食事からしばらく経つと、腹痛が。お腹が弱い方なら誰もが経験した事のある、あの嫌な冷や汗。
また、食べ過ぎ飲み過ぎで下痢に、なんてことも。だいたい何分後に腹痛や下痢の症状が起きるのかがわかれば、なんとか対処もできるかも?
食後どのくらいで腹痛や下痢を催すのか、また自分に合わない食材をしっかりと特定し、症状が起こらないようにコントロールしましょう。
目次
食後から腹痛・下痢が生じるまでの時間
腹痛や下痢の原因によって、その生じるタイミングや時間も様々です。
まずは何が原因か、考えられるものをしっかりと特定し、対策をする様にしましょう。
消化不良が原因の場合 3~6時間後
食事をして、腹痛をおこすような特定の食品を摂っていないのに、下痢などの症状がある場合、消化不良が原因である可能性が高いです。
通常食べ物をしっかりと消化するためには、24時間程度の時間を要します。すなわち消化不良の場合、消化しきったものが原因で生じるのではなく、消化の段階で異常が生じる事により起きる症状です。
脂っこい食事や消化しきれないほどの量の食事が胃に負担をかけ、未消化のまま腸へ運ばれうまく栄養として吸収されずして腸を刺激してしまいます。
過敏性腸症候群 食べてすぐ〜1時間後
食べてから間もなくして、いつもの様にお腹が痛くなり下痢になってしまうような症状の場合、過敏性腸症候群を疑います。
20代〜30代の働く世代に多く、検査をしても何の異常もみられないのにも関わらず、下痢を繰り返す症状をいいます。
ストレスの多い生活をしている人がなりやすく、食べると下痢になる、という精神的なストレスが更に症状を悪化させます。
感染性食中毒による下痢 原因菌による
原因が明らかな特定のウイルスや細菌である場合は、その原因菌によって生じる時間が変わります。
例えば生牡蠣や生っぽい鶏肉を食べた、などの疑わしい食事をした場合、下記の表の、下痢が生じる可能性がある時間を参考にしてください。
原因菌 | 発症時間 | 感染源 |
カンピロバクター | 1〜7日 | 加熱不十分な鶏肉や生の牛レバーなど |
腸管出血性大腸菌 | 3〜5日 | 大腸菌に汚染された食品の摂取 |
ノロウイルス | 1〜2日 | 生牡蠣など二枚貝の生食 |
ウェルシュ菌 | 6〜18時間 | 煮物やカレーなどの作り置き食品 |
腸炎ビブリオ | 10〜30時間 | 刺身や魚介類 |
腹痛や下痢の原因特定方法と対策
今生じている下痢や腹痛が、食中毒によるものなのか、ストレスによるものなのか、はたまたアレルギーによるものなのか、その原因によって出来る原疾患への対策なども変わってきますよね。
急性のものか慢性的なものか、など特定できる方法は様々です。自分の症状に当てはまるものをしっかりと特定しましょう。
急性下痢の場合
急性下痢の場合の原因は、食中毒などの原因菌があるものと、食べ過ぎ飲み過ぎなどの消化不良などに分けられます。
分かり易いのは、細菌やウイルスが原因の食中毒の場合、多くが腹痛や下痢以外に、発熱や嘔吐などの症状がメインとなります。
この場合原因菌をとにかく体外に排出することが大切ですので、下痢止めや吐き気止めを服用せず、体力の消耗に気をつけながら脱水症状の対策として水分摂取をするように。
食べ過ぎなどの消化不良の場合、嘔吐を伴う事はありますが発熱などの全身症状はまれです。消化を助けてくれるような消化酵素などの薬や整腸剤などを服用して、安静にするようにしましょう。
慢性的な腹痛や下痢の場合
下痢が2週間以上続く場合、慢性的な下痢、と言えます。また、下痢が続く時間は短くても、何度も繰り返す場合は慢性化しているといえるでしょう。
こちらは原因が多岐にわたり、自己での特定は難しくなります。症状が繰り返される場合は専門医への受診をお勧めします。ここでは考えられる病名について紹介します。
過敏性腸症候群
慢性下痢を訴える約半数以上のかたが、この過敏性腸症候群が原因です。先ほどの説明した通り、検査にて異常が見つからないものの下痢などの消化器症状を繰り返すことが特徴です。
原因としてはストレス・不安・緊張など精神的なものが主で、各駅停車症候群と別名が付くほど、下痢の頻度は高く急激に症状が出てしまいます。
対策、治療としてはストレスをやわらげることや食事療法・運動療法など、腸内環境を整えること、また酷い場合には薬物治療として下痢止めや向精神薬などの処方も考えられます。
参考:緊張したらスグに腹痛が!吐き気や下痢を抑える対処法は?
