白血球というものが、血液中に存在していることは、誰でも知っていますよね!
でも、白血球が多すぎたり、少なすぎたりすると、体が大変なことになるかもしれません…。白血球が多すぎるのか、あるいは少なすぎるのか。
それを判断するのが、血液検査で出るwbc(white blood cell)値です。血液検査を受けたあと、しっかり値を確認したことがある人もない人も、知っておいて損はない、白血球のお話です!
目次
wbc(白血球)、血液検査での正常な値とは?!
白血球は、私たちの体の、免疫に大きく関わっています。ウイルスや菌などの異物が、体の中に入ってきたときに、それらをやっつける役割があるんです。
と、ここまでは知っている人が多いでしょう。
「体に害になる異物をやっつけてくれるなら、白血球がいっぱいあったら安心なんじゃ?」
と思ったあなた!ちょっと待ってください。先ほど言った通り、白血球は多すぎても少なすぎてもダメなんです。
白血球の、正常値とは?!
血液検査における、白血球の基準値(wbc)は、3,200~8,590μLとされています。
しかし、どこか怪我していたり、薬を服用したりしていると、数値が簡単に変化してしまうので、再検査になることはよくあるようです。
ただし、検査日の当日の体調等によって、値は異常値を示したりするので、一概に「範囲外だから病気だ…」とはならないのでご安心を!
白血球の増加・減少、どうして気にするべきなの?!
上記では、白血球の数値について、紹介しました。
そもそも、どうして白血球の数値の増減が、医師に「多いです、少ないです」と指摘されるのでしょう。
それは、白血球が、私たちも気にしておくべき、重要な役割のあるものだからなんですよ!
白血球の種類
一口に、白血球といっても、本当は5種類に分かれるんです。
知っていましたか?
ここでは、それぞれの種類と白血球全体の中の割合、そしてその機能をお話ししましょう!
①好中球(こうちゅうきゅう)…55%
好中球には、細菌などを食べて飲みこんでしまい、分解する機能があります。
②リンパ球…36.5%
リンパ球も、ウイルスや細菌を食べてしまう作用があります。
さらに、死んでしまった好中球の処理もできる白血球の一種です。私たちの体の、免疫をつかさどっているのは主にこのリンパ球なんですよ!
③単球…5%
リンパ球と同じ、異物を食べてしまう働きがあります。
単球は血管の外に出て組織マクロファージという物質に変わり、細菌や要らなくなった細胞を食べてしまいます。
④好酸球(こうさんきゅう)…3%
好塩基球によって起こったアレルギーが起こると、増加する白血球です。
アレルギー症状を抑える働きをします。
⑤好塩基球(こうえんききゅう)…0.5%
あなたの体では、対応できないアレルゲン(アレルギー反応を起こすもの)が入ってきたら、体を守るためにアレルギーを起こすのが、好塩基球です!
この5つが集まって、私たちの知っている白血球、ということになります!たった一種類もかけてはならないんですよ。
白血球の数が異常になると、どうなる…?!
ここまで、白血球の5種類について、紹介しました。
この白血球が少なくなってしまったら、私たちの体はどうなってしまうのでしょうか?
減ってしまうと、感染症を起こしやすく…
白血球の数が、極端に減ってしまったら…。
どんな細菌やウイルスが入ってきても、貪食(食べてしまうこと)されることがありませんよね。そして、体内でアレルギーを起こして、
「危険なものが入ってきましたよ!」
と知らせるものがなくなってしまいます。こうなると、どんな病気も症状が進行するまで気づくことがなく、命に関わる事態になりかねないんです!
免疫異常を起こしやすく…
エイズという病気を聞いたことがありますか?日本語で正式にいうと、後天性免疫不全症候群という病気です。
この病気になると、リンパ球が異常に減少してしまい、今までのような日常生活は送れなくなってしまいます。
また、接触感染を防ぐために、隔離されることもあり得るんです。
そう、白血球が減少してしまうと、体が無防備になり、さまざまなウイルスや細菌にさらされることになります。体内にウイルス等が入ってきてからも、戦うだけの白血球がいなければ、防御するすべがなく、健康な体がむしばまれていきますよね。
医療行為を受けられれば良い方で、ほとんど誰とも接触せず、最悪の場合は死を待つような生活になってしまう可能性だってあるんです。
私たちが、今までもそうだったように人間らしく生きるためには、白血球の防御機能がなければならないのです!だからこそ、値はしっかり気にしておくべきなんです!
