「立ちくらみ」「頭痛」「眠気」が伴う病気は、いくつかあります。脳貧血と呼ばれる起立性低血圧。自律神経失調症、うつ病、鉄欠乏性貧血など。
また、別の病気の二次的な症状として、これらの病気が起きている可能性もありますので、長く続くようなら、医師の診察が必要です。まずは立ちくらみの原因から詳しく見ていきましょう!
立ちくらみの原因。どうして起きるの?
「立ちくらみ」と良く似た症状に「めまい」があります。どちらも頭がクラクラするイメージですが、どう違うのでしょうか。「立ちくらみ」は、立ち上がった時に、一瞬クラッとするものから、ひどいと座り込んだり、倒れ込んだり、目の前が真っ暗になったり、中には意識を失うこともあります。
起立性低血圧に起こりやすい症状で、朝礼や満員電車で倒れたりするのが、このような立ちくらみ症状です。
「めまい」には、回転性のものと浮動性のものがあります。回転性のめまいとは、「目が回る」「目の前がグルグルする」などの症状で、これは、主に耳の中にある、三半規管の異常が原因と考えられます。三半規管は、平衡感覚をつかさどる器官で、船酔いや車酔い、さらに回転性のめまいを繰り返す、メニエール病を起こします。
三半規管の中には、リンパ液が入っていて、体が傾いても、リンパ液が平衡を保つことで、バランスを保っているのです。メニエール病にかかると、このリンパ液量が増え、三半規管がむくんだ状態になって、うまく平衡がとれないのです。
浮動性のめまいとは、「頭や体がふわふわする」「頭や体がゆらゆら揺れる感じがする」と言った症状で、これは、主に頭の中の脳幹や小脳での、平衡感覚のコントロールミスで起こります。この状態になる時は、脳梗塞や脳腫瘍など、脳の重大疾病の心配がありますので不安を感じたら、すぐに病院へいくことをおすすめします。
立ちくらみが起こる原因は、ストレスや睡眠不足からの自律神経異常や、貧血、低血圧が考えられます。
その中でも、起立性低血圧は、自律神経の異常がもたらす病気です。起立性低血圧は、「低血圧」の人がなる病気ではなく、起立した状態で20mmHg以上の血圧が一気に下がったことを言います。そのために様々な症状が起こりますが、立ちくらみは、その時に一番顕著に表れやすい症状と言えます。
通常、朝起きた時など、横になった状態から起き上がっても、立ちくらみは起きません。それは、「起き上がる」と言うことを自律神経が察知して、血管を収縮させ、血液が下にさがらないようにしているのです。自律神経が血圧の調整をしてくれているおかげで、座ったり、立ったりと体勢を変えることができています。
日本人が起こしやすい頭痛は3種類!
- 緊張型頭痛=筋緊張性頭痛
日本人の頭痛の中で、20%〜30%に起こる、もっとも多い頭痛です。首から肩にかけての筋肉が非常に緊張して起こります。この緊張は、精神的、肉体的なストレスからくるものが多く、ストレス→筋肉のコリ、ハリ→頭痛→痛みによるストレスと言う「痛みの悪循環」を起こしやすくなります。
この頭痛には、痛みが数分〜1週間続く反復性緊張型頭痛と、数日〜数か月続く慢性緊張型頭痛の2つに別れます。どちらも、朝より夕方の方が痛みが強くなります。
頭の筋肉部分が各所で痛む場合もありますが、頭全体が締め付けられるように痛むことが多い頭痛です。筋肉が緊張することで、血行が悪くなり、頭痛を引き起こします。
精神的なストレスが原因の場合は、自律神経からの「神経伝達ホルモン」の影響により、筋肉の緊張が起こらなくても同様の頭痛が起きます。寝込むほどでは無いですが、集中力に欠け、毎日痛むことで、新たなストレスとなってしまいます。また、体を動かすことで、血行が促進され、症状が楽になります。
- 原因→PC、スマホなどによる眼精疲労・デスクワークによる姿勢の悪さ・血行不良による肩こり・運動不足・睡眠不足・精神的ストレスなど
- 改善方法→入浴、マッサージ、ストレッチなどによる血管の拡張・鎮痛剤・ストレス解消
- 片頭痛=偏頭痛
日本人の頭痛では8%の発症率です。片頭痛の痛み方の特徴は、拍動性で、心臓の動きと一緒にドクンドクンと激しく痛みます。また、頭の片側に強い痛みが起こることが多く、動かすとさらに痛みが強くなります。
吐き気もあり、激しく嘔吐を繰り返すこともあります。また、目がチカチカする閃輝暗点(せんきあんてん)の前兆が起こり、その20分〜60分後に激しい頭痛が起こることが多いです。
- 原因→三叉神経血管説・神経伝達物質のニューロペプチドが遊離し、血管や周囲を刺激することで炎症が起きて、痛みが発症する。
- 改善方法→安静、睡眠
- 投薬治療=トリプタン製剤
- 低血圧による頭痛
低血圧の人が、脳の血流不足を起こした際、何とか血流を取り入れようと血管が拡張するために起こっている可能性があると言われています。午前中に起こることが多く午後には血流が良くなり回復します。はっきりとした原因はわかっていません。目覚めた時に、頭を押さえつけられるような痛みがあり、吐き気を伴うこともあり、立ち上がるとめまいを起こします。
緊張型頭痛や片頭痛を併発することがあります。鎮痛剤が効かないことから、原因は血管にあると考えられています。
- 改善方法→温めて血行を促す・低血圧を改善する
ひどい眠気が起こる症状の病気にはどんなものがあるの?
