耳の裏が臭いというとすぐに加齢臭と結び付けられがちですが、実は若い人でも耳の裏が臭くなる場合があるのをご存知ですか?
さらに、生まれつき耳の裏から臭いニオイがしやすい方もいるので、きちんとしたケアが必要となります。
今回は、耳の裏が臭い原因と加齢臭の関係について解説していきますので、最後まで目を通してみてくださいね。
目次
耳の裏の臭いには加齢臭以外の原因があった
強いニオイを発するアポクリン腺や、生まれつき耳に小さな穴が開いている先天性耳瘻孔(せんてんせいじろうこう)が耳の裏にあると、そこから臭いニオイを発することがあります。
汗を出す腺を汗腺というのですが、エクリン腺とアポクリン腺という2種類に別れ、それぞれの特徴としては、エクリン腺は体全体にあり、排出される9割が水分で残りは塩分やアンモニア、尿素であるため、エクリン腺から出る汗はそれほどニオイを発することはないのです。
しかし、問題なのがアポクリン腺の方で、こちらから出る汗にはタンパク質や脂質、鉄分や色素などがたくさん含まれているため、耳の近くにアポクリン腺が多ければ多いほど、自然と耳の裏が臭くなってしまいます。
アポクリン腺は皮膚の裏側に存在し、遺伝によって数と大きさが決まってしまうので、残念ながら手術以外で数を減らすことはできません。
アポクリン腺じたいは全身にあるわけではありませんが、耳の中や外耳道(がいじどう;耳の穴のこと)にもあるため、若くてもニオイの直接の原因となってしまいます。
元々、アポクリン腺から出る汗はベタッとして臭いニオイがしますが、脂っこい肉中心の食生活や、ストレスによっても臭いがひどくなる場合があるので、普段から野菜を摂ることを意識して栄養バランスがかたよらないように心がけ、ストレスを溜めないためにも十分に休息を取るようにしましょう。
先天性耳痩孔(せんてんせいじろうこう)
耳に生まれつき小さな穴が空いていると、そこからニオイが外にもれたり、細菌に感染して炎症を起こすことで耳の裏に臭いニオイの元が溜まってしまうことがあるのです。
先天性耳痩孔は耳の表面の上の方にできることが多いのですが、耳の中や耳の裏側にできることもあり、気がつかないでいじってしまうと細菌に感染して炎症を起こし、膿んできてさらにニオイが強くなってしまいます。
50人に1人なので、それほど珍しい症状ではないですが、耳の中や耳の裏に穴があっても気がつかない方が多いため、一度鏡で見てみるか、耳鼻科で検査をしてみましょう。(耳の中は傷つけやすいので、無理に広げて見るのは避けた方がいいですね)
発見してもくれぐれも触れないようにしましょう。指には皮脂や細菌がたっぷりついていますし、穴がある部分は細菌に感染しやすいので耳痩孔(じろうこう)には触らないのが一番です。
ただ、気がつかずにいじってしまっていると大変で、細菌により炎症を起こして腫れ上がり手術が必要になることがあります。
何度も炎症を繰り返すようになると、耳痩孔の部分が腫れやすくなり症状も繰り返してしまうので、腫れてきたら早めに病院で診察を受けましょう。
また、炎症を起こしているとその部分から臭いが発生するので、「痛くないので大丈夫」と思わずに臭いを止めるために病院にいってくださいね。
粉瘤(ふんりゅう)
皮膚の下に袋ができて、中に垢(あか)が溜まって大きくなっていく粉瘤が耳の裏にできると、細菌が入り炎症を起こして腫れ、破裂することがあるので早めに取り除くことが必要です。
粉瘤は顔や耳の裏、耳たぶなどどこにでもできるため、単なる吹き出物だと思って放置しがちですが、見る度に大きくなっている、圧迫される感じがするなど、吹き出物とは違う異変を感じたらすぐに病院で検査を受けましょう。
皮膚の中に袋があるので、ぱっと見ただけではわかりにくいですが、放っておくとどんどん体内で大きくなり、くさい臭いを発することがあるので非常に厄介です。
また、粉瘤の手術では中の袋をできるだけ破らないようにして取り除くため、大きくなる前に病院でしっかりと検査すると手術も軽くで済むので、早めに病院で診察を受けてくださいね。
耳の裏の臭いを抑えるためのケアとは?