潰瘍性大腸炎
症状としては、下痢の量は多くないものの何度もトイレに行きたくなる、といった特徴があります。
下血を伴う事や、腹痛が併発していることも多くあります。潰瘍性大腸炎の特定方法は、出血をともなう下痢があること、そしてそれが細菌やウイルスなどが原因でないことの特定からはじまります。
また、内視鏡検査や大腸検査などで炎症やびらんの程度を見る事で、確定診断されます。原因は不明とされており、治療としては薬物治療が主で、炎症を抑えるステロイドや免疫抑制剤の内服になります。
クローン病
口から消化器までのあらゆる箇所に炎症ができ、初期症状として下痢や腹痛を催す可能性があります。
潰瘍性大腸炎との違いは、その症状が腸にとどまらず、口や食道などにも炎症性疾患がみられる病態です。原因は不明で、潰瘍性大腸炎とともに難病指定にされています。
治療法も完全に治療できるものはないですが、栄養療法や免疫抑制剤などの薬物療法があります。
慢性膵炎
特にお酒を飲み過ぎたときや脂っこい食事をとったときに下痢が続くような場合、膵臓の疾患を考えます。
慢性膵炎の場合、病状が悪化すると脂肪便や下痢が発症すると言われています。膵臓の働きが低下してしまうと、脂肪分の消化がうまくいかないため油のような液状便になることもあります。
このような下痢が生じている場合は、下痢の対策というよりも原疾患である膵臓への治療が必要になりますので速やかに医療機関を受診するように。
下痢になりにくい体質作り
下痢や腹痛の原因は様々ですが、腸内環境を整えることで下痢に強いからだ作りに励みましょう。
また、過敏性腸症候群やその他の疾患など、治療法が明確でないのが現実で、病院での治療の一環としても、食事や栄養療法を主に指導します。下痢や腹痛を生じさせにくい食事メニューについてもご紹介します。
腸内環境を整える食べ物
発酵食品
ヨーグルト、納豆、お味噌汁などの発酵食品には、乳酸菌が豊富であり腸内環境を整えてくれます。
特に日本人になじみ深い味噌は昔から食べられてきただけに、拒否反応を生じさせることも少なく、日本人の体にあった乳酸菌を摂取する事ができます。一日1杯を目安に、お味噌汁を摂る様に心がけてみましょう。
オリゴ糖
腸内で腸内細菌により発酵され、善玉菌の「エサ」となり善玉菌を活性化させてくれるのがオリゴ糖です。
特に腸にまで届くオリゴ糖を摂取する事をおすすめします。難消化性のオリゴ糖である、ラフィノース、ガラクトオリゴ糖などを選ぶようにしましょう。
液状のものや粉のものなどありますが、普段の食事に取り入れたりヨーグルトに混ぜたりして、毎日摂取する事を心がけてみてくださいね。
下痢や腹痛を催しにくい食事選び
特に以下の食品は避ける様にしましょう。
- 不溶性食物繊維の多いもの:おから、ココア、さつまいも
- 冷たすぎるもの、熱すぎるもの
- スパイス(香辛料)の効いた食事
- 脂肪分の多い食事
- 糖アルコールの多量摂取:キシリトールなど
他にも個人個人での食物アレルギーは色々存在しますので、自分の体に合わないものは極力とらないこと。
お腹に良いといわれるものでも多量摂取は胃腸に負担をかけますので、ほどほどに摂取する様に。
まとめ
下痢や腹痛が急に襲って来た場合、神に祈るかの思いでトイレに駆け込みますが、こんな状態が何度も続くのは精神的に大きなストレスになりますよね。
原疾患がある場合はそれに対する治療をし、また普段から胃腸に優しい食事を心がけてノンストレスなトイレ生活を送りましょう。
参考:嘔吐や下痢の時に効果的な食事は?原因の食事を特定する方法も