか出始めると、その辛さも相まってどうして良いかと思う事でしょう。
首のしこりは良性か悪性の違いがあり、良性の物で言うと皮下組織に脂肪が溜まってしまいしこりになってしまった物、リンパが腫れてしまっている物、耳下腺の腫れがあります。悪性になると、悪性リンパ腫…つまり、リンパ系組織の癌であると診断されます。
悪性リンパ腫であった場合、指で触って刺激を与えると更に癌の動きを活性化させて、広がるスピードを速めてしまいます。首にしこりが出来たら、気になるのは分かりますがなるべく触らない様にしておきましょう。
そのしこりが何なのか?をわかりやすく解説していきますね。
目次
首の後ろのしこりは悪性リンパ腫の可能性が!
特に心配な悪性腫瘍であった場合、どんな自覚症状があるのでしょうか。厄介な事に悪性リンパ腫の場合痛みは殆ど感じません。
そして、悪性リンパ腫は周りに癒着する特性を持っているので、しこりがはっきりとして来ると触っても動かなくなります。また、他の臓器に発生した悪性腫瘍が転移をして首のしこりになった場合、最初から痛みもなくしこりも触っても動く事はありません。
また、初期症状として寝汗を大量にかく、原因不明の微熱が続く、体重が理由無く減少してしまうなどです。この症状が見られたらなるべく早めに病院へと行きましょう。素人判断ではしこりが良性か悪性かを判断するのは難しいです。
意外と高い生存率
もしも悪性リンパ腫であっても、絶望する必要はありません。悪性リンパ腫の場合、他の癌よりも生存率が高い事で有名でもあります。がんは五年生存率を見るのですが、
- 0期(ほとんど無症状で、リンパ以外のがんの転移なし)…生存率:90%以上
- Ⅰ期(軽度の症状が見られ、肉体労働など体に負担をかける行為は制限を受ける。他の臓器に転移なし)…生存率:90%
- Ⅱ期(日中の半分は起きて活動が出来、身の回りの事も基本的には出来るが介助が必要な場面もある。脇のリンパに転移が見られる。)…生存率:80%~90%
- Ⅲ期(日中の半分以上を寝て過ごすようになり、介助が必要な場面が多くなる。脇のリンパと太腿のリンパに転移が見られる)…生存率:50%~90%
- Ⅳ期(ほとんど寝たきりで、常に介助が必要となる。全身の臓器やリンパに転移している)…生存率:40%~65%
他の癌よりもかなり生存率が良いのが分かりますね。上記のはホジキンリンパ腫と言われるもので、対して非ホジキリンパ腫と呼ばれる方は、
- Ⅰ、Ⅱ期の生存率…70%~90%
- Ⅲ、Ⅳ期の生存率…50%~70%
上記の生存率になります。多少ホジキンリンパ腫よりも生存率は落ちますが、他の癌の生存率に比べるとかなり高い事が分かります。ですからもしも罹ってしまっても、希望を持って治療を受けるようにしましょう。
治療方法は?
