お酒は人間関係の潤滑剤と言われる程、普通に飲めば楽しい時間を作ってくれる魔法の飲み物です。しかし、飲み方を間違えば急性アルコール中毒を引き起こして、一生その後遺症と付き合っていかなければならなくなります。
今回はそんな恐ろしい急性アルコール中毒の気を付けたい後遺症や、もしも急性アルコール中毒になった時にどんな対処をすればいいのか紹介していきます。
急性アルコール中毒は死に至る場合もある恐ろしい症状です、急場でもしっかり対応できるように対応を知っておきましょう。
目次
急性アルコール中毒の後遺症
急性アルコール中毒になってしまった場合におきる後遺症を侮ってはいけません。かなり重度な状態になる人もいるからです。
以下でわかりやすく説明していくのでしっかり見ていってくださいね。
急性アルコール中毒の後遺症はどんなもの?
まずは急性アルコール中毒にどんな後遺症があるのかを知っていきましょう。
- 社会的行動障害
- 注意障害
- 記憶障害
- 運動失調
- 片麻痺
上記が急性アルコール中毒を起こした際に残ると言われている障害です。
社会的行動障害とは
では、一つずつ後遺症を詳しく見ていきましょう。まずは社会的行動障害ですが、これは高次脳機能障害という、脳の障害に分類されます。
- 他人とコミュニケーションが円滑に取れなくなる
- 物事への執着が酷くなる
- 幼児退行のように自分の感情がコントロールできなくなる
- 抑うつ障害が見られるようになる
以上が挙げられます。上記の症状が出れば勿論日常生活もままならなくなり、周りの助けがないと自活も出来ません。残念な事に、リハビリによって症状の緩和は期待できますが、脳に負った損傷は治る事がありませんので根治は今のところできないのです。
注意障害
同じく高次脳機能障害の一種です。これは分かりやすいですが、注意力が散漫になってしまう事です。
物忘れやうっかりミスは誰にだってある事ですが、注意障害の人の物忘れやうっかりミスは、日常生活を一人では営めないレベルのものを指します。
- 複数の事を一度にできなくなってしまう
- 一つの物事に集中する事が出来ずに色んな所に意識が行ってしまう
- 自分の集中を邪魔する音や光などに意識を奪われて一つの所に意識を留めておけない
その為、仕事をする事も出来ませんし、一人暮らしも難しいです。
記憶障害
記憶障害も高次脳機能障害の一つで、昔のドラマのように記憶喪失などドラマチックなものではありません。
- 記憶を覚えておく事が出来ない為、何をしているかをすぐに忘れてしまう
- 人の顔が覚えられない
社会生活は勿論ですが、家族や友人の顔も次の日にはけろっと忘れてしまうのです。これは最も親しい人達からしたら辛い障害でしょう。
運動失調
小脳、大脳、内耳の神経に障害が残ってしまい、体の筋肉へと上手に命令が伝わらなくなって体を動かしづらくなる障害です。
平衡感覚が維持できなくなるだけではなく、歩行が困難になります。車椅子での生活を余儀なくされてしまう恐ろしい後遺症です。
片麻痺
聞き慣れない後遺症ですがどんな物なのでしょうか。片麻痺は、
- 体の片方の筋肉が緩んで上手く動かせない
- 体の片方の筋肉が麻痺する
- 呂律が上手く回らなくなる
以上の症状が挙げられます。症状が軽ければ日常生活に影響は出ませんが、症状が重いと歩くのも一苦労になってしまいます。
急性アルコール中毒の対処法
万が一、年末の飲み会や、その他の宴会などでも周りの人が急性アルコール中毒になってしまった場合には、周りの人たちの協力が必ず必要です。
その場合にできる対処法をわかりやすく解説してきますね。後遺症のこともあるので、最低限覚えてほしいことは以下になります。
急性アルコール中毒になったら
では、そんな恐ろしい後遺症を残さない為にも、応急処置の方法を知りましょう。
- 吐しゃ物が喉に詰まって窒息する人が多い為、うつ伏せにして横に顔を向けさせて吐しゃ物が詰まらない様にする