血液がもし、白血球数の異常だったら…?
血液検査で白血球の数値にもし異常をきたしていたとしたら…?
重大な病気になっている可能性も、充分に考えられます。
白血球が異常に多い…?!
この場合は、以下のような病気にかかっていることが考えられます。
慢性骨髄性白血病(まんせいこつずいせいはっけつびょう)
白血病という言葉は、きっとみんな聞いたことがありますよね。
この病気は、造血幹細胞(ぞうけつかんさいぼう)という、赤血球や白血球、血小板といった血液の成分をつくる細胞が、ガンになってしまう(ガン化といいます)ことで起こります。
他の症状はないにも関わらず、白血球の値が異常に高くなってしまう病気です。
虫垂炎(ちゅうすいえん)
虫垂炎は、盲腸と同じ病気を指します。
盲腸は、小腸と大腸のちょうど境、少し突起になっている部分のことで、その突起を虫垂と言います。
原因ははっきりわかっていませんが、その虫垂が腫れて炎症が起きることで、腹痛が起こるのが虫垂炎、いわゆる盲腸です。
肺炎
肺炎は、細菌に感染して起こるものと、その他の病気が原因で起こるものがあります。
白血球の数が増えるのは、前者・細菌感染が原因の場合です。
体内に侵入してきた細菌をやっつけるために、白血球のひとつである好中球(こうちゅうきゅう)が活発に働き、その数も増えます。そのため、肺炎になると血液中の白血球が増えるんですね。
その他、妊娠中や何らかの外傷(切り傷、やけど等)ができた場合も、白血球が増えます。ケガした後に、血液検査の予定があったら、医師や看護師に怪我したことを伝えるようにしましょうね。
白血球が異常に少ない…?!
この場合も、以下のような病気の可能性があります。
再生不良性貧血
この病気では、白血球に限らず、赤血球等の他の血液成分も減ってしまいます。
それが原因で、骨髄細胞で血球をつくることができなくなってしまう難病なんです。
発症するのは20代までの若者が多く、発症してしまう可能性は0.02%程度とされていますよ。
ウイルス感染症
体の中に何らかの異物が入ってきた場合は、好中球という白血球の一種が、撃退にあたります。
しかし、ウイルスが入ってきた場合は、好中球では退治することが難しいんです。そこで、体内ではインターフェロンという物質を分泌させ、感染した細胞ごと退治しようとします。
インターフェロンが分泌されることで、ウイルス退治の立役者、リンパ球が元気になりますが、代わりに骨髄の働きが抑制されてしまい、白血球が少なくなってしまうんです。
白血球が異常に多くても、少なくても、何らかの病気の可能性があり、体にとっては良くないこと、というのがお分かりいただけたでしょうか。
検査を受ける日の体調によっても、数値には変動が起こるので、たまたま白血球が多かった、少なかった、ということも考えられるので、神経質になる必要もありませんが、これからは血液検査を受けて結果が出たら、白血球の数値の確認をするようにしましょう!
参考:血液検査のwbcの正常値の範囲は?白血球が体に大事な理由まとめ
まとめ
白血球の正常な数値は、現在は基準値(wbc)は、3,200~8,590μLとされています。この数値より以上に多い・少ないということがあれば、病院を受診すると良いでしょう。
白血球は、私たちの体をさまざまな感染症から守る役割を持っています。もし以上に減ってしまうことあれば、私たちの体は何の武器も持たない赤ちゃんのようなもの。
ウイルス等にやられ放題になってしまうんです。そのような事態を防ぐためにも、検査のたびに白血球の数値を気にかけるようにしましょうね。
参考:血液検査をした時のcrp値は何を指す?異常値はどのくらい?