悪性リンパ腫であった場合、リンパ球が癌に変換する病気ですから、他の臓器に出来た癌のように切除手術は出来ません。そこで、
- 抗がん剤治療を含む化学療法
- 放射線療法
が選択されます。抗がん剤は最近では随分と副作用も抑えられるように改善されているので、不安に思う必要はありませんよ。
首の後ろのしこりがリンパ節炎の場合
これがよく悪性リンパ腫と間違えられる症状ですが、小さい物であれば殆ど問題ではありません。悪性リンパ腫との違いは、
- 悪性リンパ腫と違い、触るとすぐに動く
- 腫瘍の表面がつるつるしている
- 痛みを伴う場合が多い
以上が挙げられます。また、原因も様々あるのですが、細菌が入り込んで炎症を起こしてしまった場合や、慢性的に炎症を起こしてしまうリンパ節結核という症状もあります。
しかし、いずれにしても命に関わるような病気ではなく、細菌の場合はすぐに細菌を殺す薬を投与してもらい、治す事が出来ます。リンパ節結核となると、咽頭炎や扁桃腺によって引き起こされるので、まずはその治療から始めて完治を目指します。
首の後ろのしこりが甲状腺腫瘍の場合
これも原因の分からない腫瘍の一つです。厄介な事に痛みも殆ど伴わない為に気付く人は非常に少なく、たまたま風邪などで診察を受けたお医者さんが見付けてくれるとラッキーだという程に分かりにくい腫瘍です。
治療方法に関しても、悪性の腫瘍であった場合、薬での治療は現代の医療では不可能です。
手術で切除するか、抗がん剤を使用するか、放射線治療をするか病気の進行に合わせて判断する事が大切です。
首の後ろのしこりが耳下腺腫瘍の場合
では、次に悪性リンパ腫以外の可能性を見ていきます。
まずは耳下腺腫瘍ですが、厄介な事にこの腫瘍が出来る原因は現在明かされていません。良性か悪性かは症状が違いますので、一度意識して確認してみてください。
良性の場合
- しこり以外の自覚症状はほとんどない
悪性の場合
- 腫れが大きい
- 腫れるスピードが速い
- 腫瘍が大きくなるにつれて顔面神経麻痺などの症状も併発する
悪性の場合は治療を必要としますが、その方法は手術のみです。しかし、その手術も耳下腺の中にある顔面神経を切断してしまい、顔面麻痺などの重大な後遺症が残るかもしれないというリスクが存在します。簡単な手術ではありません。
しかし、放っておいては癌が違う場所に移ってしまう可能性も、大きくなる可能性もあります。主治医の先生としっかりと話し合い、納得のいく判断で手術に臨んでください。
首の後ろのしこりが脂肪腫の場合
これは脂肪細胞からできる良性の腫瘍です。ただの脂肪の塊だと考えてもらって大丈夫です。症状も殆ど感じる事もなく、日常生活も普通に送れます。
内科に受診をしても、様子を見てしこりや腫れが小さいと判断されると、そのまま経過観察となります。痛みもないので、殆ど気にならずに過ごす事が出来るので大丈夫です。
しかし、たまに大きなしこりが出来てしまう事があり、それはさすがに見た目にも日常生活にも支障をきたすので、手術で切除する事を勧められます。残念ながら薬で治す方法はないので、切除手術となってしまいます。
どの病院に行けばいい?
首のしこりは何科を受診すればいいのでしょうか。形成外科と悩みますが、まずは内科を受診しましょう。内科を受診する事で、その後どんな検査を受ければ良いか教えて貰えますし、必要に応じて大きな設備の整った病院へと紹介状を書いてもらえます。
そして、原因によって科は振り分けられ、悪性リンパ腫であれば耳鼻科に、脂肪腫であれば皮膚科に、甲状腺腫瘍の場合は外科へと案内されます。
また、一度診察を受けに行って、「ただの腫れでしょう。」と診断されて、暫くしても治らない場合には、別の病院を受診してみてください。一度の検査では見逃されてしまう可能性もあります。
まとめ
首のしこりなんて大した事ないと、大半の人が見逃してしまっているのではないでしょうか?
しかし、実際しこりは癌などの大病の危険をはらんだ物かもしれません。痛みを伴わない物が多いので気付きにくいかもしれませんが、定期的に首周りを触ってみて怪しいしこりがないかをしっかりと確認しておく事が大切です。
また、先日あっていた何故健康診断に行かないかというアンケートが取られていましたが、第一位は時間がないからという事でした。忙しさにかまけて体の事をぞんざいにしてはいけません。しこりに気付いたらすぐに病院に行き、怖いかもしれませんがすぐに診察してもらいましょう。
時間がない人は、最初から大きな総合病院に罹ると、すぐに該当の科に回してもらえる事もあるので、オススメです。