- 頭を少し反らせて気道を確保する
- 衣服を緩め、体温低下を防ぐ為に毛布で体を包む
救急車を呼びながら、以上の事をしておきましょう。そして、意識がある場合は水や白湯を飲ませて少しでも体内のアルコールを薄めて排出するようにしましょう。
急性アルコール中毒の段階
急性アルコール中毒には段階がありますので、気付くタイミングは沢山あります。
それぞれの段階でどんな症状が出るのかを把握しておきましょう。
①爽快期
これは誰にでもあるものです。
お酒を飲んで楽しい気分になったり、顔や皮膚が赤くなったり、気が大きくなる時期ですから問題はありません。
②ほろ酔い期
これも大体の人は経験があるでしょう。行動が大胆になったり、大声を出してみたり、体温が上昇して動きが大きくなる時期です。
問題はありませんが、よく警察に補導されるのはこのほろ酔い期辺りの人なので気を付けましょう。
③酩酊期
これは完全な酔っ払い、そして急性アルコール中毒の入り口です。
やたらと怒りっぽくなったり、かと思えばいきなり泣き出したりと感情のコントロールを失い、ふらついてしまいます。一人では家に帰れないレベルです。この状態になったら飲ませてはいけません。
④酩酊期Ⅱ
危ない状態です。千鳥足になって自分ではもう歩く事が出来なくなってしまいます。
脳では小脳にまで麻痺が広がり、吐き気や嘔吐も引き起こされます。意識はまだありますが、話は要領を得ずに同じ事を繰り返す状態です。
⑤泥酔期
意識が混濁し、言葉ももう通じません。自分で歩く事はおろか、起き上がる事すら難しくなってしまいます。
記憶を司る海馬が麻痺してしまい、すでに記憶も曖昧になって自分が何をしているか分からなくなってしまいます。危険な状態で、死に繋がる事もありますからすぐに救急車を呼んでください。
⑥昏睡機
完全に危ない状態です。揺すっても反応がなく、呼吸もゆっくりと深くなって尿便も我慢する事が出来ずに垂れ流し状態になります。最悪死亡に至ります。すぐに救急車を呼んでください、一刻を争います。脳では呼吸を司る延髄が麻痺してしまっています。
急性アルコール中毒を予防するには
では、この恐ろしい急性アルコール中毒にならない為にどんな予防法があるのでしょうか。
- 空腹時を避けてアルコールを摂取する
- 自分のお酒の適量を知り、それ以上は飲まないようにする
- 体調が悪い時はアルコール摂取は避ける
- 一気飲みは絶対にしない
急性アルコール中毒にならないように、予防する事も自分の身を守る大切な手段です。
急性アルコール中毒の死亡者数
これだけ急性アルコール中毒は危険だと言われている世の中ですが、現在も急性アルコール中毒での死亡者は減少しません。把握されているだけでも、1983年~2016年までに154名の尊い命が失われています。
更に、東京都だけで毎年1万人以上が急性アルコール中毒で搬送されているのです。中には未成年でまだまだお酒の飲み方を知らない大学生も多く含まれており、直近で2016年3月にも大学生が急性アルコール中毒で命を落としています。
必ず成人し、お酒の飲み方を覚えてから仲間内で楽しむようにしてください。折角楽しい場も、一転して悲しい事故現場になってしまう事だってあるのです。過度にあおってお酒を飲ませる周りも加害者となります、一気飲みをさせるような発言は絶対してはいけません。
まとめ
どれだけ注意喚起しても収まらない急性アルコール中毒。遺族の方々や有志で結成された急性アルコール中毒を減らそうとする組織も全国には多々存在します。全てはアルコールでの痛ましい事故を防ぐ為です。
自分は関係ないと思うのではなく、お酒を飲む場に出た時に一気コールが起こったらやめさせようとする、ちょっと様子の変わった仲間がいたらすぐに応急処置を施して救急車を呼ぶなど、常に意識しておく事が大切です。
参考:周りが急性アルコール中毒になった時の症状や対処法まとめ