日中、ひどい眠気に襲われる場合、良い睡眠がとれていないために体が睡眠不足の状態になってしまっていることが考えられます。まず、睡眠時間は十分なのに、ちゃんと睡眠がとれているのか、いないのかを判断します。
これは、エップワース眠気尺度と言って、世界的に信頼性の高いセルフチェックです。合計が11点以上の場合、睡眠障害の病気が潜んでいると考えます。質問の中に、日常で経験しない状況があっても、飛ばさずに想定して答えてください。
☆エップワース眠気尺度チェック
問1.座って本を読んでいるとき
全く眠くならない(0点) たまに眠くなる(1点) よく眠くなる(2点) 大体いつも眠くなる(3点)
問2.テレビを見ているとき
全く眠くならない(0点) たまに眠くなる(1点) よく眠くなる(2点) 大体いつも眠くなる(3点)
問3.人が大勢いる場所(映画館や会議室)でじっと座っているとき
全く眠くならない(0点) たまに眠くなる(1点) よく眠くなる(2点) 大体いつも眠くなる(3点)
問4.1時間くらい、人の運転する車に乗っているとき
全く眠くならない(0点) たまに眠くなる(1点) よく眠くなる(2点) 大体いつも眠くなる(3点)
問5.午後にじっと横になって休んでいるとき
全く眠くならない(0点) たまに眠くなる(1点) よく眠くなる(2点) 大体いつも眠くなる(3点)
問6.座って誰かとしゃべっているとき
全く眠くならない(0点) たまに眠くなる(1点) よく眠くなる(2点) 大体いつも眠くなる(3点)
問7.昼食のあと、静かに座っているとき
全く眠くならない(0点) たまに眠くなる(1点) よく眠くなる(2点) 大体いつも眠くなる(3点)
問8.自分が運転中に、渋滞や信号待ちで数分止まっているとき
全く眠くならない(0点) たまに眠くなる(1点) よく眠くなる(2点) 大体いつも眠くなる(3点)
以上の8問です。合計が11点以上なら、睡眠障害の状態です。では睡眠障害にはどんなものがあるのでしょう。
- うつ病→不眠からうつになる場合と、うつの症状として不眠の場合と両方考えられます。自律神経障害。
- ナルコレプシー→大切な会議など緊張感を持っている中でも、発作的に短時間眠ってしまいます。
- 突発性過眠症→発作的な睡眠で長時間眠ってしまいます。深い眠りで起こしても寝ぼけた状態が続きます。
- 睡眠時無呼吸症候群→睡眠時の呼吸が不規則、激しいイビキ、高血圧や肥満が関係してると言われます。
- むずむず脚症候群→脚に虫が這うような不快感があります。安静時にひどくなり、眠れなくなります。
- 周期性四肢運動障害→睡眠中に始終、足が動いています。
- 睡眠相後退症候群→睡眠時間がずれてしまい、体内時計が狂ってしまった状態です。
また、睡眠障害は脳の病気の前触れに起こる事が多く、同時に起こる症状も含めて考えなければなりません。
頭痛や吐き気を伴っている・今まで通りに字が書けない・言葉がうまく出てこない・体の片側がしびれている・物が二重に見えるなどが、激しい眠気とともに起こっているなら、脳梗塞の疑いがあるので、すぐに病院に行きましょう。
低血圧や貧血などで、脳への血流不足が起こり、脳が酸欠状態を起こしている時も、眠気が起こります。脳が酸欠を起こすと、出来るだけ動かずに休もうとするので、ボーっとし、眠気に襲われます。
まとめ
低血圧や貧血を起こして、脳の血流が十分でなくなると、「立ちくらみ、頭痛、眠気」が起こりやすいと言えます。
ただし、これらの症状は、誰にでも、よく起こりやすいものなので、簡単に考えてしまいますが、頻繁に起きたり、症状がひどいような場合は、重大な病気が潜んでいる事も考えられるので、医師に相談してみた方が良いです。
浮動性のめまい症状はこわい?手足のしびれがある!そんな時は何科に行けばいい?
また、自律神経の異常から起こる、起立性低血圧などは、意識喪失を起こすことがあるため、二次的なケガの恐れがあります。
極度のストレスから睡眠不足になり、それがきっかけで自律神経が機能しなくなり、「立ちくらみ、頭痛、眠気」を引き起こしている可能性もあります。自分の頭痛の種類、睡眠障害の有無などを確認してみると、おのずと原因が絞られてくるかもしれません。