耳の裏は自分で見えないため、洗うのを忘れてしまいがちな場所ですから、毎日の入浴で清潔に洗いましょう。
洗うといってもタオルでゴシゴシこすると皮膚を傷つけてしまうので、手に石鹸をつけてよく泡立てて優しく洗い、しっかりとすすぐことが重要です。
また、耳は形が入り組んでいるため表面は洗いにくいですが、そのすき間に汗や汚れなど臭いの原因となる物質が潜んでいるので、耳の表面と裏、両方を毎日清潔に洗うことで、臭いを抑えることができます。
耳の後ろに加齢臭の原因が…
耳の後ろから、ノネナールという加齢臭の原因となる物質が出るので、加齢臭を予防するためにも常に清潔にしておきましょう。
加齢臭のいやーな臭いはノネナールという成分が発生することが原因なのですが、耳の後ろにも発生ポイントがあるので、毎日しっかりと洗うことで加齢臭対策にもなります。
ただ、ノネナールは、耳の後ろだけではなく、首筋や背中、頭など皮脂腺がある場所ではどこでも発生する可能性があるため、加齢臭を抑えるためには全身を清潔にする必要があるということを覚えておきましょう。
耳掃除はやり過ぎない
耳掃除は2週間に一度行えば十分ですので、毎日行う必要はありません。逆に毎日行うことで、耳の中を傷つけて炎症を起こして、かゆみや痛みといった症状が出てしまうこともあります。
また、耳垢の掃除をする時には、あまり奥に押し込まないことが重要です。
通常、耳あかは外耳道の皮膚の働きにより外側にゆっくりと動いて自然にでてくるものです。
そのため、外から見える入り口から1㎝程度の耳あかをそうじすれば十分と考えます。むしろ入り口から5mmとか手前までしかそうじをしなくても大丈夫です。
逆に奥まで突っ込むと、外耳道や鼓膜を傷つけたり、耳あかを奥に押し込んでしまう可能性があります。
引用元・宿久耳鼻咽喉科
耳の穴の入口から1cm程度というとかなり短いので今まで奥まで入れていた方は、耳かきを短く持ってやると奥まで入る心配もないですし、タオルで入口を拭く程度でもいいと言われていますので、毎日やっている方は回数を減らしましょう。
また、お風呂上がりに水分を取るために、綿棒を入れるのも逆効果で、耳の中の皮膚が弱くなっている時に内部をこすると傷をつけてしまいますので、お風呂上がりは耳の表面からタオルで内側を軽く拭き取る程度にして下さいね。
加齢臭や耳の臭いを抑えるためには
老化を進める活性酸素を減らすことで、加齢臭の臭いの原因であるノネナールを減らすことができます。
皮脂腺の中には脂肪酸がありますが、この脂肪酸と過酸化脂質が結びつく事によって、「ノネナール」という物質が生まれます。この「ノネナール」こそが、臭いの元です。
若い方は新陳代謝が盛んな為、体臭から「ノネナール」はほとんど検出されません。この「ノネナール」が加齢臭の源と思われます。
引用元・川崎中央クリニック
活性酸素が体内で増えると細胞を老化させてしまうだけはなく、加齢臭の原因であるノネナールまで増やしてしまうのです。
もちろん、年齢を重ねるごとに新陳代謝(不要になった細胞を排出し、新しい細胞を作る栄養素を運ぶ)が衰えていきますから、ある程度は仕方がないことですが、生活環境を良い状態に保つことで、活性酸素を増やさず老化を防ぐことができます。
活性酸素が増える原因は食生活
脂っこい食事や、アルコールによって活性酸素が増えると、加齢臭の原因であるノネナールも増えてしまうので、年齢とともに食生活の見直しが必要です。
肉類や揚げ物などが多い食生活を続けると、消化をするのに内蔵がエネルギーを使ってしまい、そのエネルギーの源はビタミン類ですので、活性酸素を減らす抗酸化作用のあるビタミンが体内で不足してしまいます。
加齢臭を出さないようにするためには、積極的にビタミンを含む緑黄色野菜を食べて活性酸素を抑えるビタミン類体に補う必要があり、また、ビタミンを豊富に摂っているといつまでも若々しい体を保つことができるのです。
防腐剤や着色料などの食品添加物も活性酸素を生み出す原因となるので、市販のお弁当やジャンクフードよりも、なるべく自分で調理して添加物を取らないように工夫して下さい。
適度な運動でストレス解消
無理をしない程度のウォーキングやストレッチをすることで、適度な汗をかくと体内の脂肪を燃やし、ストレス解消にもなります。
ストレスによっても活性酸素が増えてしまうわけですが、ストレスを解消するのは非常に難しいので、時間がある時に“ムリをしない程度”に軽い有酸素運動をしましょう。※いきなり激しいランニングなどを行ってしまうと、怪我の危険もありますし、余計にストレスが溜まってしまいます。
有酸素運動が優れているのは、脳内から幸福感を覚えるドーパミンという物質が出され、ストレスを解消するのに効果てきめんだということです。
ドーパミンが出ると、気分が高揚し、やる気が出て、脳への血流も良くなるので頭がスッキリします。
そして、全身の血行も良くなることから、新陳代謝が高まり、体の細胞が新しく生まれ変わるのを助けることで、ノネナールの分泌も抑えることに繋がります。
まとめ
耳の裏が臭い原因には、加齢臭の他に、先天性耳瘻孔(せんてんせいじろうこう)という生まれつき小さな穴が開いている場合と、アポクリン腺が耳の裏に沢山ある場合があります。
また、粉瘤(ふんりゅう)という皮膚の中にできる袋が臭いを発している場合もありますので、異変を感じたら早めにお医者さんに診てもらいましょう。
参考:イヤホンに耳垢が付いてしまう人必見!耳垢がつかないようにする方法